ロサンゼルスでは、2028年に開催される夏季オリンピックに向けて様々なインフラ整備が進行中です。中でも、空の玄関口であるロサンゼルス国際空港(LAX)については、パンデミック前の年間旅客数で世界第3位をほこっていた空港でありながら、ターミナルへ直結する鉄道アクセスがないという最大の問題を解消するため、新交通システムの建設やLAメトロの新線建設工事などが急ピッチで進められています。そんな中、LAXを管理・運営するロサンゼルス・ワールドエアポーツ(Los Angeles World Airports: LAWA)は、2028年夏季オリピックの開催に合わせて新たなターミナルおよびコンコースを整備する計画「誘導路およびターミナル近代化プロジェクト(Airfield and Terminal Modernization Project: ATMP)」を進めています。
ロサンゼルス国際空港の概要
空港アクセス
LAXはダウンタウンLAから30kmほど離れた場所に位置しています。現在、LAXのターミナルとダウンタウンLAなどを直通で結ぶ鉄道アクセスはなく、空港へは自家用車、バス、ライドシェア、レンタカーなどを使用するのが一般的となっています。
現在の空港ターミナル
現在、LAXには主に国内線が使用するターミナル1〜8と、トムブラッドレー国際線ターミナル(Tom Bradley International Terminal: TBIT)の合計9つの旅客ターミナルがあります。国際線は日本の航空会社に限らず、ほぼ全ての航空会社がTBITを使用しています。
2028年までに整備される予定の新ターミナルとは?
ターミナル近代化プロジェクト(ATMP)では、将来の利用者数増加に対応するため、新たに2つの国際線対応ターミナル(ターミナル9およびコンコース0)が整備される予定です。
ターミナル9
ターミナル9は、12〜18の新設ゲートを有するTBITに次ぐ規模の国際線ターミナルとして整備される予定です。また、現在ユナイテッド航空が主に使用するターミナル7および8と歩行者デッキで結ばれるため、ターミナル9へANAをはじめとするスターアライアンス加盟航空会社を集結させ、同アライアンスに加盟しているユナイテッド航空国内線との乗り継ぎを改善する狙いもあるようです。
ターミナル9の整備イメージです。現在建設中の新交通システムの駅も建設されます。ただ、ターミナルビルと新交通システムの駅の間に駐車場があるので、動く歩道などの整備も合わせて期待したいところです。
新設されるターミナル9と現在のターミナル7、8の間には幹線道路であるセプルベダ・ブルバード(Sepulveda Boulevard)が通っています。このため、両ターミナルを結ぶ歩行者用の通路が整備されます。
コンコース0
コンコース0(Concourse 0)は、現在サウスウェスト航空が中心に使用するターミナル1を拡張する形で建設されます。この拡張工事で新たに6〜9ゲートが新設されることになり、国際線到着便にも対応する予定のため、サウスウェスト以外の航空会社の移転も想定されています。
コンコース0の完成イメージです。ターミナル1の拡張となるため新交通システムの新駅は設置されません。
コンコース0への新たなアクセス道路も整備されます。
新ターミナル完成までのスケージュール
ターミナル近代化プロジェクト(ATMP)の環境アセスメントは2021年12月に完了しており、評価書(FEIS)および決定記録(ROD)が発行されています。LAWAは現在、コンコース0については早ければ今年中の着工、ターミナル9については2023年以降の着工を目指して準備を進めており、2028年のオリンピック開催までに両ターミナルの共用が開始される予定です。
Source: LAWA
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