英国では、ロンドンとバーミンガム、マンチェスターなどを最高速度360km/hで走行可能な高速鉄道専用線で結ぶインフラプロジェクト「ハイスピード２（High Speed 2: HS2）」の整備が進められています。HS2は現在、2029〜2033年ごろの開業を目指してロンドンとミッドランド西部を結ぶ区間（フェーズ１）の建設が進められており、同区間には４つの個性的な新駅が誕生する予定です。その中でも最大規模のターミナル駅となるロンドン・ユーストン（London Euston）駅の整備は、新駅建設に合わせて公共スペースや再開発ビルの整備、既存駅の改修なども一体的に実施される再開発プロジェクトとなる予定で、ロンドンの主要鉄道ターミナルの一つであるユーストン駅にとって一世一代のプロジェクトとなる予定です。
ロンドン・ユーストン駅の概要
場所
現在のロンドン・ユーストン駅は、ロンドン中心部北部に位置する主要鉄道ターミナルの一つであり、ロンドンとミッドランド西部、イングランド北西部、スコットランドの各都市を結ぶウェスト・コースト本線（West Coast Main Line）の玄関口となっています。
規模
HS2のユーストン駅は、現在のユーストン駅ホームに隣接する60エーカー（約24万平方メートル）の敷地の地下（上の図の赤色の部分）に整備される計画で、ホーム上部の空間には完成するとイギリス最大の広さを誇ることになる全長およそ300mのコンコース空間、緑地などの公共スペース、再開発ビルなどが整備されます。さらに、現在のユーストン駅についても大規模改修が計画されています。
ユーストン駅を起点とするHS2の列車は、ピーク時には１時間あたり最大17本の運行が計画されているため、６面10線のホームが整備される予定となっています。また、ホーム長は450mとなり最大16両編成の列車に対応可能となります。
接続路線
ユーストン駅では、ナショナルレール、ロンドンオーバーグラウンド、地下鉄ユーストン駅（ヴィクトリア線、ノーザン線）、および地下鉄ユーストン・スクエア駅（サークル線、ハマースミス&シティー線、メトロポリタン線）への乗り換えが可能となります。なお、HS2の地下ホームから地下鉄ユーストン駅および同ユーストン・スクエア駅へ直接アクセスできる地下連絡通路も整備される予定です。
Source: HS2、Euston Station Design
新駅舎のデザイン（2022年11月時点のもの）
※意見公募の結果によってはデザインが一部変更される可能性があります。
エントランス
ユーストンストリート（Euston Street）に面したサウススクエア（South Square）側のエントランスのイメージです。このシンボリックなデザインの大屋根にはアルマイト処理されたアルミニウムが使用される予定です。
こちらはノーススクエア（North Square）側のエントランスイメージです。サウスエントランス同様の大屋根が特徴となっています。
新駅舎の西側のエントランスの一つとなるドラモンドストリート（Drummond Street）に面したエントランスのイメージです。
コンコース内部
コンコース内部のイメージです。この大屋根の形状は、コンコース内の空気の循環を良くすると同時に、自然光がコンコース内に多く降り注ぐようにデザインされており、環境に優しい駅舎となっています。
コンコース内からサウススクエアを見たイメージです。
その他
サウススクエアに面した地下鉄の新エントランスのイメージです。
ゴードンストリート（Gordon Street）に整備される地下鉄ユーストン・スクエア駅のエントランスのイメージです。
歩行者だけでなく自転車利用者の駅へのアクセス動線を改善するため自転車専用道も整備されます。
参考：HS2ロンドン・ユーストン駅（2022年11月時点のもの）
| 名称 | ロンドン・ユーストン駅（London Euston Station） |
| 住所 | Euston Road, London, Greater London, NW1 2RT |
| 駅構造 | 地下駅 |
| ホーム | ６面10線（ホーム長450m） |
| 敷地面積 | 60エーカー（約24万平方メートル） |
| 接続路線 | ナショナルレール（National Rail） ロンドンオーバーグラウンド（London Overground） ヴィクトリア線（Victoria Line） ノーザン線（Northern Line） サークル線（Circle Line） ハマースミス&シティー線（Hammersmith & City Line） メトロポリタン線（Metropolitan Line） |
| 事業主 | HS2 Ltd. |
| 設計者 | Arup、WSP、Grimshaw Architects |
| 施工者 | Mace Dragados joint venture（MDjv） |
| 着工予定 | 2025年（駅舎本体）※基礎工事などは2023年から開始 |
| 完成予定 | 2028年（駅舎本体）※営業列車の運行開始は2031年以降を予定 |
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