サンフランシスコ・ベイエリアの都市鉄道であるベイエリア高速鉄道(Bay Area Rapid Transit: BART)は、2009年よりシリコンバレーの中心地であるサンノゼエリアへの延伸工事を進めています。これまでに、2017年にフリーモント(Fremont)〜ウォームスプリングス(Warm Springs)間の約8.7 km、2020年にウォームスプリングス〜ベリエッサ(Berryessa/North San Jose)間の約16kmが開業しています。現在は、シリコンバレー延伸プロジェクトの最終段階となるサンノゼ・ダウンタウンへの延伸計画「BARTシリコンバレー・フェーズ2(BART Silicon Valley Phase II)」が進められており、カリフォルニア高速鉄道のシリコンバレー区間と同じ2031年ごろの開業が予定されています。
BARTシリコンバレー・フェーズ2の概要
BARTは現在5路線(夜9時以降は4路線)を運行しています。このうち、サンノゼ方面へ延伸するのはオレンジ/グリーンラインとなり、2020年に延伸開業したベリエッサ駅からサンノゼ・ダウンタウンを経由してカルトレインのサンタクララ(Santa Clara)駅まで延伸する計画となっています。
ベリエッサ駅からサンタクララ駅までの区間は、2020年までに開業した延伸区間よりも距離は9.7 kmと短くなっていますが、大部分が地下線として建設されるため、総事業費は68億ドル(8,900億円)と非常に高額なプロジェクトとなっています。なお、同区間の延伸工事はベリエッサ延伸時と同じく同エリアの公共交通の運営・計画などを行うサンタクララバレー交通局(Valley Transportation Authority: VTA)が主体となり実施されています。
BARTシリコンバレー・フェーズ2で誕生する新駅
28thストリート・リトルポルトガル駅
28thストリート・リトルポルトガル(28th Street/Little Portugal)駅は、地下駅として建設されます。また、駅周辺には駐車場も整備される予定で、パークアンドライドに対応した駅となります。
メインエントランスのイメージです。
コンコースのイメージです。特徴的な円形の屋根は、真ん中から光が差し込む設計となっています。
床材には、ポルトガルをイメージさせるパターンが採用されています。
地下ホームのイメージです。2面2線の相対式ホームとなります。
ダウンタウン・サンノゼ駅
ダウンタウン・サンノゼ(Downtown San José)駅は、シリコンバレー延伸工事の中心駅となる駅で、最も多くの利用者が見込まれている駅となっています。ホーム階が二層構造の地下鉄駅として整備されます。
メインエントランスの全体イメージです。
サンノゼの中心駅となるため、都会的で洗練されたデザインとなっています。
コンコースも非常に開放的な空間となります。
ホーム階コンコースエリアのイメージです。ホームは地下4階部分とかなり深いところに建設されるため、何層ものエスカレーターを下る必要があります。
ディリドン駅
ディリドン(Diridon)駅はアムトラック、カルトレイン、ACE(Altamont Corridor Express)、VTAライトレール、さらに将来のカリフォルニア高速鉄道との接続駅となります。サンノゼ・ダウンタウン駅と同じくホーム階が二層構造の地下駅として建設されます。
メインエントランスは円形の屋根が特徴的な建物となります。
コンコースの様子です。28thストリート・リトルポルトガル駅同様に、屋根の真ん中から光が差し込む構造となっています。
ホーム階へと続くエスカレーターの空間は地上階まで吹き抜けとなっており、ダイナミックなコンコース空間が誕生することになります。
サンタクララ駅
サンタクララ(Santa Clara)駅は、シリコンバレー延伸プロジェクトの終着駅となります。当駅では、アムトラック、カルトレイン、ACEと接続します。なお、今回の延伸区間の中で唯一地上駅として整備されます。
サンタクララ駅の全体イメージです。サンタクララ駅に隣接してBARTの車両基地も建設されます。
駅舎は橋上駅舎で、駅直結のパークアンドライド用の駐車場やライドシェア乗り場などが整備されます。
駅舎および駐車場の入る建物の下はBARTの車両基地の一部となります。
コンコースの様子です。他の駅同様に広々とした空間が誕生します。
2階コンコースのイメージです。
コンコースやホームにはアクセントカラーが配される予定です。
開業までの予定
シリコンバレー延伸工事(Phase II)の建設工事は、来年秋以降の本格着工が見込まれています。建設工事は2028年から2029年にかけて完了する予定で、その後2年ほどかけて運行免許を取得するための試運転などが実施される予定となっています。そのため、現時点での営業運転開始時期は2031年となっています。
Source: VTA
※1米ドル=130円で計算
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