サウンドトランジット(Sound Transit: ST)では、2023年の開業を目指してシアトル・ダウンタウンと東部に位置する郊外都市ベルビュー(Bellevue)やレドモンド(Redmond)などを結ぶ、全長約29kmのライトレール路線「ライン2(Line 2)」を建設中です。この延伸プロジェクトでは、浮橋(Floating Bridge)上にライトレールを走らせるという世界初の試みが進行中です。今回は、その浮橋である「ホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジ(Homer M. Hadley Memorial Bridge)」上の軌道建設状況についてフォトレポします。

Image: Sound Transit

サウンドトランジット、イースト・リンク・エクステンション(East Link Extension)プロジェクトについてはこちらから。

マップ
Image: Sound Transit

ホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジは、ジャドキンズパーク駅とマーサーアイランド駅の中間に位置する道路橋で、現在は「インターステート90(Interstate 90: I-90)」の西行き(シアトル方面)が使用しています。竣工は1989年で、この橋のかかるワシントン湖は水深が深く地盤が軟弱なため、世界でも珍しいコンクリート製の浮橋として建設されました。浮橋の名の通り、この橋はアンカーで固定されたポンツーン(Pontoon)と呼ばれるコンクリート製の浮船の上に橋桁が固定されています。ちなみに、日本では浮橋という種類の橋はあまり耳にしませんが、大阪に「夢舞大橋」という世界初の浮体式旋回可動橋があるそうです。

ホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジの浮橋部分の長さは5,811フィート(1,772 m)で、これは浮橋として世界第5位の長さになります。なお、ワシントン湖にはこの橋の他にさらに2つの浮橋があり、それら全てが浮橋の長さ世界トップ5にラインクインしています。

浮橋全景

ライトレールの軌道が敷設される前(左)と敷設後(右)

シアトル側からマーサーアイランド方面を見た様子です。左側がI-90西行き(シアトル方面)とライトレール軌道の敷設が進むホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジ、右側がI-90東行き(ベルビュー方面)が使用する「レーシー V. マロー・メモリアル・ブリッジ(Lacey V. Murrow Memorial Bridge)」となります。

Image: Sound Transit

少し角度を変えて橋を見た様子です。橋の途中から浮橋部分であることがわかるポンツーン(巨大なコンクリートのブロック)が確認できます。ライトレールの軌道が敷設されている部分はもともとHOVレーンとして使用されていました。

ホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジ(左)とレーシー V. マロー・メモリアル・ブリッジ(右)を下から見たようすです。手前は固定橋で途中から浮橋となります。これだけ見たらこの橋が浮いているとは想像もできません。

シアトル側にはマウントベーカートンネル(Mount Baker Tunnel: 全長約440m)があります。

マウントベーカートンネル出口付近は二重構造となっていて上部が高速道路、下部がライトレールとなっています。この雰囲気、どことなく瀬戸大橋線を連想させます。

浮橋の上から撮影した様子です。浮橋の中央部分は湖面が近くなっていて不思議な感覚を覚えます。

マーサーアイランド側からシアトル側を見た様子です。このように歩道も併設されており歩いて渡ることもできますが、真横を高速で走る車がひっきりなしに通るため少し恐怖を感じます。

浮橋との接合部分

サウンドトランジットのホームページには、浮橋の上にライトレールを建設するという世界初の試みを実現するためのチャレンジについて紹介されています。具体的に、橋が鉄軌道の重みで沈まないように軽量のコンクリート枕木を開発、湖面の近くを電車が走るために施された電気系統の浸水対策、可動する浮橋と陸側の固定された橋脚をつなぐ特殊な接合部の開発などが行われたそうです。

Image: Sound Transit

上のイメージのように、浮橋との接合部分には上下左右の複雑な動きに対応できるようにベアリングを用いて固定された特殊な軌道が設置されています。これらの特殊な軌道設備は、実際に設計どおりの性能が発揮できるかを確認するため、コロラド州プエブロ実験線(Transportation Technology Center: TTC)で何度も実験が繰り返されたとのことです。

実際の浮橋と固定橋をつなぐ接合部分の様子です。

まだ架線は張られていませんが、架線柱も特殊な構造となるようです。

浮橋からの眺望

この世界初の浮橋上を走るライトレールは、前述したとおりエンジニアリング的に非常に珍しいものとなりますが、もう一つの特筆事項として車窓の素晴らしさがあげられます。ホーマー M. ハドレー・メモリアル・ブリッジからは、カスケード山脈をバックにスカイラインの急成長が続くベルビューダウンタウンを見ることができます。

また、南側の車窓からは晴れていればカスケード山脈最高峰のレーニア山(4,392m)をはっきりと見ることができます。撮影時は少し霞んでいましたが、この区間では季節や時間帯によって様々な姿を見せてくれるレーニア山を一望することができます。

さらに天気が良い日には、北側の車窓に氷河に覆われたベーカー山(3,286m)も見ることができます。ライトレールから見える車窓としては、全米一といっても過言ではないほど素晴らしいものとなりそうです。

ちなみに、北側の車窓に見える橋「ガバナー・アルバートD.・ロゼリーニ・ブリッジ(Governor Albert D. Rosellini Bridge)」の浮橋部分の長さは2,350mあり、世界一長い浮橋となります。

Source: Sound Transit

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