アムトラック(National Railroad Passenger Corporation: Amtrak)は、北米初の高速列車として2000年から営業運転を開始したアセラ(Acela)に新型車両28編成を導入し現行車両を全て置き換える予定です。現在、アセラの営業最高速度は240km/hで、ボストン〜ニューヨーク〜ワシントンD.C.間(約734m)を最速6時間38分で結んでおり、アメリカ国内において乗客数および列車運行本数ともに最大を誇る北東回廊(Northeast Corridor)の花形列車となっています。新型車両は2021年から営業運転を開始する予定です。
※2023年6月現在、新型アセラの運行開始は再々延期され2024年以降からとなっています。
アセラの運行ルート
現在、アセラに使用される車両はすべて2000年の営業運転開始時に導入された車両となっています。この車両は、フランスTGVの技術をベースにしたもので、カナダのボンバルディアとフランスのアルストムの企業連合が製造しました。今回導入される新型車両には、アルストムの高速鉄道車両ブランド「アヴェリア」が採用され、アセラ向けに製造されるタイプは、アヴェリア・リバティ(Avelia Liberty)と呼ばれています。
アヴェリア・リバティには車体傾斜装置が装備されており、起動や信号システム更新のタイミングと合わせて、将来的には最高速度300km/hでの営業運転を視野に入れているようです。なお、車両の設計最高速度は350km/hとなっています。
公開されている新型車両のデザイン
こちらは、実際に導入される車両のデザインです。エクステリアのカラーリングは、上の紹介ビデオのものから少し変更になっています。1編成につき機関車2両+客車9両で導入されますが、客車を最大12両まで容易に増強できる設計になっているようです。
側扉はプラグドアで、赤色塗装になっています。アセラのロゴは現行のものとほぼ同じデザインです。
アセラは主にビジネス客をターゲットとしているため、ファーストクラスおよびビジネスクラスのみの設定となっています。上のイメージはビジネスクラスの座席で、車内は2列+2列の座席配置となっています。ビジネスミーティングやグループ利用に活用できる大型テーブルを備えたボックス席も設置されます。
新型アセラでは、現行車両では対応していない事前座席指定も可能になるようです。荷棚下に設置されたディスプレイに予約済み区間が表示されるようになっています。また、車端部や天井には次駅案内などを表示するLCDディスプレイも設置されます。
カフェカーの販売スペース内部の様子です。
カフェテリアの販売スペースの様子です。赤をアクセントにした内装がお洒落ですね。
カフェテリア横には立席スペースも設置されます。
こちらはファーストクラスの座席です。1列+2列の座席配置になっているため、ビジネスクラスよりも広めのシートピッチとなっています。ボックス席もビジネスクラスのものと比較して広めになっているようです。
座席背面の大型テーブルは引き出し可能で、ミニテーブルとしても使用できるようです。またフットレストも設置されています。
全クラス全座席にコンセントおよびUSB充電ポートが装備されます。
大型の化粧室も設置されます。
運転台の機器類は全てデジタル化されるようです。
新型アセラの車両は既に2編成が落成しており、第1編成はコロラド州にあるプエブロ実験線で、第2編成は実際の運行区間である北東廻廊において試験走行が実施されているようです。コロナ禍の影響が出ないか心配ではありますが、2021年の運行開始に向けて着々と準備が進んでいるようですので、当ブログでも随時最新情報を発信していきます。
新型車両の概要
運行者 | アムトラック(Amtrak) |
製造者 | アルストム(Alstom) |
導入編成 | 11両編成(動力車2両+客車9両)× 28編成(予定) |
車両番号 | 2100–2155 (動力車) |
定員 | 386名 |
営業開始 | 2021年(予定) |
運行路線 | 北東廻廊(Northeast Corridor) |
運行区間 | ボストン〜ニューヨーク〜ワシントンD.C間 |
設計最高速度 | 350km/h(車体傾斜なし)299km/h(車体傾斜あり) |
制御方式 | IGBT-VVVFインバータ制御(Alstom) |
Source: New Acela Fleet, Amtrak, Alstom
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