2023年版、アメリカの鉄道はこうなる!

新年あけましておめでとうございます。2022年のアメリカは、ウィズコロナへの方針転換を明確にしたことにより、国内旅行を中心に旅行需要が急速に回復し、多くの公共交通機関の利用者が前年比を大幅に上回った年となりました。また、2022年に開業が予定されていた複数の大型鉄道プロジェクトのうち、ワシントンメトロシルバーラインのダレス国際空港方面への延伸や、LAメトロの新線のうちKラインについては無事に開業を迎えることができました。一方で、多くの注目プロジェクトは今年以降の開業に持ち越しとなりました。また、昨年注目されていた新型アセラやニューヨーク地下鉄の新型車両デビューについても、今年以降の営業運転開始にずれ込むこととなりました。

サンフランシスコ、ミュニメトロのセントラルサブウェイが暫定開業!

サンフランシスコ市交通局(San Francisco Municipal Transportation Agency: SFMTA)は、ダウンタウンの地下で10年以上にわたり建設工事を進めていた「セントラルサブウェイ(Central Subway)」において、11月19日から週末のみ運行の暫定ダイヤで営業運転を開始しました。セントラルサブウェイは、サンフランシスコ市営鉄道「ミュニ(MUNI)」Tサードストリートライン(T Third Street Line)の第2フェーズとして整備されたもので、チャイナタウンからスタートアップ企業などが集積するサウスオブマーケット(South of Market: SoMa)付近を通り、将来はカリフォルニア高速鉄道の暫定ターミナルとなる予定のカルトレイン(CalTrain)の4th&キングストリート(4th & King Street)駅の間を結ぶ全長1.7マイル(約2.74km)のライトレール路線です。

サンフランシスコの近未来的な交通ハブ「セールスフォース・トランジットセンター」

セールスフォース・トランジットセンター(Salesforce Transit Center)は、サンフランシスコ・ダウンタウンに位置する巨大交通ターミナル施設で、2018年8月にオープンしました。同施設は当初、トランスベイ・トランジットセンター(Transbay Transit Center)と呼ばれていましたが、開業前の2017年に、ビジネスアプリケーションなどを提供するソフトウェア企業「セールスフォース(Salesforce)」が25年間のネーミングライツを取得したため、セールスフォースの名称が付与されることとなりました。現在同トランジットセンターには、長距離路線バス、通勤路線バス、サンフランシスコ市営交通(San Francisco Municipal Railway: Muni)の路線バスなど、バス路線のみが乗り入れていますが、2031年以降には、カルトレイン(Caltrain)およびカリフォルニア高速鉄道の乗り入れも予定されています。

サンフランシスコ、Muniメトロの次世代ライトレール車両「LRV4」とは

サンフランシスコ市営鉄道(San Francisco Municipal Railway: Muni Metro)では、老朽化が進むライトレール車両(ブレーダ製のLRV2およびLRV3)の置き換え、および2022年末以降の開業を予定しているセントラル・サブウェイ(Central Subway)の開業に向けた輸送力増強を目的として、2017年から次世代ライトレール車両「LRV4」の導入を進めています。同車両は、シーメンス・モビリティ(Siemens Mobility)の「S200 SF形」と呼ばれる新型ライトレール車両で、これまでに合計249両が発注されており、最終的には合計279両が増備される計画となっています。新型車両の増備は2027年ごろまで続く予定で、最終的には既存車両全てがLRV4に置き換えられる予定です。