北米初の民間資本によって整備された高速鉄道路線「ブライトライン」で使用されている車両とは

フロリダ州最大の都市圏であるマイアミ都市圏の主要都市を結ぶ「ブライトライン(Brightline)」は、米国の投資会社フォートレス・インベストメント・グループ傘下の「Florida East Coast Industries社」が所有、運営している全線非電化の都市間鉄道路線です。ブライトラインは、2018年1月にマイアミセントラル駅からウェストパームビーチ駅まで約113kmの区間が開業しました。また、2023年9月22日には、ウェストパームビーチからオーランド国際空港までの約274kmの延伸区間が開業する予定で、同区間のうち新線として整備された一部区間においては最高時速200kmでの運転が実施される予定となっています。ブライトラインでは、シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)が北米市場向けに開発した「Venture(ベンチャー)」と呼ばれる客車が導入されており、これまでの北米の都市間旅客列車のイメージを一新するモダンなデザインや快適な車内設備などが特徴となっています。

なおベンチャーは、オーストリア連邦鉄道などに導入されているシーメンス製の客車ブランド「Viaggio Comfort」をベースとした車両で、ブライトラインが初の採用事例となります。また、アムトラックやカナダのVIA鉄道などでも同型車両が導入されており、今後北米における都市間列車のスタンダードとなる予定です。

エクステリア

ブライトラインは全線非電化の路線で、両端にシーメンス製のディーゼル・エレクトリック方式機関車「チャージャー(Charger)」が連結されています。

機関車には流線系のフォルムが採用されており、カラーリングもブラックフェースにブライトラインのコーポレートカラーであるイエローが配された斬新なものとなっています。

テールライトが点灯している様子です。ブライトラインの列車では、アムトラックの列車と異なり両端に機関車が連結されているため、前後で統一されたデザインを見ることができます。

乗降扉には号車番号、座席番号および座席クラスが一目でわかるように大きく記されていますが、行き先表示器などは設置されていません。

客車のカラーリングは編成ごとに異なっており、レッド、ブルー、グリーン、ピンク、オレンジの5色が存在します。今回、乗車した車両は2023年に増備されたばかりの2代目ブライトオレンジ(brightorange)でした。

客車と機関車で統一されたカラーリングが採用されており、全体的に統一感のあるデザインとなっています。

インテリア(普通席)
シート

※ビジネスクラスに該当するPREMIUMクラスには乗車していないためここでは省略します。

車内の様子です。普通席の座席は2列+2列となっているほか、一部ボックス席が設置されています。なお、転換式の座席ではないため、座席の方向は2方向で設置されています。

こちらは、普通車の座席にも明るめのレザーシートが採用されています。まだ新しいので明るく清潔感がありますが、経年劣化が進むと汚れが目立たつようにならないか少し気になるところです。

座席の背面には大型のテーブルが設置されています。ちなみに、座席のリクライニングは背もたれではなく座面のみが前にスライドする方式となっています。

大型テーブルは広げるとパソコンを使用するのにも十分な大きさがあり使い勝手が良いかと思います。

タブレットやドリンクを置くのに便利な小型テーブルとしても使用できます。

各座席の下には、充電用のコンセント、USB-A、USB-Cポートが設置されています。

座席の間にも同様に充電用のコンセント、USB-A、USB-Cポートが設置されています。

車内照明

車内の照明は最新の車両らしくLED照明が採用されているほか、ブルーのLEDアクセント照明が近未来感を演出しています。

荷棚の下には角度を調節可能なLED読書灯が設置されています。

車内情報案内表示器

車内情報案内表示器には横長のLCDディスプレイが採用されており、次駅案内や広告などが表示されます。

デッキ部

SMARTクラスのデッキ部の様子です。

デッキ部には車両のカラーに合わせたネーミングが記されています。

乗降扉の横には携帯電話での通話時などの利用に便利なミニラウンジスペースとゴミ箱が設置されています。

車両連結部の様子です。日本の特急車両などと比較してかなり広々とした印象です。

大型荷物置き場

各車両の端には大型の荷物置き場が設置されており、空港へのアクセスとしても快適に利用できるようになっています。

お手洗い

トイレも非常に広々としており、清潔感のある内装となっています。また、おむつ交換台も設置されています。

トイレに設置されている洗面台の様子です。

真空式トイレが採用されています。

ブライトラインの車両概要
Image: Siemens
運行者Florida East Coast Industries社
※フォートレス・インベストメント・グループ傘下
製造者シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)
導入編成客車(ベンチャー):10編成(4両10本)※さらに5編成(4両5本)増備予定
機関車(チャージャー:SCB-40形):21両
車両番号101〜121(機関車番号)
定員ビジネス席(PREMIUM):49席、普通席(SMART):190席
営業開始2018年〜
運行路線ブライトライン(Brightline)
運行区間マイアミ駅〜オーランド国際空港駅
※ウェストパームビーチ駅〜オーランド国際空港駅間は2023年9月22日に開業予定
最高速度125 mph(201km/h)
機関車ディーゼル・エレクトリック方式(IGBT-VVVFインバータ制御)
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