アメリカ第三位の都市圏を有するシカゴの玄関口「シカゴ・オヘア国際空港(Chicago O’Hare International Airport)」は、8本もの滑走路を有する巨大空港で、過去にはギネスブックに世界一混雑する空港として認定されていたこともあります。現在、日本からは日本航空、全日空、ユナイテッド航空が羽田または成田から直行便を運行しており、シカゴ都市圏のみならず、アメリカ中西部、北東部、さらには南部の各都市へのトランジット空港としても重要な役割を果たしています。

そんな、アメリカを訪れる日本人にとっても利用する機会が多いオヘア空港では、開業以来最大となる85億ドル(約1兆円)を投じる大規模リニューアルプロジェクト「O’Hare 21」が進行中です。

オヘア空港の概要
空港アクセス

オヘア空港はシカゴ中心部の23kmほど離れた場所にあります。鉄道アクセスとして、シカゴ・Lのブルーラインがターミナル2に乗り入れており、およそ45分でシカゴ・ダウンタウンまで行くことができます。

現在の空港ターミナル

Image: CDA

現在、オヘア空港には4つの旅客ターミナル(ターミナル1、2、3、5)があり、このうちターミナル1、2、3は主に国内線用(一部の国際線出発便も含む)、ターミナル5は国際線用となっています。

国際線との乗り継ぎ
Image: ANA

オヘア空港では、カナダ便を除いて全ての国際線がターミナル5を使用します。ただ、ターミナル5は国内線が発着するターミナル1、2、3とは繋がっていません。そのため、国際線と国内線との乗り継ぎには、ターミナル間シャトル(Airport Transit System: ATS)を利用して各ターミナル間を移動する必要があります。なお、日本航空、全日空など一部の国際線出発便については、提携航空会社の国内線ターミナルから出発するため、それぞれの提携航空会社の国内線から国際線への乗り継ぎ(例:ユナイテッド航空から全日空)は同一ターミナルで可能となります。

O’Hare 21とは?
白色の部分が増築または新築されるエリアとなります。
Image: CDA

オヘア空港を管理・運営するシカゴ市航空局(Chicago Department of Aviation)では、空港施設を21世紀にふさわしいものに一新し、国際線と国内線の乗り継ぎ動線を大幅に改善することで、世界トップクラスの国際ハブ空港になることを目指す「O’Hare 21」プロジェクトを実施しています。本プロジェクトは、前シカゴ市長で現在の駐日米国大使であるラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)氏のリーダーシップのもとで開始されたもので、総額85億ドル(約1兆円)をかけて、主に以下の項目を実施する巨大インフラプロジェクトとなります。

  • グローバルターミナル(Global Terminal)の建設、25億ドル(約2,700億円)
  • 2つのサテライトコンコース(Satellite 1, 2)の建設、14億ドル(約1,700億円)
  • ターミナル5の拡張・全面リニューアル(2019年に着工済)、12億ドル(約1,500億円)
  • ターミナル3のLコンコース拡張(2018年に完成)、7,800万ドル(約96億円)
  • ターミナル間シャトル(ATS)の延伸および更新(2021年に完成)、3億4,000万ドル(約400億円)
  • マルチモーダルファシリティーの建設(2018年に完成)、5億ドル(約600億円)
  • 新たなエアポートホテルの誘致
  • 滑走路の拡張
グローバルターミナル
Image: CDA

グローバルターミナルはO’Hare 21の中で最大の投資が行われる施設で、現在のターミナル2を解体した跡地に建設されます。新たに整備されるターミナルの広さは現在のターミナル2の2倍以上となります。

Image: StudiORD

ターミナルの断面図です。

Image: StudiORD

グローバルターミナルはターミナル1および3とも接続されるため、国際線から国内線へのスムーズな乗り継ぎが可能となります。なお、日本航空や全日空もグローバルターミナルに移転するとみられており、実現すると、特に日本から到着時のアメリカ国内線への乗り継ぎがかなり改善されることになりそうです。

Image: StudiORD

Y字に枝分かれするシカゴ川を表現したグローバルターミナルを上から見たイメージです。

Image: StudiORD

自然光が降り注ぐターミナルの天井やパネルには木材が多用されており、モダンで温かみのある空間となっています。

Image: StudiORD

ターミナルビル中心の大屋根部分のイメージです。ガラス天井の部分はシカゴの市旗をイメージする形状となっています。

Image: StudiORD

広々とした空間に数多くレストランやショップなどが設置される予定です。

Image: StudiORD

ターミナル間シャトルなどへのアクセスも改善されます。

サテライトコンコースの建設
Image: CDA

O’Hare 21の目玉プロジェクトであるグローバルターミナルは、現在のターミナル2を解体した跡地に建設されます。グローバルターミナル建設中に使用可能ゲート数が大幅に減少しないようにするため、ターミナル2の解体の前に、ワイドボディー機にも対応した2つのサテライトコンコースが整備されます。

Image: SOM

自然光が降り注ぐサテライトコンコースの内装イメージです。

Image: SOM

グローバルターミナル完成後は、将来の発着枠拡大に対応するための増設ゲートとしての役割をはたします。

ターミナル5の拡張
Image: CDA

2019年3月に着工したターミナル5の拡張工事では、ターミナルビルの広さをおよそ33,000平方メートル拡大し、10ゲートが新設される予定です。また、拡張されるエリア以外も全面リニューアルが実施される予定で、新たなエアラインラウンジ、立体駐車場、最新のバゲージクレームエリアなども整備される予定です。

ターミナル5の拡張部分の完成イメージ
Image: CDA

ターミナル5の拡張工事が完成すると、現在ターミナル2を利用しているデルタ航空がターミナル5に移転する予定となっており、デルタ航空およびスカイチーム加盟航空会社と国内線の乗り継ぎが同一ターミナルで可能となります。

Image: CDA

ターミナル5に整備される立体駐車場のイメージです。

ターミナル3コンコースLの拡張
Image: Corgan

2018年にに完成したターミナル3のコンコースLの拡張工事では、5つの新設ゲートが建設され、オヘア空港にとっておよそ25年ぶりの大規模拡張工事となりました。新ゲートは、アメリカン航空が使用しています。

ターミナル間シャトル(Airport Transit System: ATS)の延伸および更新
Image:CDA

オヘア空港のターミナル間シャトル(Airport Transit System: ATS)の延伸、システム更新工事は、当初2019年の完成とされていましたが、パンデミックなどの影響で約2年遅れの2021年11月開業となりました。

Image: TransSystems

この延伸工事では、ターミナル5からレンタカーや駐車場(Economy Lot)があるマルチ・モーダル・ファシリティー(Multi Modal Facility: MMF)までの区間が延伸されました。MMFは、2018年に完成したレンタカー、立体駐車場、バスターミナル、ライドシェア乗り場などで構成される交通ハブ施設です。なお、MMFの近くには通勤鉄道メトラ(Metra)のオヘア・トランスファー(O’Hare Transfer)駅がありますが、ATSの新駅からは少し離れた場所にあるため利便性はあまり良くないようです。

試運転中のATSの新型車両
Image: ChillyBlanket (CC BY-SA 4.0). Wikimedia Commons

ATSの車両は全てボンバルディア(現アルストム)製の新型車両(INNOVIA APM 256)に更新されました。

プロジェクト完成時期

すでに着工しているターミナル5の拡張部分については、2022年以降に新たなゲートの使用が開始される予定となっています。また、グローバルターミナルも含めたのO’Hare 21プロジェクト全体の完成は、現時点で2028年とされています。

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