今月10日、開業以来近畿車両製のライトレール車両を使用しているアリゾナ州フェニックス(Phoenix)のライトレール路線「バレーメトロレール(Valley Metro Rail)」で、新型車両の運行が開始されました。新型車両には、ドイツ、シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)が北米市場向けに開発したライトレール車両「S70」の最新バージョンとなる「S700」が採用されており、最大で78両(オプション契約67両を含む)が導入される予定です。なお、同形式の車両はすでにシャーロット、ポートランド、シアトルなどでも導入実績があり、近年、米国の多くのライトレール路線で導入または導入予定のモデルとなっています。
バレーメトロS700の特徴
バレーメトロのS700は、夏の平均最高気温が40度を超えるフェニックスの気候に対応するため大容量の冷房装置を採用しているほか、自転車利用者が多いことを考慮してバイクラックを全てのドア横に設置するなど、フェニックスの環境に合わせた改良が加えられています。さらに、車内監視カメラ、前面に改良型の衝撃吸収バンパーを設置するなどの安全対策強化も行われています。
車内にはLED照明はもちろんのこと、バレーメトロとしては初となるLCD車内案内表示装置も設置されています。ちなみに、同タイプのLCDはシアトルのサウンドトランジットのシリーズ2でも採用されています。
S700は、旧モデルのS70同様に車内の70〜80%が低床部分となっている部分超低床電車となっており、全てのドアを低床部分に設置することでバリアフリーに対応しています。
2024年の延伸区間開業に備えた増備
バレーメトロレールは、フェニックス北西部からダウンタウンを経由して東部郊外に位置するテンピ(Tempe)およびメサ(Mesa)を結ぶライトレール路線です。路線延長は28マイル(約45km)で、2008年に開業した比較的新しい路線となっています。現在、ダウンタウンからフェニックス南部エリアへの路線延伸プロジェクト(South Central Extension/Downtown Hub)と、北西部への再延伸プロジェクト(Northwest Extension Phase II)が進行中です。今回の新型車両導入は、2024年に予定されているこれらの延伸区間開業に備えた車両増備となります。
Source: Valley Metro, Siemens Mobility
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