アムトラック、シカゴ〜セントルイス間の一部で最高時速180km運転を開始

アムトラック(Amtrak)とイリノイ州交通局(Illinois Department of Transportation: IDOT)は3日、イリノイ州シカゴとミズーリ州セントルイス(St. Louis)を結ぶ「シカゴ・セントルイス回廊(Chicago-St. Louis corridor)」のうち、全体のおよそ8割にあたるイリノイ州ジョリエット(Joliet)〜同州オールトン(Alton)間、約220マイル(約354km)の区間において、列車の最高速度を110mph(約180km/h)に引き上げると発表しました。同区間ではシカゴとセントルイスなどを結ぶ都市間列車「リンカーン・サービス(Lincoln Service)」が4往復、シカゴとテキサス州サンアントニオなどを結ぶ長距離列車「テキサス・イーグル(Texas Eagle)」が1往復運行されていますが、これら全ての列車が180km/h運転の対象となる予定です。

アトランタ・シャーロット間で検討されている高速鉄道整備構想とは?

アメリカ南東部最大の経済規模を有するジョージア州アトランタ(Atlanta)とノースカロライナ州最大の都市シャーロット(Charlotte)を結ぶエリアは、米国運輸省によって南東高速鉄道回廊として指定されており、2008年ごろから高速鉄道の整備に関する検討が実施されています。同区間では、これまでに実現可能性調査(Feasibility Study)と初期段階の環境レビュー(Tier 1 EIS)が完了しており、2021年6月にTier 1 EISの評価書(FEIS)および決定記録(ROD)が公表されました。同評価書では、アトランタ・シャーロット間は、最高速度200〜350km/hで走行可能な高速鉄道専用線として整備することが望ましいと結論づけられており、現在は、プロジェクトレベルの環境アセスメント(Tier 2 EIS)の実施に必要な資金を確保できるかが焦点になっています。

アメリカ南東部の都市間鉄道高速化プロジェクト(ローリー〜シャーロット編)

ノースカロライナ州第二の都市ローリー(Raleigh)と同州最大の都市シャーロット(Charlotte)の間は、アメリカ合衆国運輸省によって「南東高速鉄道回廊(Southeast High Speed Rail Corridor: SEHSR)」に指定されている区間となっています。これまでに同区間では、複線化工事や路線改良などを中心とした「ピードモント改良プログラム(Piedmont Improvement Program: PIP)」が実施され、同事業の整備が完了した2018年以降は、アムトラックの都市間列車「ピードモント(Piedmont)」が増発され、所要時間も短縮されました。同区間では今後、ワシントンD.C.からローリーまでの区間で進められているSEHSRの整備に合わせて、段階的に輸送力増強や高速化などが実施される予定となっています。

アメリカ南東部の都市間鉄道高速化プロジェクト(リッチモンド〜ローリー編)

バージニア州の州都リッチモンド(Richmond)からノースカロライナ州第二の都市ローリー(Raleigh)を結ぶ区間は、アメリカ合衆国運輸省によって「南東高速鉄道回廊(Southeast High Speed Rail Corridor: SEHSR)」に指定されています。同区間では、バージニア州旅客鉄道局(Virginia Rail Passenger Authority)およびノースカロライナ州交通局(N.C. Department of Transportation)が中心となって、現在使用されていない貨物線などを活用した高規格都市間鉄道路線の整備事業「R2R(Richmond to Raleigh Southeast High Speed Rail)」が計画されています。同プロジェクトが完了すると、リッチモンドからローリーの間の所要時間が1時間20分程度短縮されるほか、アメリカ南東部(フロリダ州を除く)において初となる最高速度110mph(177km/h)に対応した鉄道路線が誕生することになります。

アムトラックの利用者数トップ10(2022年度版)

アムトラック(Amtrak)は22日、2022年度(2021年10月〜2022年9月)の利用状況などを取りまとめた予算概算要求のための年次報告書を公開しました(General and Legislative Annual Report)。コロナとの共存へと舵を切った2022年度のアムトラック利用者数は、2021年度と比較して概ね倍増しましたが、パンデミック前の2019年度と比較すると依然として7〜8割程度にとどまる結果となりました。以下、2022年度のアムトラック利用者数トップ10を、駅、州、列車ごとにまとめました。

アメリカ南東部の都市間鉄道高速化プロジェクト(ワシントンD.C.〜リッチモンド編)

アメリカの首都ワシントンD.C.からバージニア州の州都リッチモンド(Richmond)までを結ぶ鉄道路線では、「DC2RVA(DC to Richmond Southeast High Speed Rail)」と呼ばれる都市間鉄道プロジェクトが進行中です。DC2RVAは、アメリカ合衆国運輸省が指定する「南東高速鉄道回廊(Southeast High Speed Rail Corridor: SEHSR)」の整備を目的として、ワシントンD.C.からノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)までの区間で進められている既存鉄道インフラ改良プロジェクトの一つとなっています。同プロジェクトが完了すると、ワシントンD.C.とリッチモンドを結ぶ都市間列車が毎時1本運行に増発されるほか、同区間の最高速度が79mph(127km/h)から90mph(145km/h)へ引き上げられる予定です。