日立製作所は17日、カナダ最大の都市トロントで計画中の「オンタリオ線(Ontario Line)」の車両製造、運行システム、さらに開通後30年間にわたるオペレーションおよびメンテナンスを、グループ会社である日立レール(Hitachi Rail)を中心とするコンソーシアム「Connect 6ix」が90億カナダドル(約9,500億円)で受注したと発表しました。オンタリオ線は、トロント交通局(Toronto Transit Commission: TTC)の地下鉄ライン1の混雑緩和や鉄道ネットワークの拡充などを目的として、オンタリオ州政府の機関であるインフラストラクチャー・オンタリオ(Infrastructure Ontario)およびメトロリンクス(Metrolinx)が計画を進めている地下鉄路線です。
同線には、完全自動運転システム、ホームドア、デジタル情報案内など数多くの最新テクノロジーが導入される予定で、現在、2023年の本格着工を目指して準備が進められています。
Source: Hitachi Rail、Infrastructure Ontario
※1カナダドル=105円で計算
プロジェクト概要
オンタリオ線は、エキシビション/オンタリオプレイス(Exhibition/Ontario Place)駅からダウンタウンを経由してオンタリオサイエンスセンター(Ontario Science Centre)駅までを結ぶ全長約15.6kmの新路線です。同線には合計15駅(うち8駅は地下駅)が建設され、全区間の所要時間は30分未満となる予定です。また、トロント交通局(Toronto Transit Commission: TTC)の地下鉄路線、メトロリンクスが運行する通勤鉄道GOトレイン(GO Train)、ストリートカー(路面電車)、バス路線などを合わせて40以上の交通機関と接続する基幹路線となる予定で、1日およそ38万8,000人の利用者が見込まれています。
着工予定 | 2023年(2030年開業予定) |
駅数 | 15駅 |
所要時間 | 30分未満 |
接続路線 | ライン1(地下鉄) ライン2(地下鉄) ライン5(ライトレール)※建設中 レイクショア・ウェスト線(通勤鉄道路線) レイクショア・イースト線(通勤鉄道路線) スタウフビル線(通勤鉄道路線) ストリートカー(路面電車) その他バス路線など |
路線距離 | 15.6km |
最高速度 | 80km/h |
乗客数(予想) | 38万8,000人/日 |
運行頻度 | ラッシュ時最大90秒間隔 |
日立がオンタリオ線向けに製造する車両イメージ
エクステリア
車両前面は近未来的なLEDヘッドライトが目を引くデザインとなっています。米国も含め、無機質なステンレス車両が多い北米の地下鉄車両の中では群を抜いて洗練された車両となりそうです。
北米ではほぼ空港内シャトルでしか見かけることがないフルスクリーンのホームドアも採用されるようで、これまでの北米の地下鉄のイメージを一新すると言っても過言ではなさそうです。
ホームドアの上には発着案内などが表示される液晶ディスプレイも設置され、まさに最新の地下鉄といった感じです。
インテリア
車内も最新地下鉄車両そのもので、ドア上や天井へのLCDディスプレイ、車内WiFi、充電設備、車内監視カメラなどが導入されます。
また、車両貫通路が採用されるほか、自転車用スペースや車椅子対応スペースも設置されます。
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