アムトラック、クレセント号の寝台車(ルーメット)

アムトラック(Amtrak)の「クレセント(Crescent)」は、ニューヨークからニューオーリンズまでの総延長2,216kmを結ぶ長距離列車です。クレセントには通常の客車コーチクラス、ビジネスクラスと寝台車および食堂車が連結されています。現在、パンデミックの影響で週3往復の運行ですが、通常はデイリー運行となっています。今回、クレセントの寝台車に乗車する機会がありましたので、フォトレポしたいと思います。

フォトレポの前に、アムトラックの寝台について簡単に説明しておきます。アムトラックの寝台には大きく分けて、ベッドルーム・スイート(Bedroom Suite)、ベッドルーム(Bedroom)、ファミリールーム(Family Room)、ルーメット(Roomette)の4種類があります。大きな違いとしては、ルーメットのみプライベートシャワーが備え付けられていません。なお全ての寝台設備は個室となっていますので、どの寝台を利用してもプライベートな空間を楽しめます。出発前後のラウンジサービスおよび車内でのミールサービスは全ての寝台料金に含まれています。

クレセント号のルート
Image: Amtrak

こちらはクレセントの走行ルートです。ニューヨークからワシントンD.C.、シャーロット、アトランタなどを経由して最終目的地のニューオーリンズに向かいます。

乗車前

筆者はクレセントの始発駅であるニューヨーク・ペンステーションからサウスカロライナ州にあるクレムソン(Clemson)駅まで、ルーメットを利用しました。前述のとおり、寝台の利用者は出発前にラウンジの利用が可能です。ペンステーションのラウンジは改装前なのでかなり年季の入った古い施設ですが、利用者がアセラファーストクラスおよび寝台利用者に限られるのでかなり快適に過ごすことができます。

ラウンジ内はこんな感じです。写真には写っていませんが、コーヒー、ソフトドリンク、スナック類は無料で提供されています。また、無料Wi-Fiや各座席にコンセントも完備されているので出発前の時間を利用して快適にメールチェックなどができます。また、事前予約制となっていますが会議室も利用できます。

クレセントの出発時刻は14時25分です。列車の発着番線は出発の数十分前に確定しアナウンスがなされます。

列車到着のアナウンスが流れホームに向かうと、クレセントの車両が停車していました。列車番号は19号です。

車体側面にある寝台(Sleeping Car)の表示です。寝台というのはいつの時代もワクワクするものですね。Amtrakの寝台車には専従のアテンダントの方がいて、乗車前にチケットと名前を確認されます。今回はパンデミックの最中ということもあり、アテンダント1名で全ての寝台利用者に対応されていました。

車内設備

ルーメットの客室前の通路です。幅は狭いですが快適に移動できます。

こちらは筆者が今回利用するルーメットです。

出発時はご覧のような配置となっています。最大2名までの利用が可能です。設備は古いですがきれいに清掃されています。

ちなみにテーブルを開くとご覧のようにチェスボードとして利用することも可能です。ちなみにチェスピースは持参です。

室内の気温は各部屋ごとに調整可能です。

読書等なども装備されています。

こちらはゴミ箱です。ちなみに、その横にあるのはトイレットペーパーです。この狭いスペースのどこにトイレが?と思われるかもしれませんが、詳細はこのあと紹介します。

上部には荷物置き場もありますが、かなり高い位置にあるので重い荷物などを入れるのは結構大変です。

そして先ほど話したトイレットペーパーの謎ですが、ルーメットにはシャワールームこそありませんが、ご覧のようにトイレが設置されているのです。座席のすぐ横にトイレってなんか少し気が引けますが、実際に横の座席に座ってみるとそんなに気にはなりませんでした。

トイレの上部には簡易洗面台が設置されています。シャワーを浴びたい場合を除いで完全にプライベートな空間で移動できるのは嬉しいですね。

使用しない時はご覧のように折りたたむことができます。

そしてこちらがトイレの蓋を開けた状態です。2人で利用する時はプライバシーゼロなので、もう一人は外で待つ必要があります。笑

夕食の時間になると、アテンダントの方が注文を取りに来てくれます。クレッセントでは去年までフルサービスの食堂車が連結されていましたが、飛行機の機内食のようなサービスに変更されてしまいました。やはり日本と同じように採算を取るのが難しいのでしょうか。なお、東海岸から西海岸などを結ぶ超長距離列車ではフルサービス食堂車が継続されています(現在はパンデミックの影響で営業休止中)。

こちらが食事です。電子レンジで温められた食事ですが意外に美味しかったです。ただ、もう少しボリュームが欲しかったですね。ちなみに、ビールは冷えすぎというか凍っていました。笑

食事が終わり夜になると、アテンダントの方が座席をベッドに変更してくれます。こちらは下段のベッドです。

こちらは上段のベッドになります。

客室外から見るとこんな感じです。平均的な身長の大人が足を伸ばすのに十分なスペースがあり快適に寝ることができます。

リネンも清潔でした。クレムソン到着は早朝なので、フォトレポはここまでにしたいと思います。今回初めて利用したアムトラックの寝台車ですが、アメリカの長距離列車は乗車時間が非常に長いので、寝台サービスはとてもオススメです。パンデミックが落ち着いてアメリカに旅行される際は、是非利用してみてはいかがでしょうか。

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