アムトラック(Amtrak)が運行するアセラ(Acela)は、アメリカ初の高速列車として2000年に運行開始しました。以来、アムトラックのフラッグシップトレインとして多くのビジネス客が利用しています。2019年にはニューヨーク・ワシントンD.C.間をノンストップで運行する列車を設定、2021年には新型車両の導入を予定するなど、今後のビジネス利用の拡大を見据えて積極的な投資姿勢が見られました。しかしながら、パンデミックの影響で現在は1日5往復のみ(通常は20往復)の運行になっています。
そんな厳しい状況が続く中ではありますが、アムトラックはアセラ運行20周年記念として、破格の片道どの区間でも20ドルで乗車できるキャンペーンを実施しました。ということで、普段は運賃が高額で手の届かないアセラに乗車してきましたので、フォトレポしたいと思います。
出発前
アセラは、ボストンからワシントンD.C.の総走行距離735kmの区間を最速6時間38分で結んでいます。アセラは高速鉄道と言っても最高時速240kmで走れる区間が限られているため、東京・新青森間よりも少し長い距離を倍以上の時間をかけて走ることになります。筆者は今回、ニューヨーク・ボストン間を往復で利用しました。
ニューヨーク・ペンステーションに到着すると、すでに筆者が乗車予定の18:00発アセラ2170号ボストン行きの表示がされていました。ちなみにペンステーションでは、列車到着の10分くらい前に発着ホームが確定するため、乗客は自分の乗る列車が何番ホームから出発するか電光掲示板に表示されるまでコンコース付近で待つことになります。なお、ペンステーションにはアセラのファーストクラス利用者向けのラウンジが設置されていますが、ビジネスクラスは対象外となっています。
アセラ2170号は8番ホームから出発とのアナウンスがありホームに向かうと、既にアセラが到着していました。流線型の前面にアムトラックの紺色が特徴的なフロント部分です。車両はフランスのアルストム(Alstom)社製となっています。
フランスのTGVなどと同じ動力集中方式となっているので、先頭車両と最後部車両は機関車となっています。側面に大きく配されたアセラのロゴが目を引きます。
ニューヨーク・ペンステーションの駅名標と絡めて撮ってみました。
乗降扉はプラグドアとなっています。ビジネスクラスと表示がありますが、アセラにはビジネスクラスとファーストクラスしかありませんので、ビジネスクラスはアセラの中では一番安い座席になります。
車内設備
デッキ部分には上のような案内表示器が設置されています。
こちらは車両連結部分です。20年以上経つ車両ですが、車内は一度リニューアルを受けていることもあり清潔に保たれています。
ビジネスクラスの座席は2席+2席の配列となっています。また荷物棚は飛行機のような形となっています。
車端部には電光掲示板とトイレの使用状況が分かるサインがあります。
こちらはボックス席です。折りたたみ式のテーブルがあります。
各座席の上の荷物棚付近には座席の予約状況が確認できる液晶が設置されていますが、実際には活用されていないようです。
リクライニングのボタンです。ヘッドホンジャックもありますが使用されていませんでした。
各座席の窓側にコンセントが2箇所設置されています。
各座席の上には読書灯もあります。
こちらはカフェカーです。軽食やスナック、コーヒーなどが注文できます。イートインコーナーはコロナ対策のため閉鎖されていました。カフェカーは2021年に運行開始する新型車両にも連結されます。
お手洗いはバリアフリーに対応しています。撮影時は清掃も行き届いていました。
洗浄方式は新幹線などと同じ真空式です。
洗面所もきれいに掃除されています。
おむつ交換台もあります。
こちらはおまけですが、ペン・ステーションでは車内で食べることのできる寿司なども売っています。少し高めですが味は普通に美味しいです。
最後に、アセラがボストンからニューヨークに到着する前に見ることができる車窓です。これぞニューヨークといった感じの摩天楼を遠目に見ることができます。
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