英国で建設が進む欧州最大のインフラプロジェクト「ハイスピード2」(概要編)

ハイスピード2(High Speed 2: HS2)は、ロンドンとバーミンガム、マンチェスターなどを最高速度360km/hで走行可能な高速鉄道専用線で結ぶプロジェクトで、欧州最大のインフラプロジェクトと言われています。現在、ロンドンからバーミンガム(ミッドランド西部)までの区間で建設工事が開始されているほか、ウェスト・コースト本線(West Coast Main Line)の主要分岐点の一つであるクルー(Crewe)までの区間についても着工準備が進められており、これらの区間は2029年から2034年にかけて段階的に開業する予定となっています。最終的に、クルーからマンチェスターまでの区間、ミッドランド西部からミッドランド東部までの区間においても高速鉄道専用線が整備される予定です。

2027年の完成を目指して工事が進むペンステーション・アクセスとは?

マンハッタンとニューヨーク市北部地域やコネチカット州の各都市などを結ぶメトロノース鉄道(Metro-North Railroad)は、全米第2位の輸送量を誇る通勤鉄道路線です。現在、メトロノース鉄道を傘下に置くMTAは、総工費およそ32億ドル(約4,140億)をかけて、アムトラックが保有するペン・ステーションと同鉄道ニューヘイブン線(New Haven Line)のニューロシェル(New Rochelle)駅付近を結ぶ「ヘルゲート線(Hell Gate Line)」を改良し、同線の一部列車を「ペンシルバニア駅(通称ペン・ステーション: Penn Station)」へ直通させるプロジェクト「ペンステーション・アクセス(Penn Station Access)」を進めています。

ニューヨーク市鉄道網のボトルネックを解消する新線「IBX」はライトレール方式での整備が最有力に

ニューヨークの鉄道路線の多くは、都心部であるマンハッタンから放射線状に広がっています。このため、ブルックリンやクイーンズといった人口が集中するエリア間の移動については、現状では地下鉄G系統しか整備されておらず、かねてからこの点がニューヨーク鉄道網の弱点とされてきました。この問題を解決するために、昨年からニューヨーク州のキャシー・ホークル(Kathy Hochul)知事が中心となって本格的な検討が開始されたプロジェクトが「インターボロー・エクスプレス(Interborough Express: IBX)」です。IBXが完成すると、ニューヨーク市外縁部のブルックリンやクイーンズにおいてマンハッタンから放射線状に広がる路線と相互に連絡できるようになり、同市の鉄道広域ネットワークの形成に大きく貢献するものと考えられています。

ロンドンの新たな大動脈「エリザベス線」が5月24日に誕生!東西直通運転は秋から開始

ロンドン交通局(Transport for London: TfL)は、2009年から建設を進めているロンドン中心部パディントン(Paddington)とアビーウッド(Abbey Wood)を結ぶ新線「エリザベス線(Elizabeth Line)」の運行を5月24日から開始します。同線は、総工費およそ3兆円をかけて「グレート・ウェスタン本線(Great Western Main Line)」と「グレート・イースタン本線(Great Eastern Main Line)」をロンドン中心部で直通させ、ロンドンの東西を結ぶ全長約118kmの鉄道大動脈を構築する「クロスレール(Crossrail)」プロジェクトの新線区間として整備されました。なお、現在「TfLレール(TfL Rail)」として運行されている列車についても、今回の新線開業と同時にエリザベス線に改称されますが、直通運転が開始されるのは今秋以降となります。

LAメトロ、リージョナルコネクター建設工事の9割が完成

LAメトロ(LA Metro)は18日、ダウンタウンの地下で建設中のリージョナルコネクタープロジェクト(Regional Connector)において、全長約3kmの軌道設備および地下30mの深さに設置されるグランドアベニュー・アーツ/バンカーヒル(Grand Av Arts/Bunker Hill)駅のホーム建設工事など、プロジェクト全体の9割が完成したと発表しました。リージョナルコネクターは、ライトレール3路線をダウンタウンLAで相互乗り入れさせるプロジェクトで、今年秋以降の完成を目指して工事が進められています。