アムトラック(Amtrak)は9日、テキサス州ダラス・ヒューストン間において、東海道新幹線の技術を使用した高速鉄道計画を進めている民間事業主体「テキサスセントラル(Texas Central)と連携して、同州における高速鉄道の整備実現に向けた可能性を調査するために必要な資金を確保するため、連邦政府への補助金申請を行なったと発表しました。テキサスセントラルの高速鉄道計画は、2020年に環境アセスメントの評価書(FEIS)が公表され、2026年の開業を目指して整備計画が進められていました。このため、先に着工されたにも関わらず、建設費の大幅な高騰などの煽りを受けて開業時期が大幅に遅れることになったカリフォルニア高速鉄道に変わって、米国初のフルスペック高速鉄道になるとして期待されていました。しかしながら、パンデミック、建設費の高騰、土地収用権に関する訴訟問題といった問題が重なり、テキサス高速鉄道も着工時期の見通しが立たない状況に陥ってしまいます。
Image: Texas Central
さらに、昨年6月にはテキサスセントラルの前最高経営責任者(CEO)であるカルロス・アギラル氏が退任したことを受け、事業計画自体が白紙になったのではとの報道が散見されるようになっていました。なお、訴訟問題については、昨年7月にテキサス州最高裁判所がテキサスセントラルに対し鉄道沿線の土地収用権を認める判決を下したため事業が前進するとの期待が一時的に膨らみましたが、依然として資金調達への道筋は示されていません。
Image: Texas Central
そんな中、今回のアムトラックとの連携によって連邦政府からの補助金を獲得できる可能性が出てきたことになります。今後は、アムトラックとの関係を深めることにより、現在少なくとも300億ドルともいわれている巨額の建設費の資金調達に目処が立つのかが最大の焦点となります。一方で、もともと民間資金を活用して建設される予定だった同プロジェクトに公的資金が投入されるとなると、有権者に新たな反対理由を与えてしまうことになりかねません。いずれにせよ、実現すればアメリカ初の新幹線システム採用事例となるため、今後も同プロジェクトの動向から目が離せません。
Source: Amtrak、Texas Central
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