サンフランシスコとシリコンバレーの中心地サンノゼなどを結ぶ通勤鉄道「カルトレイン(Caltrain)」では、利用者の増加にともなう輸送サービス向上を目的とした電化工事が進めらており、2024年から電車での運行が開始される予定です。この電化工事は、将来カリフォルニア高速鉄道の車両が同線を共用することが決まり、予算確保が可能となったことから、2017年にサンフランシスコからサンノゼ(タミエン駅)までの82kmの区間で着工されました。電化後に導入される新型車両は、スイスの鉄道車両メーカーである「シュタッドラー・レール(Stadler Rail AG)」が2016年に受注し、現在、ユタ州ソルトレークシティに建設された同社の新工場において最終組立が行われています。
カルトレインに導入される新型車両は、シュタッドラーが主にヨーロッパで展開する2階建て通勤電車「KISS」をベースとした車両となります。2016年に発注された当初は6両編成で製造される予定でしたが、近年の利用者増加に対応するため7両編成に変更されています。現在のところ合計133両(7両編成19本)の発注が確定しており、2023年8月までに14編成が出揃う予定となっています。
Source: Caltrain
エクステリア
新型車両はすでにいくつかの編成が完成しており、2021年には、コロラド州プエブロ実験線(Transportation Technology Center, Inc.: TTCI)で車両性能試験も実施されています。アメリカの通勤車両では珍しく全面塗装が施されています。
フロントデザインはシュタッドラーの通勤車両の標準的なもので、カラーリングはこれまでのカルトレイン同様に赤をアクセントとしたものが採用されています。
2階建ての7両編成が高速で通過する姿は、実際に見るとかなり迫力がありそうです。
この車両の大きな特徴は、乗降口の高さが2つ存在する点です。これは、将来カルトレインに乗り入れるカリフォルニア高速鉄道の車両が、標準的な高速鉄道車両に合わせて既存のカルトレインのホームよりも高い位置となるためにとられた対策です。
トイレが設置される車両の窓配置です。1階部分の窓配置が異なります。
インテリア
2階部分の車内イメージです。車内はクロスシートが基本となっています。
中間階の車内です。このイメージでは乗降扉が描かれていませんが、実際はこの部分にも乗降口が設置されると思われます。
1階部分の車内です。2階同様に一部ボックスシートが採用されています。
充電用コンセントも各座席に装備されます。
一階の乗降口付近です。
電動車の走行機器類が設置される車端部の様子です。
最新の通勤車両とあって車内情報案内ディスプレイも設置されます。
車内防犯カメラも設置されます。
トイレはバリアフリー対応の大型のもので、1編成につき1箇所設置されます。
最新の鉄道車両のトイレといった感じで清潔感があり好印象です。
一部車両の1階部分は自転車専用スペースとなります。
デジタル機器類が並ぶ運転台の様子です。
カルトレイン2階建て通勤電車(KISS)の概要
運行者 | カルトレイン(Caltrain) |
製造者 | シュタッドラー・レール(Stadler Rail AG) |
導入編成 | 133両(7両編成19本) |
車両番号 | – |
定員 | – |
営業開始(予定) | 2024年以降 |
運行路線 | カルトレイン |
運行区間 | サンフランシスコ〜サンノゼ(タミエン駅) |
設計最高速度 | 110 mph(177 km/h) |
制御方式 | – |
コメントを残す