パンデミックによる働き方改革の影響で世界各国の鉄道事業者は苦戦を強いられていますが、ワクチン接種が進むニューヨークにおいても鉄道利用者は回復していないようです。ニューヨーク地下鉄(New York City Subway)、ロングアイランド鉄道(Long Island Railroad: LIRR)、メトロノース鉄道(Metro-North Railroad: Metro North)などを管轄するニューヨーク州都市交通局(Metropolitan Transit Authority: MTA)では、パンデミック前と比較した鉄道利用者の推移を公表していますが、それによると全ての鉄道路線でパンデミック前の半分程度の利用状況にしか戻っていないようです。
ニューヨーク地下鉄の乗客数推移
(MTAの公開データより作成)
こちらはニューヨーク地下鉄の平日の利用状況です。ロックダウンの開始と同時に乗客数が激減しました。その後、徐々に乗客数は回復しつつありますが、ワクチン接種がかなり進んだ2021年7月になっても以前の半分にも満たない利用状況が続いています。
(MTAの公開データより作成)
こちらは休日の利用状況です。休日の利用状況もロックダウンと同時に激減しましたが、休日の方が乗客数の回復が早いことがわかります。
※ニューヨーク地下鉄の乗客数はメトロカード(MetroCard)のスワイプ数、およびOMNYのタッチ数から算定されています。
ロングアイランド鉄道の乗客数推移
(MTAの公開データより作成)
こちらはロングアイランド鉄道の平日乗客数の推移です。こちらも回復基調にはありますが、パンデミック前の4割程度にとどまっています。
(MTAの公開データより作成)
一方で、休日の乗客数はパンデミック前の7割近くまで回復してきています。
※ロングアイランド鉄道の乗客数は乗車券や定期券の販売数をもとに算定されています。なお、2021年6月以降の2019年乗客数は算定方法が変わった可能性があります。
メトロノース鉄道の乗客数推移
(MTAの公開データより作成)
メトロノース鉄道についても平日の乗客数はパンデミック前の4割程度までしか回復していません。
(MTAの公開データより作成)
休日に関してはロングアイランド鉄道と同じく7割程度まで回復してきています。
※メトロノース鉄道の乗客数は乗車券や定期券の販売数をもとに算定されています。なお、2021年6月以降の2019年乗客数は算定方法が変わった可能性があります。
パンデミック前の乗客数と比較した減少率
こちらは、MTAが公表している平日と休日の推定乗客数のパンデミック前からの減少率をグラフ化したものです。ニューヨークの鉄道利用状況は、全ての鉄道路線において平日の乗客数回復が遅れていることが顕著に現れています。これは、ワクチン接種が進んでも多くのオフィスワーカーはリモートワークを継続していることが影響していると思われます。一方で、休日の利用については回復速度が早いことから、ワクチン接種が進んでいることでレジャー利用の乗客は急速に回復しつつあると言えます。今後、オフィスワーカーの利用者がどのような形で鉄道を利用していくのか注目していきたいと思います。
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