建設が進むカリフォルニア高速鉄道ネットワーク(サンノゼ〜マーセド編)

全米一の人口を抱えるカリフォルニア州では、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、サクラメントなど、州内の主要都市を最高時速320km以上の高速鉄道で結ぶ「カリフォルニア高速鉄道(California High-Speed Rail: CAHSR)」プロジェクトが進行中です。同プロジェクトはカリフォルニア州高速鉄道局(California High-Speed Rail Authority)が中心となって進められているもので、2008年には、最重要区間であるサンフランシスコ〜ロサンゼルス/アナハイム間の建設費の一部に州の税金を投じることを問う住民投票「Proposition 1A」が承認されました。

以降、幾度となく着工延期、計画変更、規模縮小などが繰り返されてきたCAHSRプロジェクトですが、現在、一部区間では着々と建設工事が進められています。今回は、そんなCAHSRプロジェクトについて調べてみたいと思います。第3回は、サンノゼ(San Jose)からマーセド(Merced)までの進捗状況ついてさらに詳細を見ていきます。

サンノゼ〜マーセド間の概要

サンノゼ〜マーセド間は、ベイエリアとセントラルバレーエリアを結ぶ区間となります。途中、サンタクララ郡(Santa Clara County)南部の都市ギルロイ(Gilroy)を経由し、東向きに進路を変えてパチェーコ・パス(Pacheco Pass)およびサンホアキンバレー(San Joaquin Valley)をとおりマーセドへと向かいます。なお、ロサンゼルス方面へ向かう列車はマーセド〜マデラ(Madera)間に建設される「セントラル・バレー・デルタ線(Central Valley Wye)」から南下するルートを通ることになります。

建設ルートおよび整備方法(サンノゼ〜セントラル・バレー・デルタ線)
推奨されている整備案

サンノゼ〜マーセド間のFEISで検討されている4つの整備案(左)と推奨案(右)
Image: FEIS

今年2月25日に公表されたサンノゼ〜マーセド間の整備に関する環境アセスメントの最終評価書(FEIS)では、サンノゼ〜セントラル・バレー・デルタ線の手前までの区間について、4つの異なる整備案(Alternative 1〜4)が検討されました。このうち推奨案として選ばれたのは、サンノゼ〜ギルロイ間においてカルトレインと路線を共用する整備案4(Alternative 4)となっています。なお、ギルロイからセントラル・バレー・デルタ線の区間については、4案とも高速鉄道専用軌道として整備する計画となっています。

カルトレインの電化および速度向上(サンノゼ〜ギルロイ間)

サンフランシスコ〜サンノゼ間と同様に非電化区間であるサンノゼ〜ギルロイ間は、カルトレインの近代化プロジェクト「Caltrain Modernization Program(CalMod)」第2期で電化される予定となっています。

サンノゼ〜ギルロイ間の整備方式(非電化貨物線+電化旅客線)
Image: San Jose to Merced Project Section Fact Sheet

上の図はサンノゼ〜ギルロイ間の整備方式(推奨案)です。この区間では、CAHSRとカルトレインが電化複線を走行し、貨物列車は非電化の単線を使用することになります。なお、この区間の最高速度は、同じ整備方式が検討されているサンフランシスコ〜サンノゼ間と同様に、時速110マイル(約177km)程度に制限される予想されます。

高速新線(ギルロイ〜セントラル・バレー・デルタ線間)

ギルロイ駅から先は、いよいよ高速鉄道の本領が発揮できる最高時速320km以上対応区間となります。この区間は、カルトレインとの共用区間であるギルロイ駅周辺を除き、高速鉄道専用の盛り土、トンネル、および高架区間として建設される予定です。したがって、構造物も日本のフル規格新幹線に近いものになると思われます。

Image: CHSRA

こちらはサンタクララ・バレー(Santa Clara Valley)とセントラルバレーにまたがるパチェーコ・パスの盛り土区間を走る高速鉄道車両のイメージです。

Image: CHSRA

パチェーコ・パスの高架線区間を走行する高速鉄道車両のイメージです。

Image: CHSRA

パチェーコ・パスのトンネル入り口付近のイメージです。

建設ルートおよび整備方法(セントラル・バレー・デルタ線)
推奨されている整備案
セントラルバレーデルタ線で推奨されている整備案(黄緑のライン)
Image: CAHSR

セントラル・バレー・デルタ線は、サンフランシスコ方面、ロサンゼルス方面、サクラメント方面の3方向からの路線が集まる地点で、マーセド駅とマデラ駅の中間地点に建設される予定です。デルタ線とすることで、全ての列車は進行方向を変えずにどの方面へも直通できるようになります。

このデルタ線は、マーセド〜フレズノ間の環境アセスメントに含まれる区間ですが、サンノゼ方面の整備と合わせて計画する必要があるため、個別に環境影響評価が実施されました。セントラル・バレー・デルタ線の最終評価書(FEIS)では、4つの異なる整備案が検討されており、推奨案は州道152号線(State Route 152: SR152)からRoad 11を北上してマーセド方面へ向かう案となっています。

建設ルートおよび整備方法(セントラルバレーデルタ線〜マーセド間)
セントラルバレーデルタ線〜マーセド間
Image: CAHSR

セントラル・バレー・デルタ線からマーセドまでの区間は、マーセド〜フレズノ間の整備区間の一部として環境アセスメントが実施されており、その最終評価書は2012年に発行されています。最終的に、セントラル・バレー・デルタ線を除いた区間の整備方法は、上の図の案で整備することが決定しています(Record of Decision)。同区間は大部分が平面ですが、一部区間は地下トンネル、高架区間として建設されます。

駅の整備方法
ダウンタウン・ギルロイ駅(推奨案)

最終評価書(FEIS)の推奨案である整備案4(Alternative 4)では、CAHSRのギルロイ駅をカルトレインのダウンタウン・ギルロイ(Downtown Gilroy)駅に設置する計画となっています。

Image: CAHSR

現在のダウンタウン・ギルロイ駅は、平日通勤時間帯のみ運行されるカルトレインの終着駅となっています。ただ、その他の鉄道路線への接続はなく利用者も多くありません。CAHSR開通後も、速達列車は当駅を通過する予定です。


推奨されているダウンタウンギルロイ駅の整備案(左)とイーストギルロイ駅の整備案(右)の比較
Image: FEIS

推奨案のダウンタウン・ギルロイ駅は、CAHSR用に島式ホーム2面4線(うち2線はカルトレインと共用)を整備するものとなっています。ちなみにギルロイ駅の整備については、整備案3として現在のギルロイ駅から少し離れた場所にイースト・ギルロイ駅を建設する案があり、その場合は相対式ホーム2面2線と通過線2線を有する本格的な高架駅として整備されることとなります。ただ、最もコストがかかるこの案が採用される可能性は、現状ではほぼないと言えそうです。

進捗状況
Image: CAHSR

現在、サンノゼ〜マーセド間については、2020年に環境アセスメントの準備書(DEIS)が公表されています。さらに今年2月25日には、最終評価書(FEIS)も公表されており、今年4月20〜21日に同区間の整備方法が確定する予定となっています。

※セントラル・バレー・デルタ線〜マーセド間については、マーセド〜フレズノ間の環境アセスメントに含まれています。

«
»

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。