アメリカ南部ノースカロライナ州最大の都市シャーロット(Charlotte)は、人口約90万の都市でありながら全米第二の金融センターとしても有名な都市です。近年はエネルギー産業やIT産業の集積もすすみ、程よい都会でありながら、生活費も他のアメリカの大都市ほど高騰していないなどの理由から急成長が続いている都市となっています。またパンデミック以降は、ニューヨーク都市圏などからの人口流入が加速していることで、この傾向はさらに顕著になっています。そんなシャーロットでは、今後も予想される人口増加に対応するため、ライトレール路線の整備などをはじめとする様々な公共交通整備プロジェクトが進行中です。
中でも、シャーロットの公共交通ハブを整備する「シャーロット・ゲートウェイステーション(Charlotte Gateway Station)」プロジェクトは、同市における将来の交通体系を構築する上で非常に重要なプロジェクトと位置付けられており、2024年以降の完成を目指して現在建設工事が急ピッチで進められています。
プロジェクトの概要
ロケーションおよび概要
現在のアムトラックのシャーロット駅は中心部からかなり離れた場所にある上に、ライトレールとの接続も良くないため、車以外でのアクセスは非常に不便となっています。ゲートウェイステーションプロジェクトでは、シャーロットの中心部から徒歩で北西に10分ほどにある広大な敷地に、総額約8億ドル(約1,000億円)をかけてアムトラックの新シャーロット駅、ライトレール新駅、長距離バスターミナル、駅周辺の大規模再開発ビルを整備する計画となっています。これにより、これまで市内各所に分散されていた公共交通が一箇所に集まる交通ハブが誕生することになります。なお、プロジェクトは以下の3段階で整備される予定です。
フェーズ1
Image: CGS MSAP
フェーズ1では、1面2線分のホームや線路、道路を跨ぐ高架橋の建設、仮設の長距離バスターミナルが建設されます。フェーズ1の工事は2018年から着工しており、2023年の完成を目指しています。
Source: NCDOT
フェーズ2
Image: CGS MSAP
フェーズ2では、新駅ビルの地上コンコースの建設、暫定駐車場の整備、現在のアムトラック・シャーロット駅の解体工事が実施されます。
フェーズ3
Image: CGS MSAP
フェーズ3では、駅ビル上層階の建設、駅周辺での再開発ビル建設、再開発エリアの回遊性やバンク・オブ・アメリカスタジアムへのアクセス向上をはかるための緑道の整備が行われます。フェーズ3は、3つのフェーズの中でもっとも大規模な建設工事が予定されており、駅周辺では大ききな変化が見られるようになります。完成は2024年を目指しています。
プロジェクト完成イメージ
周辺開発を含む全体イメージ
シャーロット市が公開しているゲートウェイステーションを含む駅周辺の再開発イメージです。駅周辺も含めてかなり大規模再開発であることがわかります。
駅周辺では民間資金も活用した開発も計画されています。
駅舎完成イメージ
ゲートウェイステーションの駅舎イメージです。駅前にライトレール路線であるリンクス(LYNX)ゴールドラインの駅が整備されます。
駅舎を上から見たイメージです。波打つ大屋根が印象的です。
ライトレールとアムトラックの駅が交差する形で整備されます。
1面2線が整備されるホームの屋根にはガラスが多用されておりモダンなイメージとなっています。
駅周辺ではオフィスや住宅、立体駐車場などが建設される予定です。
まとめ
急成長が続くシャーロットにとって、利便性の高い交通ハブの整備は将来の同市の成功を左右する非常に重要なプロジェクトとなっています。またこの交通ハブの誕生により、アムトラックがコネクトUS(Connects US)で計画しているシャーロット〜アトランタ間の新設インターシティー列車が成功に終われば、その先にはワシントンD.C.〜リッチモンド(Richmond)〜ローリー(Raleigh)〜シャーロット、さらにはアトランタに至る南東回廊における高速鉄道計画(Southeast High Speed Rail Corridor)も現実味を帯びてくるかもしれません。
※1米ドル=130円で計算
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