オーストリア連邦鉄道(Austrian Federal Railways: ÖBB)は、ヨーロッパ各国を結ぶ国際夜行列車を2016年から「ナイトジェット(Nightjet)」のブランド名で運行しています。現在ナイトジェットには、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG: DB)から引き継いだ旧型の寝台客車などが使用されていますが、2023年春にナイトジェット用に開発された新型寝台客車がデビューする予定となっています。この新型寝台客車は、シーメンスの客車「ヴィアッジョ(Viaggio)」をベースとした次世代客車で、2023年春までに13編成(7両13本)が導入される予定です。また、昨年8月には20編成が追加発注されており、2025年までに33編成体制となる予定で、今後、ヨーロッパの国際夜行列車の旅がますます快適なものとなりそうです。
※デビュー時期は2023年末から2024年初めにごろになる予定。
ナイトジェットの運行区間
現在ナイトジェットは、オーストリアの首都ウィーンを中心に、ドイツ、イタリア、スイス、オランダ、ベルギー、フランス、ポーランドの都市に運行されています。新型寝台客車は、2023年春にオーストリアおよびドイツを起点にイタリア各都市を結ぶ列車に投入される予定で、2025年の追加増備が完了するころにはスイス、オランダにも運用範囲を拡大する予定です。
2023年春に新型車両が投入される予定の路線
- ウィーン〜ローマ
- ウィーン〜ミラノ
- ウィーン〜ヴェネツィア
- ウィーン〜リヴォルノ
- ミュンヘン〜ローマ
- ミュンヘン〜ミラノ
- ミュンヘン〜ヴェネツィア
2025年までに新型車両が投入される予定の路線
- ウィーン〜アムステルダム
- ウィーン〜ハンブルク
- ウィーン〜チューリッヒ
- ウィーン〜ブレゲンツ
- インスブルック〜アムステルダム
- インスブルック〜ハンブルク
- グラーツ〜チューリッヒ
- チューリッヒ〜ハンブルク
- チューリッヒ〜アムステルダム
エクステリア
ナイトジェットは機関車を付け替えることなく運転できるプッシュプル列車のため、機関車が連結されない側には運転台付きの制御客車が連結されます。
ナイトジェットのロゴが入った新型客車の側面イメージです。
ウィーンにあるシーメンスの工場で製造中のナイトジェット用客車です。同様のプラットフォームはアムトラックの新型客車やブライトラインでも「ベンチャー(Venture)」として採用されているため、形状が似ています。
ヨーロッパの鉄道車両らしく非常にフラットな側面となっています。
インテリア
スリーパーキャビン(Sleeper Cabin)
ナイトジェットの最上級サービスが利用できるスリーパーキャビンのイメージです。スリーパーキャビンにはプライベートバスルームも設置されます。7両編成中2両がスリーパーキャビン車両となります。
クシェット(Couchette)
グループ利用に最適なクシェットとよばれる4人用個室のイメージです。クシェットは相部屋または一室貸切での利用が可能です。
下段はソファーとしても利用できます。なお、クシェットの利用者は各車両ごとに設置された共用バスルームを使用することができます。7両編成中3両がクシェット/ミニスイート車両となります。
ミニスイート(Minisuite)
これまでの寝台客車ではなかった、ミニスイートと呼ばれるカプセルホテルのような個室がクシェット車両に新設されます。
ミニスイートは一人での利用はもちろん、枕元には開閉可能なパティーションが設置されており、カップルでの利用も想定されているようです。7両編成中3両がクシェット/ミニスイート車両となります。
普通席(Seating carriage)
こちらは、ナイトジェットを最もリーズナブルな料金で利用できる普通席のイメージです。7両編成中2両が普通席車となります。
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