ドイツのベルリン・ブランデンブルク(Berlin Brandenburg)都市圏のローカル鉄道路線を運行するNEB(Niederbarnimer Eisenbahn)は、 シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)の開発した水素で走る鉄道車両「ミレオ・プラスH(Mireo Plus H)」を7編成(2両編成7本)を導入します。同車両は、ベルリン(Berlin)とショルフハイデ(Schorfheide)を結ぶRB27(Heidekrautbahn)線において、2024年12月から運用が開始される予定です。ミレオプラスHは、シーメンスが開発を進めている水素を燃料とする燃料電池車両で、設計最高速度は時速160km、起動加速度は1.1 m/s2(約4.0 km/h/s)、2両編成の場合は一回のフル充填で最大800km走行可能な性能を有しており、今後、非電化区間を走行する中距離列車などへの導入が期待されています。
なおNEBでは、ミレオプラスHを7編成導入することにより、年間でCO2排出量をおよそ300万キロ、ディーゼル燃料使用量を110万リットル削減できるとしており、ドイツ国内で計画されている多様な動力源の車両を効率よく運行することで既存の鉄道インフラを最大限活用する計画にも貢献することとなります。
ミレオ・プラスHの導入路線
RB27線は、ベルリンとその北部にあるヴァンドリッツ(Wandlitz)、ツァーペンシュロイゼ(Zerpenschleuse)、グロース・シェーネベック(Groß Schönebeck)などを結ぶローカル路線です。グロース・シェーネベックからベルリン・カーロー(Berlin-Karow)までの所要時間は40分程度となっています。
なお、バスドルフ(Basdorf)とベルリン・カーロー(Berlin-Karow)間については、日中も30分間隔の運行となっていますが、その他の区間では60分〜120分間隔の運行となっており、いかにもローカル線といった感じです。
現在RB27線では、 2002年〜2006年に導入されたボンバルディア製のディーゼル車両「タレント(Talent)」が使用されています。なお、タレントの設計最高速度は時速120kmとなっています。
2024年には一度廃線になった(Basdorf)〜ベルリン・ヴィルヘルムスルー(Berlin Wilhelmsruh)間の復活も予定されており、環境問題に関心の強いドイツらしく鉄道の復活へ向けた意気込みが感じられます。
車両デザイン
外観デザインは、他のミレオシリーズと同様のデザインにNEBのカラーリングの組み合わせとなっています。
既存の設備を最大限生かしながら最新テクノロジーを駆使することで、ローカル線のイメージをクリーンなイメージに一新することになります。
乗降ドアは片側3箇所に設置され、バリアフリーにも対応したものとなります。
ミレオプラスHの概要
運行者 | NEB(Niederbarnimer Eisenbahn) |
製造者 | シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility) |
ブランド名 | ミレオプラスH(Mireo Plus H) |
導入編成 | 7編成(2両編成7本) |
車両番号 | – |
定員 | 120席 |
営業開始(予定) | 2024年12月〜 |
運行路線 | RB27(Heidekrautbahn) |
運行予定系統 | Berlin – Groß Schönebeck/Schmachtenhagen |
編成出力 | 1.7MW |
最大加速度 | 1.1m/s2(約4.0km/h/s) |
設計最高速度 | 160km/h |
最大航続距離 | 800km※気象条件により異なる |
燃料充填時間 | 15分(水素燃料) |
ミレオプラスHは、シーメンスとドイツ鉄道(DB)との共同プロジェクト(H2goesRail)の一環として開発された車両で、第一編成が今年5月に登場しています。このプロジェクトでは、シーメンスが車両を開発しドイツ鉄道が水素ステーションなどのインフラを整備することとなっており、今後各種試験が実施されたのち、2024年からはテュービンゲン(Tübingen)、ホルブ(Horb)、プフォルツハイム(Pforzheim)を結ぶ路線に営業投入される予定です。水素を使用した燃料電池電車は日本でも開発が進められていますが、ミレオプラスHのパフォーマンス次第では、欧州以外での採用事例も増える可能性がありそうです。
Source: Siemens
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