ニューヨーク州都市交通局(Metropolitan Transportation Authority: MTA)では、2月28日より、地下鉄およびバスの運賃の上限額を週33ドル(約3,800円)にする新運賃制度を試験的に導入すると発表しました。この新運賃制度は、MTAが2019年より導入を進めているコントクトレス決済に対応した支払いシステム「OMNY」を対象にしたもので、試験期間は最低4ヶ月間としています。
事前購入なしに週33ドルで地下鉄、バスが乗り放題に
現在、MTAが運行する地下鉄およびバス路線(Expressバスは除く)においては、2.75ドル(約320円)で全区間利用できるの均一運賃が採用されています。また、メトロカード(MetroCard)と呼ばれる磁気ストライプ式のプリペイドカードを使用する場合、7日間33ドル、30日間127ドルの乗り放題パスを利用することもできます。しかし、乗車回数が乗り放題料金に満たなかった場合は結果的に損してしまうため、直近の計画が立てにくい利用者にとってはあまり使い勝手のよいものではありませんでした。
OMNYでMetroCard同様の割引が利用可能に
今回試行されるOMNY利用者向けに提供される運賃制度では、週初めの月曜日からカウントして12回目(33ドル分)の乗車までは通常の均一運賃の支払いが生じますが、それ以降、日曜日の深夜まで何度乗車しても無料となります。これによって、事前に計画をたてて乗り放題運賃を購入しなくても、利用回数に応じて自動的に割引が受けられるようになります。
利用ケース | 運賃上限 (OMNY) | 運賃上限 (MetroCard) |
月から日曜日の7日間に13回以上利用 | 33 | 33* |
OMNYを利用するとMetroCardよりも割高になる場合も
これまでの乗り放題運賃は使用開始日から利用期間がカウントされていましたが、OMNYの新運では常に月曜日からカウントされるため、これまでの乗り放題運賃よりも実質値上げになるケースもあるので注意が必要です。例えば、日曜日を挟んだ7日間に出張や旅行などでニューヨークを訪れる場合、MetroCardの7日間乗り放題を利用する場合の運賃は33ドルでしたが、OMNYを利用する場合は最大で66ドルとなるケースも生じてしまいます。また、1ヶ月で47回以上利用する場合は、MetroCardの30日間乗り放題運賃の方が割安となります。
利用ケース | 運賃上限 (OMNY) | 運賃上限 (MetroCard) |
日曜日を挟んだ7日間に13回以上利用 | 35.75〜66 | 33* |
連続した4週間に毎週13回以上利用 | 132 | 127** |
**30-Day Unlimitedを事前に購入した場合
対象となる交通機関
新運賃制度の対象となるのは、ニューヨーク市地下鉄全線、スタテンアイランド鉄道(SIR)、MTAが運行する路線バス全線(Expressバスは除く)となります。なお、距離制運賃を導入しているロングアイランド鉄道(LIRR)、メトロノース鉄道(Metro North)、MTAの運行路線ではないPATHトレインは対象外となります。
今後の予定
今回試行されるOMNYの新運賃制度は、パンデミック以降に公共交通の利用パターンが多様化していることを考えると、非常に使い勝手の良いものになりそうです。MTAでは、今回の新運賃制度の試行期間である2月28日からの4ヶ月間において、地下鉄やバスの利用パターン、運賃収入にどのような変化があるかを検証し、良好な結果が得られた場合は期間延長または正式導入をするとしています。
なお、MetroCardは2024年までに全廃されOMNYに統一される予定なので、それに合わせて今後新たな割引運賃が設定されるのか、それともこのまま一部の利用者にとっては実質値上げとなるのか注目していきたいと思います。
※1ドル=115円で計算
Source: MTA
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