サンフランシスコ市営鉄道(San Francisco Municipal Railway: Muni Metro)では、老朽化が進むライトレール車両(ブレーダ製のLRV2およびLRV3)の置き換え、および2022年末以降の開業を予定しているセントラル・サブウェイ(Central Subway)の開業に向けた輸送力増強を目的として、2017年から次世代ライトレール車両「LRV4」の導入を進めています。同車両は、シーメンス・モビリティ(Siemens Mobility)の「S200 SF形」と呼ばれる新型ライトレール車両で、これまでに合計249両が発注されており、最終的には合計279両が増備される計画となっています。新型車両の増備は2027年ごろまで続く予定で、最終的には既存車両全てがLRV4に置き換えられる予定です。
Source: Siemens
Muniの次世代ライトレール車両「LRV4」の運行エリア
Muniメトロは、1940年代から50年代にかけて多くの路面電車がバス路線へと置き換えられていく中、利用者の多い路面電車路線の一部をライトレール路線として再整備したもので、1980年に最初の運行が開始されました。現在は6路線(ラッシュ時間帯はシャトルも運行)が運行されており、総延長は約72 マイル(約115km)となっています。また、2022年末には開業が大幅に遅れているセントラル・サブウェイが開通する予定で、チャイナタウンやカルトレインのターミナル駅である4th・キングストリート(4th & King Street)駅への鉄道アクセスが向上する予定です。現在、次世代車両であるLRV4は、Muniメトロ全線で運行されています。
LRV4(シーメンスS200 SF形)のデザイン
エクステリア
グレーをベースに赤のアクセントが入るカラーリングは、既存のMuniのライトレール車両やバスと同じですが、よりシャープな印象を与えるLEDヘッドライトや大型窓などの採用で、非常に洗練された感じに仕上がっています。また、Muniの独特なロゴも良いアクセントになっています。
斬新なデザインなので、遠目に見ても一発で新型車両であることが分かります。
違う角度から見た外観です。乗降ドアは片側4箇所となっています。
運転台後ろの扉は一枚扉となっています。
LEDテールライトが点灯している様子です。前面のLED行先表示器は、行き先がオレンジ色のLED、路線番号がフルカラーLEDで表示されるようになっています。
サンフランシスコ中心部では、ホームとの段差がなくスムーズな乗車が可能ですが、一部区間では路面電車のように簡易の停留所に停車する区間もあり、その場合はドア付近の床が降下してステップとなります。
ちなみに車両のエクステリアデザインは、当初は上の3案が提案され、市民の意見などを取り入れて真ん中の案が採用されました。
インテリア
長時間乗車は想定されていないため、強化プラスチック製のロングシートが採用されています。通常の座席はレッド、優先席はブルーとなっています。また、ドア付近のスタンションポールは黄色となっています。
車内照明にはLEDが採用されています。また、2連接車のため車両中央は連接バスのような構造になっています。
最新車両らしく車内案内表示ディスプレイが設置されており、行き先、路線図、次駅案内などが表示されます。
Muniメトロでは、地下鉄区間の駅には自動改札や券売機がありますが、それ以外の駅には基本的に改札がありません。そのため、改札のない駅から乗車する場合は、車内に設置されたICカードリーダーにClipperカード(SuicaのようなIC乗車券)をタッチ、Muniのアプリでチケットを購入、または運転台横の料金箱に直接運賃(現金のみ)を投入する必要があります。
シーメンスの当初の提案では、木目調のデザインを採用したシートとなっていました。こちらも、市民の意見を取り入れた結果、実車ではかなり違った内装となりました。
LRV4(シーメンスS200 SF形)の概要
運行者 | サンフランシスコ市営鉄道(San Francisco Municipal Railway: Muni) |
製造者 | シーメンス・モビリティ(Siemens Mobility) |
モデル | LRV4(S200 SF形) |
導入予定数 | 249両(2連接車)※さらに30両を追加増備予定 |
車両番号 | 2001〜2249 |
定員(1両あたり) | 約193人(60席)、車椅子スペース4箇所 |
営業開始 | 2017年〜 |
運行路線 | 全線 |
運行区間 | 全区間 |
設計最高速度 | 88.5 km/h(55 mph) |
制御方式 | IGBT-VVVFインバータ制御(Siemens) |
Source: Siemens
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