ニューヨークの鉄道利用者数はどこまで回復した?

ワクチン接種が進むニューヨークでは、経済活動も回復しつつあります。そんなニューヨーク経済を支えるニューヨーク地下鉄(New York City Subway)、ロングアイランド鉄道(Long Island Railroad: LIRR)、メトロノース鉄道(Metro-North Railroad: Metro North)などを管轄するニューヨーク州都市交通局(Metropolitan Transit Authority: MTA)では、パンデミック前と比較した鉄道利用者の推移を公表しています。それによると、2021年9月14日の地下鉄利用者数が、パンデミックが始まって以来初めて300万人を突破しました。また、その後も回復傾向が続き、10月27日には330万人台まで回復しています。その他の鉄道についても同様の傾向が見られるようです。

ニューヨーク地下鉄の乗客数推移
パンデミック以降の平日推定乗客数(地下鉄)
(MTAの公開データより作成)

ニューヨーク地下鉄の平日の利用状況です。ロックダウンの開始と同時に乗客数が激減しました。ワクチン接種がかなり進んだ2021年7月になって、ようやく以前の4割程度まで回復しましたが、その後横ばいとなっていました。 しかし、多くの学校が再開された2021年9月半ば頃から再び増加しはじめ、2021年9月14日に初の300万人越えを記録しました。ただ、これでもパンデミック前と比較して6割程度にとどまっています。

パンデミック以降の休日推定乗客数(地下鉄)
(MTAの公開データより作成)

休日の利用状況もロックダウンと同時に激減しましたが、休日の乗客数の回復は平日よりも早くに回復し、ここ数ヶ月の間はパンデミック前と比較して7割近くで推移しています。

※ニューヨーク地下鉄の乗客数はメトロカード(MetroCard)のスワイプ数、およびOMNYのタッチ数から算定されています。

ロングアイランド鉄道の乗客数推移
パンデミック以降の平日推定乗客数(ロングアイランド鉄道)
(MTAの公開データより作成)

ロングアイランド鉄道の平日乗客数の推移です。こちらも徐々に回復しつつあり、2021年10月28日に1日の乗客数約16万人を記録しています。しかしながら、パンデミック前は平均30万人以上の乗客数だったので、これでも半分程度の回復にとどまっています。

パンデミック以降の休日推定乗客数(ロングアイランド鉄道)
(MTAの公開データより作成)

休日の乗客数はワクチン接種が進んだ2021年7月にかけ増加傾向が続きましたが、その後はほぼ横ばいで推移しています。

※ロングアイランド鉄道の乗客数は乗車券や定期券の販売数をもとに算定されています。なお、2021年6月以降の2019年乗客数は算定方法が変わった可能性があります。

メトロノース鉄道の乗客数推移
パンデミック以降の平日推定乗客数(メトロノース鉄道)
(MTAの公開データより作成)

メトロノース鉄道でもパンデミック以降の記録を更新中で、平日の乗客数は13万人台まで回復しています。しかしながら、パンデミック前の1日平均乗客数は約30万人弱だったので、ロングアイランド鉄道と同じく半分程度の回復率です。

パンデミック以降の休日推定乗客数(メトロノース鉄道)
(MTAの公開データより作成)

休日に関してもロングアイランド鉄道と同じく、ワクチン接種が進んだ2021年7月にかけて増加傾向が続いていましたが、それ以降はほぼ横ばいで推移しています。

※メトロノース鉄道の乗客数は乗車券や定期券の販売数をもとに算定されています。なお、2021年6月以降の2019年乗客数は算定方法が変わった可能性があります。

パンデミック前の乗客数と比較した減少率
パンデミック前の乗客数からの減少率
(MTAの公開データより作成)

こちらは、MTAが公表している平日と休日の推定乗客数のパンデミック前からの減少率をグラフ化したものです。2021年7月にかけワクチン接種がすすんだため、休日の乗客数はパンデミック前の7〜8割程度まで急速に改善した一方、平日の乗客数の回復は遅れていました。しかし、2021年9月の学校再開と同時に、平日の乗客数もパンデミック前の5〜6割程度まで回復しつつあります。最近は、オフィスでの就業を再開する企業も増えてきているようですが、パンデミック前の利用状況に近づくには、海外からの観光客の回復も重要になってきます。

今後もこのまま回復基調が続くのか、それともニューヨークの鉄道利用形態は新たな時代に突入していくのか注目していきたいと思います。

Source: MTA, APTA

«
»

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です