アメリカに旅行やビジネスで訪れる際、普段から鉄道に慣れ親しんでいる多くの日本人にとって、目的地まで安全で快適に行くことができる空港アクセス鉄道があるかどうかは気になる点ではないでしょうか。アメリカの多くの都市は車社会なので、日本の国際空港のように安全で快適な空港アクセス鉄道が整備されている空港は限られています。DenshaDexでは、アメリカの空港アクセス鉄道を実際に利用し、速達性、利便性、経済性、快適性、安全性の5つの観点から検証してみたいと思います。

第2回は、有名なロッキー山脈の麓に位置し、近年急速な成長を遂げているデンバー都市圏の主要空港であるデンバー国際空港(Denver International Airport)について検証します。

デンバー国際空港の位置

日本との直行便ダイヤ

パンデミック前に予定されていた2020年夏スケジュールでは、東京から毎日1便の直行便が運航されていました。日本からの直行便はこの1便のみなので、乗り継ぎでデンバーを訪れる方の方が多いかもしれません。

※パンデミックの影響で現在は運休中です。

日本発デンバー行き

航空会社 便名出発時刻到着時刻運行日機材
ユナイテッド航空
(United Airlines)
UA142東京/成田
(NRT)
17:45デンバー
(DEN)
13:00毎日787-9

デンバー発日本行き

航空会社 便名出発時刻到着時刻運行日機材
ユナイテッド航空(United Airlines)UA142デンバー
(DEN)
12:45東京/成田
(NRT)
16:00
(翌日)
毎日787-9
デンバー都市圏の鉄道路線
Image: RTD

2021年7月現在、デンバー国際空港にはRTD(Regional Transportation District: RTD)のAラインがダイレクトに乗り入れています。RTDは空港直通のAラインの他に、近郊路線3路線、ライトレール路線8系統を運行しています。

Image: RTD
運行事業者路線主な路線エリア
RTD
(Regional Transportation District: RTD)
Aライン
(A Line)
ダウンタウン
(Downtown)
速達性
RTD・Aライン 

RTD・Aラインは2016年に開通した比較的新しい空港アクセス鉄道です。通勤鉄道(Commuter Rail)として建設されたため、ライトレールと比較して駅数も少なく、かつ線形も比較的良いため、所要時間は車とほぼ同じとなっています。特にデンバー都市圏内は交通渋滞が頻繁に発生するので、定時運行が可能な鉄道による速達性メリットは高いと言えるでしょう。以下は、空港〜ダウンタウンへの所要時間の比較です。

エリア主要駅所要時間
(RTD・Aライン)
所要時間
(自動車)
シティ・パーク
(City Park)
40th・コロラド*
(40th & Colorado)
52分30〜55分
デンバー・ボタニック・ガーデンズ
(Denver Botanic Gardens)
40th・コロラド**
(40th & Colorado)
47分30〜55分
ダウンタウン・エリア
(Downtown)
ユニオン・ステーション
(Union Station)
37分30〜55分
*40系統バスへの乗り換え
**24系統バスへの乗り換え
経済性
RTD・Aライン ★★★

空港からの片道運賃は10.50ドルとなっていますが、ライトレールや路線バスも1日利用できる「リージョナル・エアポート・デイパス(Regional/Airport Day Pass)」も同額で購入できるためお得な価格設定となっています。特に、デンバーはビジネス街や観光場所がダウンタウンに集中しているため、街中を散策するならお得な料金設定となっています。

エリア主要駅料金
(Aライン)
料金
(カーシェアリング)
シティ・パーク
(City Park)
40th・コロラド*
(40th & Colorado)
10.50ドル5〜30ドル
デンバー・ボタニック・ガーデンズ
(Denver Botanic Gardens)
40th・コロラド*
(40th & Colorado)
10.50ドル27〜49ドル
ダウンタウン・エリア
(Downtown)
ユニオン・ステーション
(Union Station)
10.50ドル35〜63ドル
*Regional/Airport Day Passを利用
利便性
RTD・Aライン ★★★

RTD・Aラインは15分間隔(早朝および夜間は30分間隔)での運転となります。全ての駅がバリアフリーに対応しています。運賃の支払いは券売機以外にモバイルアプリ(RTD Mobile Tickets)に対応しています(事前にアプリのダウンロードが必要)。

利便対応状況詳細
高頻度運転15分間隔(日中)
30分間隔(早朝・夜間)
駅のバリアフリー全駅
モバイルチケットRTD Mobile Ticketsアプリ
(Apple・Android端末に対応)
タッチ決済×
快適性
RTD・Aライン ★★★★☆

Aラインでは、シルバーライナー(Silveriner V)と呼ばれる車両が使用されています。車内WiFIや充電用のUSBポートはありませんが、車内には大型荷物置場などが設置されているため、空港利用者も快適に利用できます。また、座席も2列+3列のクロスシートと配置となっています。

車両の快適設備対応状況
バリアフリー
(全車両バリアフリー対応)
大型荷物対応スペース
(大型荷物置き場あり)
座席指定×
充電用USBポート×
車内WiFi×
トイレ×
情報提供ディスプレイ
(広告が中心)
外国語案内×

RTDの通勤路線車両についてはこちらから。

安全性
RTD・Aライン ★★★★☆

RTD・Aラインは通勤鉄道路線なので、全ての列車に車掌が乗務しており、車内検札も実施されるため比較的安心して利用できます。また、日本からの直行便利用の場合は昼間発着なので、深夜などの人の少ない時間は避けることができます。

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