ドイツ鉄道、ベルリンとアムステルダムを結ぶ国際列車などに導入予定の「ICE L」とは

ドイツ鉄道(Deutsche Bahn: DB)は、2024年10月からベルリンとアムステルダムを結ぶ国際列車に、ステップレスで乗降可能なICE車両「ICE L(Low floor)」を投入する予定です。同車両は、インターシティ(IC)として運行されている長距離列車の高速化や旧式車両の置き換えなどを目的として開発された車両で、2019年にスペインの車両メーカー「タルゴ(Talgo)」に合計23編成(17両編成23本)が発注されました。ICE Lは、同社の高速車両ブランド「タルゴ230(Talgo 230)」がベースの連接式客車となっており、最高速度は230km/hに対応しているほか、重心の低いタルゴ車両の特徴を生かして、ICEの車両としては初となるステップレスでの乗降が可能な車両となります。また、動力集中方式が採用されているため、電気・ディーゼル両用機関車を連結することで非電化区間の走行にも対応する予定です。

Source: DB

導入路線

ICE Lは、2024年10月から営業運転が開始される予定で、2025年6月までにベルリンとアムステルダムの間を2時間間隔で1日5往復が運行されているインターシティ(IC)列車の全てが同形式での運行となります。同列車のICE格上げに伴い、ベルリンからアムステルダムの所要時間が30分程度短縮され、現在の約6時間20分から約5時間50分になる予定です。また、2026年以降には北海に面したリゾート地「ヴェスターラント(Westerland)」とベルリン、ケルン、フランクフルト、さらにアルプスを望む観光地「オーベルストドルフ(Oberstdorf)」とケルンを結ぶ観光路線への投入も予定されています。

Image: DB

ICE Lは、将来的に最大100編成まで増備する計画で、順次、旧式のインターシティ1(Intercity 1)の車両を置き換えていく計画です。

車両デザイン
エクステリア
Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

ICE LはICE 2などと同じくプッシュプル方式のため、機関車が連結されない側の先頭車は客室付きの制御客車となります。

Image: Talgo

ICE Lを牽引するタルゴ製の機関車です。全面デザインは、制御客車と統一されています。また、非電化区間を走行する際は、ディーゼル機関車で牽引することも可能となっています。

Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

ICEのカラーリングを纏ったタルゴ車体はなかなか新鮮です。

Image: Deutsche Bahn AG / Pablo Castagnola

2022年9月にベルリンで開催されたイノトランス(InnoTrans)で展示された試作車の様子です。重心の低いタルゴ車両を採用したことにより、長距離列車停車駅の標準プラットホーム(高さ76cm)においても段差が解消されています。

Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

ICEとしては初となるステップレスの乗降扉の様子です。ステップレスエントリーの採用により、車椅子の利用者もサポートなしで乗降が可能となるほか、大型荷物を持って移動する場合も快適に利用できます。

1stクラス
Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

1stクラスの試作車はまだ公開されていませんが、既存のICEと同様、2列+1列配置の座席配置となり、ボックス席も設けられます。

2ndクラス
Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

試作車の2ndクラスの車内の様子です。座席配置は2列+2列となっていますが、1stクラス同様に大型のヘッドレストが採用されています。また、全座席にコンセントが装備されています。

Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

車内情報案内ディスプレイには、リアルタイム運行情報などが表示されます。また、車内のLED照明は時間帯によって色調を変えられる機能も装備されています。

Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

近年の航空機と同様に、タブレット端末などの利用を想定したホルダーが設置されています。

食堂車
Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

食堂車は、木目調のテーブルと全体的に落ち着きのある色調が採用され高級感が演出されています。

その他の設備
Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

全ての利用者が快適に利用できるよう、ファミリースペースも設置されています。

Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

ヨーロッパでは標準となりつつある自転車ラックは、1編成につき8台分が確保されます。

Image: Deutsche Bahn AG / Talgo

車椅子利用者向けの座席には、電動式で高さを調整可能なテーブルが設置されます。

Image: Deutsche Bahn AG / Oliver Lang

洗面台は、日本でもよく見かける洗浄から乾燥までをタッチレスで行える方式が採用されています。

車両スペック
運行者ドイツ鉄道(Deutsche Bahn: DB)
製造者タルゴ(Talgo)
車両ブランドタルゴ230(Talgo 230)
導入編成23編成(1編成17両+機関車)※最大100編成
車両番号
定員562席(1stクラス: 85席、 2ndクラス: 477席)
営業開始(予定)2024年10月〜
運行路線IC Line 77、2026年以降は順次運行路線を拡大予定
運行区間ベルリン〜アムテルダム(2024年10月〜)
ヴェスターラント〜ケルン、ベルリン、フランクフルトなど(2026年夏季〜)
オーベルストドルフ〜ケルン(2026年冬季〜)
設計最高速度230km/h(営業最高速度)
機関車Talgo Travca
※ディーゼル機関車での牽引にも対応

Source: DBTalgo

«
»

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です