ニューヨーク州のキャシー・ホウクル(Kathy Hochul)知事は、今月5日に行われた会見(2022 State of the State)において、ブルックリン(Brooklyn)とクイーンズ(Queens)を結ぶ新線「インターボロー・エクスプレス(Interborough Express)」の環境アセスメントを開始するようニューヨーク州都市交通局(Metropolitan Transportation Authority: MTA)に指示したと発表しました。ニューヨーク市にある5つのボロー(Borough: 日本でいう行政区)のうち、人口上位1、2位を占めるブルックリンおよびクイーンズでは、マンハッタンへの鉄道アクセスは良い反面、両ボロー間を結ぶ鉄道ネットワークが貧弱といった課題を抱えています。
インターボロー・エクスプレスは、この問題を解決するために計画されている新線で、ブルックリンのベイリッジ(Bay Ridge)付近とクイーンズのジャクソンハイツ(Jackson Heights)付近を40分以内で結ぶ予定となっています。
インターボロー・エクスプレス計画の概要
建設の背景
インターボロー・エクスプレス線の計画ルート沿線には、およそ90万人の沿線人口、26万人の雇用があり、これらは今後25年でさらに増加すると予測されています。現在、ブルックリン・クイーンズ間の移動需要は1日10万人以上あるとされ、これらの人の多くは交通渋滞の影響を受けやすいバス利用を強いられています。新線は、最大で17の地下鉄路線およびロングアイランド鉄道への乗り換えを可能とすることで、1日約74,000〜88,000人の利用が見込まれています。
カバーするエリアおよび予想される接続路線
新線が建設されるエリアと各エリアで接続されると予想される路線を以下にまとめました。
エリア | 行政区 | 接続路線* |
---|---|---|
サンセットパーク(Sunset Park) | ブルックリン | R・N |
ボローパーク(Borough Park) | ブルックリン | D |
ケンジントン(Kensington) | ブルックリン | F |
ミッドウッド(Midwood) | ブルックリン | B・Q |
フラットブッシュ(Flatbush) | ブルックリン | 2・5 |
フラットランズ(Flatlands) | ブルックリン | |
ニューロッツ(New Lots) | ブルックリン | L・3 |
ブラウンズビル(Brownsville) | ブルックリン | 3 |
イーストニューヨーク(East New York) | ブルックリン | A・C・J・L・Z・LIRR** |
ブッシュウィック(Bushwick) | ブルックリン | L |
リッジウッド(Ridgewood) | クイーンズ | M |
ミドルビレッジ(Middle Village) | クイーンズ | M |
マスペス(Maspeth) | クイーンズ | |
エルムハースト(Elmhurst) | クイーンズ | M・R |
ジャクソンハイツ(Jackson Heights) | クイーンズ | E・F・M・R・7 |
**ロングアイランド鉄道
既存の貨物線の活用
新線はブルックリンのベイリッジ(Bay Ridge)からクイーンズのジャクソンハイツ(Jackson Heights)を結ぶ、約14マイル(約22.5km)の既存の貨物線(Bay Ridge Branch)を活用して建設される予定です。これにより、工期の短縮が可能となるほか、この路線とは別にすでに環境アセスメントが進められているジャージーシティ(Jersey City)とベイリッジを結ぶクロスハーバー鉄道貨物トンネル(Cross Harbor Rail Freight Tunnel)との一体的運用を視野に入れて整備することで、 市内を通過する貨物輸送トラックの大幅な削減も期待でき、結果として交通渋滞の緩和にも貢献できるとしています。
整備方式の検討
今回実施される環境アセスメントでは、ヘビーレール(日本の都市高速鉄道)、ライトレール、BRT(バス・ラピッド・トランジット)など複数の整備方式を検討し、最終的にどの方式で建設するのが望ましいかを判断する予定となっています。
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