カリフォルニア州議会は6月30日、2008年に可決された「Proposition 1A」で高速鉄道建設のための資金として発行される予定だった90億ドルの公債のうち、残る42億ドル(約5,700億円)の公債を発行することで合意しと発表しました。これにより、カリフォルニア高速鉄道セントラルバレー区間(マーセド〜ベーカーズフィールド)の整備に必要な建設資金が、ほぼ確保されたことになります。カリフォルニア高速鉄道局(California High-Speed Rail Authority: CHSRA)は今回の公債発行を受けて、セントラルバレー区間の軌道敷設工事や高速鉄道車両の調達などを実施するとみられ、先行整備区間の2030年前後の開業が現実味を帯びてきました。
なお、フェーズ1において整備されるサンフランシスコ〜ロサンゼルス・アナハイム間の残りの区間については、2023年末〜2024年初めまでに全区間の環境アセスメントが完了する予定です。しかし、マーセド〜サンノゼ間やベーカーズフィールド〜パームデール間には建設費が膨大となる長大トンネルが計画されており、それらの建設費を含めた資金調達が同高速鉄道の成功の鍵を握ることになります。
Source: State of California、The Mercury News
セントラルバレー区間の整備が可能に
カリフォルニア高速鉄道の先行開業区間であるマーセド〜ベーカーズフィールド間(171マイル: 約275km )の建設費は、2022年ビジネス計画書で175億ドル(約2兆4,000億円)とされています。すでにマデラ(Madera)からポプラーアベニュー(Poplar Avenue)までの119マイル(約190km)については着工されており、多くの土木施設は完成または完成間近となっています。
しかし、軌道や電気設備などの工事については予算待ちの状態となっていました。今回の予算確保によってこれらの工事が可能となるほか、セントラルバレー区間の残る52マイル(約83km)についても着工されるものと思われます。
日本企業連合は車両入札に参加するか?
今回の予算確保によって、早ければ2025年にも開始される高速運転試験用の2編成を含めた高速鉄道車両の入札が行われることになると思われます。そこで注目されるのが車両の調達先です。カリフォルニア高速鉄道の車両については、初期の運行事業者がドイツ国鉄(DB)にすでに決まっていることから、ドイツのシーメンス製車両になる可能性が高いと思われますが、これまでに川崎重工などの日本企業グループも車両の受注に関心を示しています。
Image: 川崎重工
仮に、日本企業グループが入札に参加となれば、川崎重工が海外案件獲得の切り札として開発した最高速度350km/h対応の「efSET (イーエフセット)」で売り込むことになるでしょうか。または、ワシントンメトロ8000形の受注を受けて、メリーランド州で高速鉄道車両製造にも対応可能な工場建設を決めた日立が入札に参加する可能性もありえます。いずれにせよ、今後の車両入札に向けた動きから目が離せません。
※1米ドル=135円で計算
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