ニューヨーク市交通局、次世代地下鉄車両「R211形」電車とは?

ニューヨーク市交通局(New York City Transit: NYCT)は、ニューヨーク市地下鉄(New York City Subway)のBディビジョン(車両規格が大きいアルファベット系統)およびスタテンアイランド鉄道(Staten Island Railway: SIR)で運行されている車両のうち、老朽化が著しいR32形、R44形、R46形等を置き換えるため次世代地下鉄電車R211形を導入します。R211形はオプション契約を含めると最大で1,612両導入され、全車両を川崎重工業が製造する予定です。現在ニューヨーク市地下鉄の半数以上の車両が同社製ですが、R211形が予定通り全て導入されればニューヨーク市地下鉄の川崎重工製車両比率がさらに上がることになります。

R211形は標準型のR211A形(440両)、ニューヨーク市地下鉄では初となる車両貫通路(Open Gangway)試験用のR211T形(20両)、SIR向けのR211S形(75両)の3種類合計535両が2023年までに導入される予定です。なお、最大で1,077両のオプション契約については、R211A形またはR211T形のいずれかを2025年までに導入する計画です。

デザイン
R211形エクステリアデザインイメージ
Image: MTA

R211形のデザインは既存車両のR160形などをデザインした宇田川信学氏のantennaが担当しており、エクステリアおよびインテリアデザインともにR160形のデザインを踏襲した車両になっています。エクステリアの特徴として、LEDヘッドライトおよびフルカラーLED式行先表示器が採用されたことでより洗練されたデザインになっています。また、前面には系統番号表示の他に行先表示が追加されています。

R211形インテリアデザインイメージ1
Image: MTA

車内にはLED照明、車内WiFi、USB充電ポート、リアルタイム情報に対応したデジタル表示機、現状よりも25センチ幅を広げたワイドドアなど、ニューヨーク市地下鉄では初となる設備が多く導入される予定です。

R211形インテリアデザインイメージ2
Image: MTA
34 Street – Hudson Yards駅に展示されたR211形のモックアップ

MTAは2017年に同形式のモックアップを製造しており、IRTフラッシング線の34 Street – Hudson Yards駅で一般向けの展示も実施したりと、本車両に対するニューヨーク市の強い意気込みが感じられます。

R211形モックアップエクステリア
Image: MTA

シャープなLEDヘッドライトが新しいニューヨーク地下鉄の印象を与えてくれます。

R211形モックアップインテリア
Image: MTA

デザインイメージと比較して床や手すりの色が変更されています。また、ドア枠の周りに設置したLEDライトによって車内空間の広がりを演出するといったデザインも取り入れられています。

R211形モックアップ車体間通路
Image: MTA

ニューヨーク市地下鉄では初となる車両貫通路。

R211形モックアップ優先席
Image: MTA

折りたたみ式の優先座席。

R211形モックアップワイドドア
Image: MTA

LCD画面を採用したデジタル表示機。

コロナ禍の影響でR211形の導入計画にも影響が出る可能性がありますが、各種試験が行われる量産先行車は既に完成しているようです。当ブログでは、次世代のニューヨーク市地下鉄を担っていくR211形車両の動向を随時お伝えしていきます。

R211形車両の概要
運行者ニューヨーク市交通局(New York City Transit: NYCT)
製造者川崎重工(Kawasaki Rail Car, Inc.)
導入編成535両(オプション1,077両)
車両番号4000番台〜
定員
営業開始2020年以降(予定)
運行路線Bディビジョン路線、スタテンアイランド鉄道
運行系統(トレイン)A・C・ N・ Q・ W・ SIR(予定)
設計最高速度
制御方式IGBT-VVVFインバータ制御(Alstom)

Source: MTA川崎重工antenna

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