シアトル都市圏のライトレール路線「リンク(Link)」を運行するサウンドトランジット(Sound Transit: ST)は、シアトル・ダウンタウンと東部に位置する郊外都市ベルビュー(Bellevue)やレドモンド(Redmond)などを結ぶ全長約29kmの鉄道路線を建設中です。このプロジェクトは、「リンク東部延伸プロジェクト(East Link Extension Project)」と呼ばれ、2008年に実施された、シアトル都市圏の公共交通整備計画を実行するのための増税の可否を問う住民投票「サウンドトランジット2(Sound Transit 2)」が可決されたことで着工に至りました。開業後はリンク「ライン2(Line 2)」として運行される予定です。なお、同線の開業により、シアトルのライトレール路線は2路線体系となります。
2023年開業区間※2024年から段階的に開業
ライン2は、既存のライン1(Line 1)のインターナショナル・ディストリクト・チャイナタウン(International District/Chinatown station)駅が起点になります。サウンドトランジット2の可決で着工された区間は、レドモンド・テクノロジー(Redmond Technology)駅までの約14マイル(約23km)で、2023年の開業を予定しています。この部分開業では以下の10駅が新設されます。
- ジャドキンズ・パーク(Judkins Park)
- マーサー・アイランド(Mercer Island)
- サウス・ベルビュー(South Bellevue)
- イースト・メイン(East Main)
- ベルビュー・ダウンタウン(Bellevue Downtown)
- ウィルバートン(Wilburton)
- スプリング・ディストリクト/120th(Spring District/120th)
- ベル・レド/130th(Bel-Red/130th)
- オーバーレイク・ビレッジ(Overlake Village)
- レドモンド・テクノロジー(Redmond Technology)
ちなみに、レドモンド・テクノロジー駅の周辺には、マイクロソフト(Microsoft)や任天堂アメリカ本社(Nintendo of America)などが近くにあります。
2024年開業区間
レドモンドテクノロジー駅からダウンタウン・レドモンド(Downtown Redmond)駅までの残りの約3.4マイル(約6km)の区間は2024年の開業を予定しています。この区間は、2016年に実施された住民投票「サウンドトランジット3(Sound Transit 3)」の可決により2019年に着工されました。この区間の開業で、以下の2駅が開業し、リンク東部延伸プロジェクトが完成します。
- サウスイースト・レドモンド(Southeast Redmond)
- ダウンタウン・レドモンド(Downtown Redmond)
ライン2の運行体系
ライン2は、ラッシュ時は8分間隔で運転される予定です。ダウンタウン・レドモンドから主要駅までの所要時間は以下の通りとなっています。
- ダウンタウン・ベルビュー駅まで18分
- ダウンタウン・シアトルの各駅まで42分
- ワシントン大学まで49分
- ノースゲートまで56分
- リンウッドまで69分(2024年延伸開業予定)
- シアトル・タコマ国際空港まで72分(ダウンタウンでライン1に乗換え)
将来の延伸計画
2016年に可決された住民投票サウンドトランジット3には、リンクをさらにタコマ(Tacoma)方面、エバレット(Everett)方面、ウェストシアトル(West Seattle)方面、バラード(Ballard)方面などに延伸する計画も含まれています。しかしながら、開業予定時期は一番早いウェストシアトル方面でも2030年と、市内で慢性化する渋滞が改善されるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
Source: Sound Transit
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