ドイツ鉄道、国内最速運転に対応した次世代車両「ICE 3neo」とは?

ドイツ鉄道(Deutsche Bahn: DB)は昨年12月5日から、フランクフルト中央駅(Frankfurt/Main)とケルン(Köln)を結ぶケルン-ライン=マイン高速線(Cologne-Frankfurt high-speed railway)において、ドイツ国内の営業最高速度である時速300km運転に対応したICE 3(Intercity-Express 3)の次世代車両「ICE 3neo」の営業運転を開始しました。ICE 3neoは、シーメンス・モービリティがドイツ鉄道向けに開発した「ヴェラロMS(Velaro MS)」と呼ばれる動力分散方式の4電源対応高速車両で、ベルギーやオランダでの運行にも対応しています。同車両は、2030年にかけて増加が予想される座席需要に対応するため、2029年までに合計73編成が増備される予定となっています。

Image: DB AG
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Source: DBSiemens

ICE 3neoが投入される予定の路線
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ICE 3neoは、2022年12月5日から暫定的にケルン・フランクフルト間において営業運転を開始し、12月11日のダイヤ改正後は、ドルトムント(Dortmund)やミュンヘンにも運行区間を拡大しています。なお、ミュンヘンまで運転する列車は、昨年12月9日にシュトゥットガルト(Stuttgart)とウルム(Ulm)の間に開業したヴェンドリンゲン – ウルム高速線(Wendlingen-Ulm high-speed line)経由で運行されています。さらに2024年以降は、4電源対応の性能を活かして、ドイツとベルギーやオランダを結ぶ国際列車への投入も予定されています。

エクステリア
Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

カラーリングは、ICEの伝統カラーである白を基調にした車体に赤色のラインが入ってものが採用されています。なお、車体形状に関しては、2013年にデビューした「New ICE 3(DB Class 407、Velaro D)」とほぼ同じデザインとなっているため、外観上の大きな違いは乗降扉の数が増えている点などにとどまります。

Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

ICE 3neoは8両1編成ですが、最大2編成を連結して16両編成での運転も実施されます。なお、New ICE 3との連結も可能な仕様となっています。

Image: Deutsche Bahn AG / Stefan Wildhirt

先頭部分を側面から見た様子です。前述のとおり基本的にNew ICE 3と同様のデザインですが、マイナーな点としてWiFiロゴが追加されていたりドア周りが黒色に塗装されている点が異なります。

インテリア
ファーストクラス
Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

ファーストクラスには2列+1列シートが採用されています。なお、インテリアデザインは2017年にデビューしたICE 4に準じたものとなっており、色調変更が可能なLED照明、車内情報案内ディスプレイ、コンセントが全座席に装備されています。

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なお、ICE 4からのマイナーチェンジとして、座席の背面にタブレット端末ホルダーと大型テーブルが設置されています。

セカンドクラス
Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

セカンドクラス(普通車)は2列+2列シートとなっています。こちらもファーストクラス同様にICE 4のインテリアデザインに準じたものとなっており、マイナーチェンジとして全席にタブレット端末ホルダーやコンセントが装備されています。

Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

大型荷物置場は従来車両よりも増設されたほか、より使い易いような形状に変更されています。

ファミリーシート
Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

ICE 4同様に、セカンドクラスの一部にはファミリーシートが設置されています。

その他
Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

ICE 3neoでは、窓ガラスに携帯電波を通過させやすくする特殊なガラスが採用されており、高速データ通信が可能となっています。

Image: Deutsche Bahn AG / Volker Emersleben

編成ごとに8台分の自転車用スペースが設置されています。なお、自転車用スペースはICE 4にも設置されていますが、最高速度300km/h以上で走行可能なICE 3への搭載は初めてとなります。

Image: Deutsche Bahn AG / Patrick Kuschfeld

バリアフリー対応設備として、一部の車両では改良されたリフトが設置されています。

2023年12月以降にはICEの新インテリア搭載編成も登場

ドイツ鉄道は昨年5月、ICEの車内デザインを一新することを発表しています。新車内デザインは、ICE 3neoの第17編成以降の車両から導入される予定で、営業列車への投入は2023年12月頃から開始される予定となっています。

ICE 3neo(DB Class 408)の概要
運行者ドイツ鉄道(Deutsche Bahn: DB)
車両形式ICE 3neo(DB Class 408)
車両メーカーシーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)
車両ブランドヴェラロMS(Velaro MS)
導入編成73編成(8両73本)
車両番号8001〜8073(8017編成以降には新インテリアを導入)
定員455席(ファーストクラス99席、セカンドクラス340席、ビストロ16席)
営業開始2022年12月5日〜
運行路線ケルン-ライン=マイン高速線(Cologne-Frankfurt high-speed line)
ヴェンドリンゲン – ウルム高速線(Wendlingen-Ulm high-speed line)など
運行区間ドルトムント〜ケルン〜フランクフルト〜ミュンヘンなど
フランクフルト〜ブリュッセル/アムステルダム(2024年以降)
最高運転速度320km/h(ドイツ国内は300km/h)
制御方式IGBT-VVVFインバータ制御
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“ドイツ鉄道、国内最速運転に対応した次世代車両「ICE 3neo」とは?” への3件のフィードバック

  1. バンノコウジのアバター
    バンノコウジ

    neoじゃない、コクピットラウンジ席の付いたICE3の運転区間は何処になりますか?スイスとドイツを旅行する為、教えて下さい

    1. DenshaDexのアバター

      前面展望席のあるICE3(クラス403)は、ミュンヘン〜ニュルンベルク〜フランクフルト〜ケルン〜デュッセルドルフを結ぶ列車や、ミュンヘン〜ベルリンを結ぶSprinter serviceに多く使用されています。また、同じく前面展望席のあるICE3M(クラス406)は、バーゼル〜マンハイム〜フランクフルト〜ケルン〜デュッセルドルフ〜(ドルトムント〜ハンブルク)/(アムステルダム)やフランクフルト〜ブリュッセルを結ぶ国際列車で運行されています。

  2. バンノコウジのアバター
    バンノコウジ

    詳しい情報有り難うございます

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