テキサスに日本の新幹線が走る日がやってくる?

近年の米国において特に急速な経済成長を遂げているテキサス州では、ダラス・ヒューストン間においてテキサス・セントラル鉄道(Texas Central Railway)と呼ばれる高速鉄道の建設計画が進行しています。テキサスセントラル鉄道は、公共事業であるカリフォルニア高速鉄道(California High-Speed Rail)とは異なり、民間企業であるテキサスセントラル(Texas Central)社が事業主体となって計画、設計、建設、運行が実施される予定となっています。また、高速鉄道の技術には日本の新幹線方式が採用されることが決まっており、質の高い旅客サービスが提供されることが期待されています。開業時期は当初2026年ごろとされていましたが、建設予定地の土地所有者などによる訴訟や資金調達の問題などにより、現在のところ着工の目処は立っていません。この状況を変えるため、同鉄道の整備計画にアムトラック(Amtrak)がパートナーとして加わることが昨年に発表されており、今後、どのような形でプロジェクトを前進させていくのかが注目されています。

建設ルート
Image: Texas Central

テキサス・セントラル鉄道は、ダラスからヒューストンまでの約390kmの路線で、途中駅は1箇所のみ設置される予定です。距離的には東京・名古屋間(約366km)よりもやや長い距離といったところです。最高速度は時速300km〜330kmを想定しており、所要時間は90分以下となります。東京・名古屋間の「のぞみ」の所要時間はおよそ95分なので、所要時間的にも似たような感覚となります。

こちらは実際の建設ルートの詳細マップです。ダラスとヒューストンを結ぶ州間高速道路45号線(Interstate 45)に沿って建設されます。なお、州間高速道路45号線は交通事故死亡者数で全米第2位にランクインしている高速道路となっており、高速鉄道の開通によって両都市間移動の安全性が大幅に改善することが期待されています。

ノーステキサス駅(ダラス)
Image: Texas Central

ノース・テキサス(North Texas)駅は、ダラスのダウンタウン付近に建設されます。駅周辺には州間高速道路30号線および35号線が通っており、パークアンドライドを想定した大規模な駐車場も建設される予定です。また、ダート(Dallas Area Rapid Transit: DART)が運行するライトレールのコンベンションセンター(Convention Center)駅とも接続する予定です。

Image: Texas Central

コンコース空間は、天井に木材を多用した温かみのある空間となる予定です。

Image: Texas Central

空港のターミナルビルを連想させる待合スペースのイメージです。

Image: Texas Central

ホームもシンプルで落ち着いた雰囲気の空間となるようです。

ブラゾス・バレー駅
Image: Texas Central

ブラゾス・バレー(Brazos Valley)駅は、テキサス・セントラル鉄道で唯一設置される途中駅となる予定です。州道30および90号線(State Highway)の交差点付近の牧草地帯に位置しており、駅から40kmほどの距離にあるのカレッジステーション市(College Station)には、2020年時点で全米第2位の学生数を有するテキサスA&M大学(Texas A&M University)などがあります。

Image: Texas Central

コンコースは、全体に自然光が降り注ぐ開放的な空間となります。

ヒューストン駅
Image: Texas Central

ヒューストン(Houston)駅は、国道290号線(U.S. Route 290)および州間高速道路610号線(Interstate 610)のインターチェンジ付近に建設される予定です。多くのエネルギー関連企業が集結するエネルギー回廊(Energy Corridor)と呼ばれるビジネス街、メディカルセンター(Medical Center)およびダウンタウンエリアへのアクセス向上が期待されています。

Image: Texas Central

他駅同様に天井に木材を多用した温かみのある空間となっています。

Image: Texas Central

ヒューストン駅の待合スペースのイメージです。

使用車両
Image: Texas Central

テキサスセントラル鉄道では、JR東海の開発したN700Sをベースとした車両が使用される予定です。なお、16両編成で運行される東海道新幹線とは異なり、8両編成の車両が導入される予定です。座席配置は2列+2列とかなるほか、ボックス席の設定も想定されており、新幹線とは一味違った雰囲気の車内になるようです。また、高速インターネットや車内販売などのサービスも提供される予定です。

Image: Texas Central

座席幅は約508mmが想定されており、これは東海道・山陽新幹線で運行するN700系のグリーン車(480mm)よりも広いものとなっています。シートピッチも、N700系の普通車とほぼ同じ1041.4mmとすることが想定されており、かなりゆったりとした車内空間が提供される予定です。

運行ダイヤ

運行ダイヤは、ピーク時には30分間隔、オフピーク時には1時間間隔での運行が予定されています。また、日本の新幹線と同様に、深夜時間帯の6時間に設備等の保守・点検が実施される予定です。

将来の延伸計画

現在のところオースティン(Austin)やサンアントニオ(San Antonio)といったテキサス州の他の都市圏への延伸計画はありませんが、テキサス・セントラル鉄道は、開業後の実績次第で他都市への延伸も検討するとしています。

プロモーションビデオ

テキサスセントラル鉄道のプロモーションビデオです。日本でも公共交通事業者の間で検討が進んでいる「MaaS(Mobility as a Service)」コンセプトを取り入れることで、出発地から目的地までに必要な全ての乗車券や車内販売をスマートフォンで一括購入できるようにし、乗客にシームレスな乗車体験を可能とするサービスが提供される予定です。

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