アメリカ南東部の都市間鉄道高速化プロジェクト(ワシントンD.C.〜リッチモンド編)

アメリカの首都ワシントンD.C.からバージニア州の州都リッチモンド(Richmond)までを結ぶ鉄道路線では、「DC2RVA(DC to Richmond Southeast High Speed Rail)」と呼ばれる都市間鉄道プロジェクトが進行中です。DC2RVAは、アメリカ合衆国運輸省が指定する「南東高速鉄道回廊(Southeast High Speed Rail Corridor: SEHSR)」の整備を目的として、ワシントンD.C.からノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)までの区間で進められている既存鉄道インフラ改良プロジェクトの一つとなっています。同プロジェクトが完了すると、ワシントンD.C.とリッチモンドを結ぶ都市間列車が毎時1本運行に増発されるほか、同区間の最高速度が79mph(127km/h)から90mph(145km/h)へ引き上げられる予定です。

将来の高速鉄道化を見据えたアメリカ南東部で進む都市間鉄道プロジェクト(概要編)

全米第8位(2021年時点)の都市圏人口を抱えるアトランタ都市圏をはじめとして、今後も大幅な人口増加が見込まれるアメリカ南東部では、「南東回廊(Southeast Corridor)」と呼ばれる高速鉄道(高速陸上交通)整備構想が進められています。南東回廊の地域特性として、車中心の都市開発が進められてきたことで都市間鉄道がほぼ消滅してしまっていること、一定の需要が見込まれるアトランタ〜マイアミ、アトランタ〜ワシントンD.C.といった大都市圏同士の都市間距離が東京〜福岡間とほぼ同じ900km程度あるため、高速鉄道の利点を最大限に発揮できないことがあげられます。そのため南東回廊の整備にあたっては、まずワシントンD.C.、アトランタ、マイアミ都市圏における都市間鉄道ネットワークを強化することからスタートし、最終的に広域ネットワークを構築することを目指してプロジェクトが進められています。