フィラデルフィア(Philadelphia)都市圏の公共交通を運営する南東ペンシルベニア交通局(Southeastern Pennsylvania Transportation Authority: SEPTA)は23日、2027年から導入を予定している路面電車/ライトレール路線向けの新型車両について、フランスの車両メーカーである「アルストム(Alstom)」に発注したと発表しました。新型車両はバリアフリーに対応した低床式の連接車両となる予定で、合計150編成(さらにオプションとして最大30編成)が導入される予定で、確定分の発注金額は約7億1,400万ドル(約962億円)となります。これにより、1980年代から使用されている川崎重工製(現川崎車両)の既存車両は2030年末頃までに引退することになります。
なお、新型車両は既存車両よりも10メートルほど長い車両とすることで、乗車定員の増加が可能となるほか、車椅子、ベビーカー、自転車、大型荷物用のオープンスペースも設置されます。
Source: SEPTA
SEPTAの路面電車路線図
SEPTAは、フィラデルフィアの中心部のセンターシティ(Center City)やペンシルベニア大学があるユニバーシティシティ(University City)とフィラデルフィアの南西部、北部エリアなどを結ぶ8路線(うち2路線はライトレール路線)の路面電車/ライトレール路線を運行しており、路線延長は全長68マイル(約109km)となっています(地下鉄、通勤鉄道路線などは含まず)。
現在、路面電車およびライトレール路線において使用されている車両は、大規模修繕工事が実施された米国製の高性能路面電車「PCCカー」が使用されている15系統(現在長期運休中)を除いて、1980年代初めに導入された川崎重工製(現川崎車両)の9000形および100形車両が使用されています。今回導入が決まった新型車両は、これらの車両を順次置き換えていくこととなります。
新型車両の導入に合わせて停留所の建設や地下駅の改良も実施
今回の新型車両の導入は、SEPTAが進めている路面電車の近代化プログラム(Trolley Modernization program)の一環となっており、低床式の新型車両の導入に合わせてバリアフィリーに対応した停留所の建設や一部路線の延伸、市内中心部の地下駅のバリアフリー化や更新工事も進められる予定です。
設備の改良工事は10、11、13、34、36系統(将来のTライン)から始まり、次に101、102系統(将来のDライン)、最後に15系統(将来のGライン)の順に進められる予定となっており、新型車両の導入や設備の改修が完了する2031年頃には、誰もが利用しやすい路面電車へと変貌を遂げる予定です。
Source: SEPTA Planning FAQ
※1米ドル=134円として計算
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