サンフランシスコの近未来的な交通ハブ「セールスフォース・トランジットセンター」

セールスフォース・トランジットセンター(Salesforce Transit Center)は、サンフランシスコ・ダウンタウンに位置する巨大交通ターミナル施設で、2018年8月にオープンしました。同施設は当初、トランスベイ・トランジットセンター(Transbay Transit Center)と呼ばれていましたが、開業前の2017年に、ビジネスアプリケーションなどを提供するソフトウェア企業「セールスフォース(Salesforce)」が25年間のネーミングライツを取得したため、セールスフォースの名称が付与されることとなりました。現在同トランジットセンターには、長距離路線バス、通勤路線バス、サンフランシスコ市営交通(San Francisco Municipal Railway: Muni)の路線バスなど、バス路線のみが乗り入れていますが、2031年以降には、カルトレイン(Caltrain)およびカリフォルニア高速鉄道の乗り入れも予定されています。

さらに、長期的にはベイエリア高速鉄道(Bay Area Rapid Transit: BART)の乗り入れも検討されており、サンフランシスコの一大交通ハブとなる予定です。

Source: Pelli Clarke Pelli ArchitectsSalesforce Transit Center

セールスフォース・トランジットセンターの概要
場所

トランジットセンターは、多くのスタートアップ企業などが集積していることでも有名なサウスオブマーケット(通称: SoMa)と呼ばれるエリアの北東部分に位置しています。また、周辺にはミュージアムなども数多くあります。

施設概要
名称トランスベイ・トランジットセンター(Transbay Transit Center)
呼称*:セールスフォース・トランジットセンター(Salesforce Transit Center)
所在地425 Mission St, San Francisco, CA 94105
規模地上4階、地下2階(2031年以降)
高さ
用途交通ハブ施設(バスターミナル・鉄道ターミナル**)、商業施設、屋上庭園
延床面積120万平方フィート(約11万1,500平方メートル)
処理能力10万人/日(4,500万人/年)
事業主Transbay Joint Powers Authority
設計者Pelli Clarke Pelli Architects (PCPA)
施工者ウェブコー・大林組JV
Webcor-Obayashi Joint Venture
着工
完成2018年
*セールスフォースが25年間のネーミングライツを取得
**2031年以降にカルトレインおよびカリフォルニア高速鉄道が乗り入れ予定
バス路線(2022年9月時点)

現在(2022年9月時点)、トランジットセンターへ乗り入れているバス路線は以下のとおりとなっています。

バス事業者主な行先
グレーハウンド
(Greyhound)
ロサンゼルス、サクラメント、アナハイム、サンディエゴ、ラスベガス、シアトル、ポートランド、フェニックスなど
ACトランジット
(AC Transit)
サクラメント、サンタクララ、オークランド、リッチモンド、エミリービル、バークレーなど
キャピトルコリドー
(Capitol Corridor/Amtrak)
アムトラック・キャピトル・コリドー連絡バス(Capitol Corridor/Amtrak Thruway Bus)
ゴールデンゲート・トランジット
(Golden Gate Transit)
サンタローザ(101系統)、サンラファエル(130、150系統)など
ミュニ*
(Muni)
トレジャーアイランド(25系統)、フルトン(5、5R系統)、ギアリー(38、38R系統)、ハイト(7系統)など
ウェストキャット・リンクス
(WestCAT Lynx)
ハーキュリーズ(Lynx)など
サムトランズ
(SamTrans)
サンフランシスコ国際空港(713系統)など
*近隣に停車する路線は含まず
2031年以降にはカリフォルニア高速鉄道なども乗り入れ予定
Image: TJPA

トランジットセンター整備事業のフェーズ2では、現在、サンフランシスコの起点駅が4th・キングストリート(4th King Street)駅となっているカルトレインを、トランジットセンターまで延伸する「ダウンタウン・レール・エクステンション(Downtown Rail Extension: DTX)」の整備が予定されています。

Image: TJPA

DTXの整備によって、カルトレインおよび将来のカリフォルニア高速鉄道がトランジットセンターの地下へ乗り入れる予定となっており、DTXの完成によって同トランジットセンターの本領が発揮されることとなります。

Source: TJPA

施設イメージ
外観

ビールストリート(Beale Street)から見たトランジットセンターの外観です。特徴的な白いパネルの模様は、2020年にノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)氏によってデザインされました。

1stストリート(1st Street)から見たトランジットセンターの外観です。

Image: PCPA

トランジットセンターの建物は4ブロック分の敷地を使用して建てられており、幅50m、長さ440mとなっています。

トランジットセンターには複数の飲食店や物販などの商業施設も入居していますが、現在のところ空きスペースが目立つ状況です。

グランドホール(地上階)

トランジットセンターの中央に位置するメインエントランス「グランドホール(Grand Hall)」の様子です。グランドホールへは、1stストリート(1st Street)およびフリーモントストリート(Fremont Street)からアクセスできます。

自然光が大量に降り注ぐグランドホールの様子です。

グランドホールには大きなディスプレイが設置されています。

ディスプレイには広告などが表示されるほか、バスの発着案内も表示されています。

バスプラザ(地上階バス乗り場)

バスプラザからは、Muniの路線バス(25系統を除く)およびゴールデンゲート・トランジットが発着します。

バスデッキ(3階バス乗り場)

グランドホールからは3階にあるバスデッキ(Bus Deck)と呼ばれるバス乗り場へ直通するエスカレーターが設置されています。

バスデッキの様子です。バス停が一列にずらりと並んだ様子は圧巻です。

バスデッキからは、グランドホールの吹き抜け部分に設置されたLEDアートを間近に見ることができます。

バスデッキからグランドホールへ直結するエスカレータ付近の様子です。

セールスフォースパーク(4階空中庭園

屋上(4階)にはセールスフォースパーク(Salesforce Park)と呼ばれる空中庭園が設置されており、市民の憩いの場となっています。

アメリカ西海岸を代表する超高層ビル「セールスフォースタワー」は、トランジットセンターと直結しています。同ビルの軒高は296m(最高部は326m)あり、軒高としては西海岸一の高さを誇ります。

トランジットセンター周辺には、セールスフォースタワー以外にも多くの超高層ビルが林立しており、都会的な雰囲気を味わうことができます。

3階バス乗り場を使用するバスはこの橋を渡ってターミナル内へ乗り入れています。

ミッション/フリーモントストリート(Mission/Fremont Street)の角にあるセールスフォースプラザ(Salesforce Plaza)には、 空中庭園へ直結するゴンドラ(The Gondola)が設置されており、無料で利用することが可能です(空中庭園からは利用不可)。

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