アムトラック(Amtrak)は、大陸横断列車サービスの近代化を進めるため、2018年12月にシーメンス(Siemens Mobility, Inc.)製の新型電気式ディーゼル機関車「チャージャー(Charger: ALC-42形)」を75両導入すると発表しました。その新型機関車が今月8日、シカゴからシアトルに向けて出発したエンパイア・ビルダー(Empire Builder)号にて正式デビューしました。なお、記念すべき一番列車には、アムトラック50周年を記念した初代アムトラック塗装を纏った301号車と、現在のリバリー(Livery)と呼ばれる第6世代塗装(Phase VI paint scheme)の302号車が充当されました。
ALC-42形は、2024年までに初期発注分の75両が出揃う予定で、大陸横断列車の機関車として25年以上過酷な環境で使用され続けているP40形とP42形電気式ディーゼル機関車を置き換えることになります。また、オプション契約分の50両についても発注するとの見通しが発表され、最終的には125両体制となる予定です。
ALC-42形の概要
今回営業運転を開始したALC-42形は、すでにアムトラック・ミッドウェストの運行する各列車、カリフォルニアを走るサン・ホアキンズ(San Joaquins)やパシフック・サーフライナー(Pacific Surfliner)、シアトルとポートランドなどを結ぶカスケーズ(Cascades)などの機関車として活躍している「AC-44形」の派生形です。
ALC-42形が主に牽引する大陸横断列車には、スーパーライナー(Superliner)と呼ばれる2階建客車が主に使用されるため、客室用電源を供給するヘッドエンドパワー(Head end power)を1,000kWに増強、さらに大容量(2,200 gal)の燃料タンクを装備するなどの改良が加えられています。なお、エンジン出力は4,200馬力で、最高設計速度はAC-44形と同じ時速125マイル(約200km)となっています。
さらに、2014年より施行されている米国環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のTier4排出ガス規制(Tier 4 emissions standards)に対応するため、従来の機関車と比較して、窒素酸化物を89%以上、粒子状物質(PM)を95%削減することを実現した環境にもやさしい機関車となっています。
なお、ALC-42形のカラーリングは、最初に納車される6両のうち5両は現行の第6世代塗装をベースとしたカラーリング、残りの1両は50周年記念塗装を纏って登場し、それ以降の車両には第7世代(Phase VII paint scheme)となる新しいカラーリングが採用される予定です。
ALC-42形が導入される予定の列車一覧
ALC-42形は、アムトラックが運行する大陸横断列車全てと、一部州政府から援助を受けて運行されているインターシティ列車にも導入される予定です。
オート・トレイン (Auto Train) | ワシントンD.C.郊外〜オーランド郊外 |
カリフォルニア・ゼファー (California Zephyr) | シカゴ〜サンフランシスコ郊外 |
キャピトル・リミテッド (Capitol Limited) | ワシントンD.C.〜シカゴ |
カーディナル (Cardinal) | ニューヨーク〜シカゴ |
シティ・オブ・ニューオーリンズ (City of New Orleans) | シカゴ〜ニューオーリンズ |
コースト・スターライト (Coast Starlight ) | シアトル〜ロサンゼルス |
クレセント (Crescent) | ニューヨーク〜ニューオーリンズ |
エンパイア・ビルダー (Empire Builder) | シカゴ〜シアトル/ポートランド |
レークショア・リミテッド (Lake Shore Limited) | ニューヨーク/ボストン〜シカゴ |
パルメット (Palmetto) | ニューヨーク〜サバンナ |
シルバー・スター/シルバー・メティオ (Silver Star & Silver Meteor) | ニューヨーク〜マイアミ |
サウスウェスト・チーフ (Southwest Chief) | シカゴ〜ロサンゼルス |
サンセット・リミテッド (Sunset Limited) | ニューオーリンズ〜ロサンゼルス |
テキサス・イーグル (Texas Eagle) | シカゴ〜サンアントニオ |
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