アムトラック(Amtrak)は8日、2023年度の予算要求に向けて各駅、列車ごとの乗客数に関する各種統計情報を公開しました(General and Legislative Annual Report)。それによると、2021年度のアムトラック利用者はパンデミック前の2019年度と比較してほぼ全ての列車で半数以下となっており、依然として厳しい状況が続いています。以下、2021年度のアムトラック利用状況に関するランキングを、駅、州、列車ごとにまとめました。

*アムトラックの年度(FY)は10月から始まります。

乗降客数の多い駅ランキングトップ10
2021年1月に開業しニューヨークペンステーションのイメージを一新したモイニハントレインホール

アムトラックの利用者が多い駅断トツ1位はニューヨークのモイニハントレインホール(ペンステーション)で、およそ400万人が利用しました。また、2位、3位についても北東回廊の主要駅であるワシントンD.C.ユニオンステーション、フィラデルフィア30thストリートステーションと続いており、アメリカで最も鉄道網が発達している北東部の駅が上位を占めています。ただ、これらの駅でもパンデミック前と比較した利用者数は3〜4割程度と、依然として厳しい状況が続いています。

順位(FY2021)順位(FY2019)都市名駅名乗降者数
(FY2021)
乗降者数
(FY2019)
回復率*
1位1位ニューヨークモイニハントレインホール
Moynihan Train Hall
4,061,37910,811,32338%
2位2位ワシントンD.C. ユニオンステーション
Union Station
1,758,4095,207,22334%
3位3位フィラデルフィア30thストリートステーション
30th Street Station
1,500,0434,503,05533%
4位4位シカゴユニオンステーション
Union Station
1,336,5253,331,51340%
5位5位ボストンサウスステーション
South Station
679,3331,585,21643%
6位6位ロサンゼルスユニオンステーション
Union Station
466,4171,413,00633%
7位8位ボルティモアペンステーション
Penn Station
446,9141,043,54243%
8位9位アルバニー/レンセリアアルバニー・レンセリア
Albany–Rensselaer
379,209806,96047%
9位10位ニューヘイブンユニオンステーション
Union Station
347,544778,53445%
10位14位ボストンバックベイ
Back Bay
322,928720,14745%
最下位サンダーソン
(テキサス)
サンダーソン
Sanderson
15322568%
*パンデミック前のFY2019の乗客数と比較した回復率
Source: FY 2023 Grant Request, State Fact Sheets
利用者数が多い州ランキングトップ10
州全体でのアムトラック利用者が意外にも多いカリフォルニア州を代表する列車「パシフィックサーフライナー」
Image: Mds08011 (CC BY-SA 4.0). Wikimedia Commons

アムトラックの利用者が多い州1位はアメリカ最大の都市ニューヨークを抱えるニューヨーク州でした。2位はアメリカ最大の人口を有するカリフォルニア州で、鉄道利用は北東部と比較して一般的でないものの、ロサンゼルス、サンフランシスコ・ベイエリア、サンディエゴなどに比較的利用者の多い駅が点在しているため、州全体の利用者としては存在感を示しているようです。しかし、利用者の多い州でもパンデミック前と比較して3〜4割程度の利用にとどまっています。

順位(FY2021)順位(FY2019)州名乗降者数
(FY2021)
乗降者数
(FY2019)
回復率*
1位1位ニューヨーク5,220,52113,023,21240%
2位2位カリフォルニア3,527,36811,456,54331%
3位3位ペンシルバニア2,130,0376,659,82132%
4位5位イリノイ1,942,9984,722,85341%
5位4位コロンビア特別区1,758,4095,207,22334%
6位6位マサチューセッツ1,395,2033,460,07940%
7位10位バージニア908,0751,542,81359%
8位7位メリーランド831,1492,031,97541%
9位8位コネチカット788,6211,829,77043%
10位9位ニュージャージー596,7961,752,36934%
最下位アイダホ3,59412,11630%
*パンデミック前のFY2019の乗客数と比較した回復率
Source: FY 2023 Grant Request, State Fact Sheets
利用者数が多い列車ランキングトップ10
パンデミックの影響を受けつつもアムトラックの利用者数断トツ1位を誇るノースイーストリージョナル
Image: John H Gray (CC BY-SA 2.0). Wikimedia Commons

利用者の多い列車1〜3位はパンデミック前と同じ結果となりました。利用者が圧倒的に多いのは北東回廊のノースイーストリージョナルで、次にビジネス客が激減しながらも2位を誇示したアセラとなっています。3位は、ロサンゼルスとサンディエゴなどを結ぶパシフィックサーフライナーで、こちらもパンデミック前と同じ順位を維持しています。利用者の回復が特に遅れているアセラは、2023年の新型車両投入による復活を期待したいところです。

順位(FY2021)順位(FY2019)列車名利用者数
(FY2021)
利用者数
(FY2019)
回復率*
1位1位ノースイーストリージョナル3,508,7668,940,74539%
2位2位アセラ897,6393,577,45525%
3位3位パシフィックサーフライナー840,9622,776,65430%
4位6位エンパイアサービス**613,1711,214,20650%
5位7位サンホアキンズ434,0991,071,19041%
6位5位キーストーン394,2791,575,95925%
7位4位キャピトルコリドー354,3731,777,13620%
8位10位リンカーンサービス261,160627,59942%
9位12位エンパイアサービス***245,079390,35563%
10位8位ハイアワサ241,639882,18927%
最下位イーサンアレン12,45650,51525%
*パンデミック前のFY2019の乗客数と比較した回復率
**ニューヨーク〜アルバニー間
***ニューヨーク〜ナイアガラフォールズ間
Source: FY 2023 Grant Request, FY 2021 Grant Request
各列車の収支率ランキングトップ10
2021年度に唯一収支率が100%を上回ったオートトレイン
Image: Amtrak

2021年度にアムトラックの列車で収支率100%を上回ったのはオートトレインのみという結果になりました。オートトレインは、ワシントンD.C.近郊から南部フロリダ州までを運行する列車です。カーフェリーのように自家用車を列車に積み込むことで長距離を運転せずに移動できるため、パンデミック以降、アメリカ南部へ移住または旅行する人が増えたことと関連性がありそうです。そのほかの列車は、全て収支率100%以下となっており、特にノースイーストリージョナルやアセラの落ち込みが際立っています。

順位(FY2021)順位(FY2019)列車名収支率*
(FY2021)
収支率*
(FY2019)
1位9位オートトレイン101%92%
2位13位バーモンター73%69%
3位3位バージニアサービス・ロアノーク71%139%
3位5位バージニアサービス・ノーフォーク71%111%
5位12位エンパイアサービス**64%77%
6位7位カロリニアン63%94%
6位4位バージニアサービス・ニューポート63%117%
8位2位ノースイーストリージョナル55%150%
9位36位イリニ・サルーキ49%44%
10位11位パルメット48%79%
14位1位アセラ45%202%
最下位サンセットリミテッド17%28%
最下位バレーフライヤー17%50%
*州からの補助金を受けている列車は補助金を差し引いた収支率を表示
**アルバニー〜ナイアガラフォールズ間
Source: FY 2023 Grant Request, FY 2021 Grant Request

Source: Amtrak

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