フロリダ州最大の都市圏であるマイアミ都市圏を走る「メトロレール(Metrorail)」は、マイアミ・デイド交通(Miami-Dade Transit: MDT)が運行する高架式の都市高速鉄道です。メトロレールでは、1984年の開業以来アメリカの車両メーカー「バッド社(The Budd Company)」が製造した車両が使用されてきました。しかし2000年代後半になると、MDTの財政難によって適正な車両メンテナンスが実施されてこなかったことによる車両の老朽化が顕著となり、車両更新計画が本格化することになります。メトロレールの車両更新にあたっては、新型車両の導入が総合的にコスト削減効果が最も高いという結論に至ったため、入札によって、イタリアのアンサルドブレーダ(AnsaldoBreda S.p.A.)社が新型車両の製造を担当することが決まりました。なお、アンサルドブレーダ社は、2015年に日立レールによって買収されたため、新型車両の製造は日立レールが担当することになりました。
新型車両は、マイアミ近郊に位置するメドレー(Medley)に新たに建設された車両工場において、2016年から製造が開始され、2017年11月に営業運転が開始されています。その後、2021年までに全136両(2両編成68本)の投入が完了し、現在はメトロレールの全車両が日立レール製の車両に統一されています。
エクステリア
前面デザインは、どことなくバッド社製の旧型車両のイメージを継承しつつも、マイアミのトロピカルな海を連想させるブルーのラインやLEDヘッドライトの採用でよりモダンなイメージとなりました。
車両側面にもブルーのラインが入っています。
2017年に誕生した車両でありながら、コスト削減のためかステンレス製の車両側面にはスポット溶接特有の鋼板のひずみを隠すためのビードが入っているため、あまり最近の新型車両っぽくないのが特徴となっています。
通常は2両+2両の4両編成で運行されています。なお、メトロレールはOsaka Metroなどと同じ第三軌条方式となっているため屋根上はすっきりしています。
インテリア
シート
車内の様子です。シートにもブルーが採用されているほか、形状は材質はアメリカの他の都市鉄道やバスで一般的に見かける標準的なものとなっています。
車内照明にはLEDが採用されているため明るい車内となっています。また、車内ではフリーWiFiも利用できます。
車内情報案内表示器
ドアの戸袋付近には大型のLCDディスプレイが設置されており主に広告などが表示されています。
また、車外の行き先案内表示器の裏側にあたる一部の窓ガラスには、LED情報案内表示器も設置されています。
大型荷物置き場
車内にはバリアフリー対応のスペースや自転車用スペースも設置されています。
メトロレールの車両概要
運行者 | マイアミ・デイド交通(Miami-Dade Transit: MDT) |
製造者 | 日立レール(Hitachi Rail) |
導入編成 | 136両(2両68本) |
車両番号 | 301〜436 |
定員 | 132席(定員:224人) |
営業開始 | 2017年11月〜 |
運行路線 | メトロレール(Metrorail)オレンジライン、グリーンライン |
運行区間 | パルメット(Palmetto)駅〜デイドランドサウス(Dadeland South)駅 アーリントンハイツ(Earlington Heights)駅〜マイアミ国際空港(Miami International Airport)駅 |
最高速度 | 90km/h |
制御方式 | IGBT-VVVFインバータ制御 |
Source: 日立レール
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