アムトラックの利用者数トップ10(2022年度版)

アムトラック(Amtrak)は22日、2022年度(2021年10月〜2022年9月)の利用状況などを取りまとめた予算概算要求のための年次報告書を公開しました(General and Legislative Annual Report)。コロナとの共存へと舵を切った2022年度のアムトラック利用者数は、2021年度と比較して概ね倍増しましたが、パンデミック前の2019年度と比較すると依然として7〜8割程度にとどまる結果となりました。以下、2022年度のアムトラック利用者数トップ10を、駅、州、列車ごとに、さらに収支率トップ10を列車ごとにまとめました。

Source: Amtrak

乗降客数トップ10の駅
特別ラッピングを纏ったシーメンスACS-64電気機関車に牽引されるノースイースト・リージョナル
Image: Amtrak

2022年度のアムトラック乗降客数が最も多かった駅は、およそ800万人を記録したニューヨーク・ペンステーション(モイニハン・トレインホール)で、第2位のワシントンD.C.ユニオン・ステーション、第3位のフィラデルフィア30thストリート・ステーションから倍以上の差をつけてのトップとなりました。なおトップ10のうち、シカゴユニオン・ステーションとロサンゼルスユニオン・ステーション以外は、全てボストンからワシントンD.C.を結ぶ北東回廊(Northeast Corridor)からランクインしています。また、トップ10にランク入りした全ての駅で前年比1.5から2倍の乗降客数を記録しましたが、パンデミック前の2019年度比では7〜8割程度にとどまっています。

順位
(FY2022)
駅名乗降者数
(FY2022)
前年比
(FY2021)
コロナ前比
(FY2019)
ニューヨーク
Penn Station
8,008,700197%74%
ワシントンD.C.
Union Station
3,631,677207%70%
フィラデルフィア
30th Street Station
3,058,329204%68%
シカゴ
Union Station
2,359,084177%71%
ボストン
South Station
1,216,560179%77%
ロサンゼルス
Union Station
928,558199%66%
ボルチモア
Penn Station
838,591188%80%
オールバニ・レンセリア
Albany–Rensselaer
640,353169%79%
ニューヘイブン
Union Station
617,119178%79%
10ボストン
Back Bay
606,967188%84%
アムトラックの年度(FY)は10月から開始
Source: FY 2022 Company Profile, FY 2021 Company Profile, FY 2019 Company Profile
乗降客数トップ10の州
コロナ前と比較して唯一利用者が増加したバージニア州の州都リッチモンドを出発するアムトラックの列車
Image: Amtrak

州別のアムトラック乗降客数についても人口が集中する北東回廊に位置する州から7州がランクインしています。また、第2位には全米最大の人口を抱えるカリフォルニア州が、第5位には全米第3位の都市圏シカゴを有するイリノイ州がランクインしています。これらの州では昨年度と比較して乗降客数が2倍近く増えましたが、コロナ前と比較すると依然として7割程度となっています。なお、アメリカ南東部の州から唯一ランクインしたバージニア州では、州政府の支援により都市間列車の運行本数が大幅に増えたため、唯一コロナ前よりも乗降客数が増加する結果となりました。

順位
(FY2022)
州名乗降客数
(FY2022)
前年比
(FY2021)
コロナ前比
(FY2019)
ニューヨーク
New York
9,894,418190%76%
カリフォルニア
California
6,436,328182%56%
ペンシルベニア
Pennsylvania
4,182,396196%63%
コロンビア特別区
District of Columbia
3,631,678207%70%
イリノイ
Illinois
3,389,218174%72%
マサチューセッツ
Massachusetts
2,679,582192%77%
バージニア
Virginia
1,578,656174%102%
メリーランド
Maryland
1,576,764190%78%
コネチカット
Connecticut
1,448,438184%79%
10ニュージャージー
New Jersey
1,173,886197%67%
アムトラックの年度(FY)は10月から開始
Source: FY2024 Grant Request, FY 2023 Grant Request, FY 2021 Grant Request
利用者数トップ10の列車
ビジネス利用が回復しつつあるアセラには2023年に新型車両がデビュー予定
Image: Amtrak

利用者が圧倒的に多かった列車は北東回廊のノースイース・トリージョナルで、およそ700万人の利用がありました。第2位はおよそ210万人が利用した高速列車アセラで、昨年度と比較して2.5倍近くの利用がありました。また、その他の列車についても、昨年度と比較して利用者が軒並み倍増する結果となりました。一方で、パンデミック前との比較では7〜8割程度の回復率にとどまっており、特に北東回廊以外での回復が遅れている傾向がみられました。

順位
(FY2022)
列車名主な運行区間利用者数
(FY2022)
前年比
(FY2021)
コロナ前比
(FY2019)
ノースイースト・リージョナル
Northeast Regional
ボストン〜ワシントンD.C.7,091,325202%79%
アセラ
Acela
ボストン〜ワシントンD.C.2,144,369239%60%
パシフィック・サーフライナー
Pacific Surfliner
ロサンゼルス〜サンディエゴ1,634,087194%59%
エンパイア・サービス*
Empire Service
ニューヨーク〜オールバニ1,019,187166%84%
キーストーン
Keystone
ニューヨーク〜ハリスバーグ806,430205%51%
サン・ホアキン
San Joaquins
オークランド/サクラメント〜ベーカーズフィールド710,051164%66%
キャピトル・コリドー
Capitol Corridor
オーバーン〜サンノゼ674,039190%38%
ハイアワサ
Hiawatha
シカゴ〜ミルウォーキー501,925208%57%
リンカーン・サービス
Lincoln Service
シカゴ〜セントルイス476,180182%76%
10ダウンイースター
Downeaster
ボストン〜ブランズウィック444,812216%80%
アムトラックの年度(FY)は10月から開始
*ニューヨーク〜オールバニ間
Source: FY2024 Grant Request, FY 2023 Grant Request, FY 2021 Grant Request
収支率トップ10の列車
パンデミック以降で初めて収支率が100%を上回ったノースイースト・リージョナル
Image: Amtrak

2022年度は、パンデミック以降で初めてノースイースト・リージョナルの収支率が100%を上まわりました。また、昨年度に引き続きワシントンD.C.郊外とフロリダを結ぶオート・トレインの収支率が好調となりました。しかし、パンデミック前に収支率202%を誇ったアムトラックのドル箱列車アセラの落ち込みが依然として顕著となっています。また、パンデミック前に収支率100%を超えていたノースイースト・リージョナルのバージニア直通列車については、運行本数が増えたことで利用者数は過去最高を記録しましたが、収支率が下がる結果となりました。

順位
(FY2022)
列車名収支率*
(FY2022)
収支率*
(FY2019)
オート・トレイン
Auto Train
122%92%
ノースイースト・リージョナル
Northeast Regional
102%150%
アセラ
Acela
99%202%
カロリニアン
Carolinian
68%94%
バージニアサービス・ロアノーク
VA Service: DC-Roanoke
64%139%
パルメット
Piedmont
63%79%
バージニアサービス・ニューポートニューズ
VA Service: DC-Newport News
56%117%
ピードモント
Piedmont
55%38%
バージニアサービス・ノーフォーク
VA Service: DC-Norfolk
51%111%
10ペンシルベニアン
Pennsylvanian
50%73%
アムトラックの年度(FY)は10月から開始
エンパイア・サービスは収支率84%でしたが対象区間がパンデミック前と変更になり比較できないため省略
*州からの補助金を受けて運行している列車は補助金を差し引いた収支率を表示
Source: FY2024 Grant Request, FY 2021 Grant Request
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