キャピタルメトロ、プロジェクトコネクトとは?

近年、ビック・テックをはじめとしたIT企業の進出ブームが続くテキサス州の州都オースティン(Austin)では、2010年と比較して都市圏の人口が34%も増加しました。この急激な人口増加に対応し持続可能な発展をサポートするため、オースティン都市圏の公共交通を運行するキャピタルメトロ(Capital Metropolitan Transportation Authority)では、プロジェクトコネクト(projectconnect)と呼ばれる大規模なトランジット建設プロジェクトが進行しています。

プロジェクトコネクトは、2020年の大統領選と合わせて実施された固定資産税の一部を公共交通の建設および運営資金に割り当てることを問う住民投票(2020 Mobility Elections Proposition A)において賛成多数で可決されました。パンデミックの影響で当初予定より予算が削減されましたが、新たな鉄道4路線の建設、それに伴うダウンタウン・トランジット・トンネルの建設、既存のレッドライン(Red Line)への新駅設置、将来の鉄道路線化を見据えた新たな速達バス(Rapid/Express)路線の開設などが実施される予定なっています。

プロジェクトコネクトの路線新設計画(初期投資分)
Image: Capital Metro

プロジェクトコネクトの鉄道計画路線のうち、レッドライン(既に開業済み)とグリーンラインは通勤鉄道路線、オレンジラインとブルーラインはライトレール路線となります。また、ゴールドラインはバス・ラピッド・トランジット(BRT)として建設され、その後ライトレールへアップグレードされる計画です。

オレンジライン(2028/2029年開通予定)
Image: Capital Metro

オレンジラインはオースティンを南北に縦断する全長約32kmの路線で、ライトレール路線として建設されます。リパブリックスクエア・ガバメントセンター駅は地下駅として建設されます。また、一部区間にはブルーラインおよびゴールドラインの列車が乗り入れる予定です。

オレンジラインに設置される駅は以下の22駅の予定です。

  1. テックリッジ(Tech Ridge)*高架駅、将来延伸区間
  2. パーマー(Parmer)*将来延伸区間
  3. ブレーカー(Braker)*将来延伸区間
  4. ランドバーグ(Rundberg)*将来延伸区間
  5. ノースラマー・トランジットセンター(North Lamer Transit Center)
  6. クレストビュー(Crestview)*高架駅
  7. コーニグ(Koenig)
  8. トライアングル(Triangle)
  9. ハイドパーク(Hyde Park)
  10. ヘンフィルパーク(Hemphill Park)
  11. UT・ウェストモール(UT/West Mall)
  12. キャピタルウェスト(Capital West)
  13. ガバメントセンター・キャピタルウェスト(Gov. Center/Capital West)*地下駅
  14. リパブリックスクエア(Republic Square)*地下駅
  15. オーディトリウムショア(Auditorium Shores)*地下駅
  16. サウスコングレス(South Congress)
  17. オルターフ(Oltorf)
  18. セントエドワーズ(St Edward’s)
  19. サウスコングレス・トランジットセンター(South Congress Transit Center)*高架駅
  20. スタスニー(Stassney)
  21. ウィリアムキャニオン(William Canyon)*将来延伸区間
  22. スラフター(Slaughter)*将来延伸区間

ブルーライン(2028/2029年開通予定)
Image: Capital Metro

ブルーラインはダウンタウンとオースティン国際空港を結ぶ全長約13kmのライトレール路線です。空港アクセス鉄道のないオースティンにとって、オースティンダウンタウンへの利便性を向上させる上で非常に重要な路線となります。また、オレンジラインのノースラマートランジットセンター(North LamerTransit Center)駅まで直通運転も計画されています。

ブルーラインに設置される駅は以下の11駅の予定です。運行間隔は10分間隔を予定しています。

  1. オースチン・バーグストロム国際空港(Austin-Bergstrom International Airport)*高架駅
  2. メトロセンター(Metro Center)
  3. モントポリス(Montopolis)
  4. ファロ(Faro)
  5. リバーサイド(Riverside)
  6. レイクショア(Lakeshore)
  7. トラビスハイツ(Travis Heights)
  8. ウォーターフロント(Waterfront)
  9. レイニー・MACC(Rainey/MACC)*地下駅
  10. コングレスアベニュー(Congress Avenue)*地下駅
  11. リパブリックスクエア(Republic Square)*地下駅

Image: Capital Metro

ブルーラインはオースティン空港のターミナルへダイレクトに乗り入れる予定です。

Image: Capital Metro

空港ターミナル駅周辺には大規模駐車場も整備されます。

ゴールドライン
Image: Capital Metro

ゴールドラインはパンデミックにより予算が削減された影響で、バス・ラピッド・トランジット(BRT)路線として開業する予定です。ただ、将来的にはライトレール路線にアップグレードされる計画です。ライトレール路線にアップグレードされる際には、ダウンタウンからリパブリックスクエアの間はブルーラインに、リパブリックスクエアからサウスコングレス・トランジットセンターの間はオレンジラインに直通運転する計画となっています。

ゴールドラインに設置される駅は以下の8駅の予定です。

  1. ハイランド(Highland)
  2. クラークソン(Clarkson)
  3. ハンコック(Hancock)
  4. セントデビッド(St. David’s)
  5. UTイースト(UT East)
  6. メディカルスクール(Medical School)
  7. トリニティー(Trinity)
  8. ダウンタウン(Downtown)*地下駅

ダウンタウン・トランジット・トンネル(2028年開通予定)
Image: Capital Metro

ダウンタウン・トランジット・トンネルは、ダウンタウンに建設されるライトレールの地下線区間です。専用軌道を地下線で建設することで、渋滞の影響を最小限にすることが可能になります。

Image: Capital Metro

地下駅にはイベントスペースや飲食・物販ゾーンも設置されるようです。

ライトレール車両
Image: Capital Metro

こちらは、ライトレール車両のイメージです。イメージでは5連接車が描かれていますが、どの会社の車両が導入されるのか今後の進捗に注目です。

レッドラインの増発と駅新設
Image: Capital Metro

2010年に開業したレッドラインは利用者が増加傾向にあり、最大15分間隔で運行ができるよう列車交換設備の増設を行う予定です。また、ブロードムーア・ドメイン(Broadmoor/Domain)駅とマッカラ(McKalla)駅の2駅を新設する予定です。

Image: Capital Metro

オースティンFCサッカーチームの本拠地、Q2スタジアム(Q2 Stadium)へのアクセスとして新設されるマッカラ駅の完成イメージです。

グリーンライン(2033年開通予定)
Image: Capital Metro

グリーンラインは、レッドラインと同じく既存の貨物線を旅客線に改良する形で通勤路線として建設されます。フェーズ1でダウンタウンからコロニーパーク(Colony Park)までの約13kmの区間から建設し、その後残りの約27kmの区間を建設する予定です。

通勤路線に導入される車両

グリーンラインは通勤路線として建設されるため、先行して開業しているレッドラインに導入されているシュタッドラー社製のGWT車両が導入されると予想されます。

スケジュール
Image: Capital Metro

プロジェクトコネクトのスケジュールです。今後、ライトレール路線の完成までには8年程度かかる予定です。オースティンの街をライトレールが快走するまでにはまだ時間がかかりますが、DenshaDexでは劇的に変化し続けるオースティンの交通の姿をフォローしていきいます。

Source: Capital Metro

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