アムトラックの利用者数で全米第2位を誇るワシントンD.C.ユニオンステーションでは、2040年の長期計画として駅の大規模拡張プロジェクト「ワシントン・ユニオンステーション・拡張プロジェクト(Washington Union Station Expansion Project)」が計画されています。当初計画では、2028年の完成を目指していましたが、地権者との調整、パンデミック、環境アセスメントの準備書(DEIS)に対するパブリックコメントの結果を受けた計画の大幅な修正などによる遅れから、現在は2040年の完成を目指しています。そんなユニオンステーション拡張プロジェクトについて、実施主体である連邦鉄道局(Federal Railroad Administration: FRA)は、これまで公開されていた完成イメージから大きく変更が加えられた新たな完成イメージを公開しました。

トレインホール(メインコンコース)
Image: CFA

拡張後のユニオンステーションの見取り図です。トレインホール(Train Hall)と呼ばれるエリアは、新ユニオンステーションのメインコンコースとなるエリアとなります。

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トレインホールは三層吹き抜け空間となる予定で、1階がホーム、2階がバスターミナル、3階がPUDO(Pickup and Drop-Off)となります。準備書で反対意見の多かった立体駐車場をホーム上に建設する案が修正され、新たな完成イメージでは駐車場は地下に設置される計画です。

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トレインホールの外観です。手前にあるのは歴史的建造物である現在のユニオンステーションで、その背後に新たなトレインホールが建設されます。

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別角度から見たトレインホールです。歴史的建造物とモダンな建造物が融合した駅舎となる予定です。同様に歴史的建造物を活用したトレインホールは、ニューヨーク・ペンステーションのモイニハン・トレインホールが有名です。

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こちらは新たに公開されたトレインホール内部の完成イメージです。自然光を多く取り入れた三層吹き抜け空間が想定されています。ロンドンの鉄道ターミナル駅などを参考にした巨大な空間からは頭端式ホームを発着する列車を見ることができます。

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2階バスターミナルから見るトレインホールの全貌です。現在の薄暗いユニオンステーションからは想像できないほど開放的な空間が想定されています。ただ、2012年に発表された完成イメージでは、頭端式ホーム上はバスターミナルではなくガラスの大屋根が設置される想定でしたので、より実用性を重視したものに変更されたと言えそうです。

Hストリートコンコース・セントラルコンコース
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Hストリートコンコースの設置される地下2階の見取り図です。Hストリートコンコースとトレインホールはユニオンステーションの中央を貫くセントラルコンコースおよび1stストリートコンコースによって結ばれます。

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トレインホール、Hストリートコンコンコース、セントラルコンコース、1stストリートコンコースの階層を示した断面図です。頭端式ホームが設置される場所が地上レベルとなります。

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こちらは、Hストリートコンコースとセントラルコンコースのイメージです。セントラルコンコースは頭端式のホームとワシントンD.C.以南へ直通する列車が発着するホームとの間に位置しているため、トレインホール同様に自然光が差し込む三層吹き抜け空間となり、明るく開放的な空間となっています。ただ、こちらもこれまでの全面ガラスの大屋根から、一部自然光を取り入れる天井に変更されています。

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Hストリートの下に設けられる1stストリートエントランスです。

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こちらは、Hストリートの中央部分に設けられるHストリートコンコースへのエントランスです。

バスターミナル・PUDO
Image: CFA

バスターミナルはトレインホールの2階(ホームの真上)に設置されます。

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バスターミナルも一部自然光が降り注ぐデザインが採用され明るい空間となります。また、鉄道との乗り換えも上下移動のみで可能となります。

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バスターミナルのさらに上にはPUDOが設置され、ライドシェアなどの需要に対応するものと思われます。この他、地下駐車場エリアにもPUDOが設置されます。

駅周辺再開発(バーンハムプレイス)
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バーンハムプレイス(Burnham Place)は、再開発事業者であるAkridgeが中心となって実施されるユニオンステーションの空中権を活用した再開発で、準備書で反対意見の多かった立体駐車場を地下に移動したため、ユニオンステーションの上空に15エーカー(約6万平方メートル)の再開発エリアが誕生することになります。

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Akridgeは、総工費およそ30億ドル(約4,000億円)をかけて最大で12棟の再開発ビル(共同住宅、オフィス、ホテル、文化施設など)を建設する計画です。

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駐車場を地下にして駅の空中権を活用できるエリアを拡大する一方で、当初予定されていたホーム上のシンボリックなガラスの大屋根はなくなることになります。

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Hストリートには路面電車の駅も移設される予定で、交通ハブとしての利便性を高めます。

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Hストリートから見たトレインホールのようです。バスターミナルの空間を確保するため、奥に向かって一層分階層が上がる設計となっています。

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階段部分のアップです。中央の緑地部分の真下がセントラルコンコースとなります。

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こちらはトレインホールからHストリート方向をみたイメージです。この辺りはちょうどバスターミナルの真上にあたるエリアとなります。

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1stストリート側から見たバーンハムプレイスのイメージです。以前公開されていたイメージでは、1stストリートコンコースの上にも自然光を取り入れるガラス屋根が描かれていましたが、新しいイメージではこちらも省略されているようです。

今後は資金確保が大きな課題

今回の新たな完成イメージの公開は、この夏にも予定されている環境アセスメントの評価書(FEIS)の公表を見据えて、FRAがデザインを審議する米国芸術委員会(Commission of Fine Arts: CFA)に対して行ったもので、評価書が公表された後、パブリックコメントを経て整備方法が確定することになります。しかし、総事業費が100億ドル(約1兆3,500億円)とも見積もられており、最新の見積もりではさらに費用が増加することも予想されています。したがって、今後は昨年11月にバイデン大統領の署名によって成立した「超党派によるインフラ投資・雇用法」を活用した連邦政府補助金をいかに獲得できるかが課題となりそうです。

Source: Washington Post

※1米ドル=135円で計算

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