カナダのVIA鉄道(VIA Rail)は、ケベックシティ(Quebec City)〜ウィンザー回廊(Windsor corridor)間を運行するインターシティ列車「コリドー(Corridor)」に新型車両を導入します。この車両は2018年にシーメンス社に発注されたもので、ブライトライン(Brightline)やアムトラック(Amtrak)の次世代車両にも採用されている「ベンチャー(Venture)」客車をベースにした車両となります。第一編成はすでに納車されており、現在、2022年末からの営業運転開始に向けた各種試験が実施されています。新型車両の導入は2024年ごろまで続き、最終的に32編成(5両32本)が増備され、現在コリドーで運行されている旧型車両を順次置き換えていく予定です。
新型車両の運行区間
新型車両が導入されるコリドーは、ケベックシティ、モントリオール、オタワ、トロント、ウィンザーなどを結ぶインターシティ列車です。パンデミック前の2019年における年間利用者数は約470万人で、これはVIA鉄道の利用者数全体の実に約96%を占める数字となっており、VIA鉄道のフラッグシップ列車となっています。
エクステリア
新型車両には、VIAイエロー、チャコール、グレー、ブラックをエレガントに配したカラーリングが採用されており、これまでの旧式車両のイメージを一新することになります。
ヘッドライトにはLEDが採用されています。また、積雪の多いエリアを走るため、大きなスノープラウが目を引きます。
側面にはVIAの大きなロゴと、カナダのシンボルであるメープルリーフが入っています。
ベンチャー客車は、電気式ディーゼル機関車「チャージャー(Charger): SC-42形」によって牽引されます。SC-42形はこれまでのVIA鉄道の機関車と比較して、炭素排出量を最大で80%削減できる環境に優しい機関車となっています。さらに将来の高速化および電化計画にも対応できるよう、電気機関車へ改造することも可能となっています。
Source: Siemens
インテリア
ビジネスクラス
ビジネスクラスは1列+2列の配列となっており、ヘッドレストピローも装着されています。
一部はボックス席となっています。
各座席ごとにコンセントが設置されており、WiFiなどにも対応しています。
座席背面のテーブルは、ノートパソコンの使用にも十分な大型のものとなっています。
ビジネスミーティングなどでの利用を想定したブース席(Business Class Pods)も設けられます。
ブース席を別角度から見たイメージです。
エコノミークラス
エコノミークラスは2列+2列の配列となっています。ビジネスクラス同様に、ヘッドレストピローが装着されています。
ボックス席はエコノミークラスにも設置されます。
トイレ
トイレはバリアフリーに対応した広々としたスペースとなっています。
VIA鉄道ベンチャー(Venture)車両の概要
運行者 | VIA鉄道(VIA Rail) |
製造者 | シーメンス(Siemens Mobility) |
導入編成 | 32編成(5両*32本) |
車両番号 | – |
定員 | ビジネス: 87席、エコノミー: 194席 |
営業開始(予定) | 2022年末〜 |
運行路線 | ケベックシティ(Quebec City)〜ウィンザー回廊(Windsor corridor) |
運行予定系統 | – |
設計最高速度 | 201km/h(営業最高速度: 160km/h) |
制御方式 | 電気式ディーゼル機関車**(IGBT-VVVFインバータ制御) |
**ディーゼルエンジンの排ガス規制であるTier 4基準(Tier 4 Standard)に対応
コメントを残す