アムトラック(Amtrak)は15日、北東部やパシフィックノースウェストで運行される短・中距離列車において、2026年から営業運転を開始予定の新型車両「AMTRAK AIRO」の概要を発表しました。AMTRAK AIROは、シーメンス・モービリティ(Siemens Mobility)が北米市場向けに開発した車両ブランド「ベンチャー(Venture)」と呼ばれるタイプの車両で、最高速度125mph(約201km/h)での走行性能を有しています。ベンチャーは、フロリダのブライトライン(Brightline)、カリフォルニア州および中西部の州が車両を保有する一部のアムトラック列車、カナダのVIA鉄道(VIA Rail)においてすでに営業運転が開始されていますが、アムトラックの主要路線である北東回廊(Northeast Corridor)発着列車やカスケーズへの投入は初めてなります。
アムトラックでは、同車両を2030年にかけて合計83編成導入する予定で、現在ニューヨーク発着列車を中心に使用されている1970年代から80年代にかけて製造されたアムフリート(Amfleet)客車などを順次置き換えていく計画です。また、2035年を見据えたアムトラックの長期ビジョン「コネクトUS(Connects US)」で示されている列車の増発や新設のために必要な車両としても増備される計画で、最大で130編成が追加で増備される予定です。
Source: Amtrak
AMTRAK AIROが導入される予定の列車
AMTRAK AIROは、2026年からニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.といった北東部の主要都市を結ぶ「ノースイーストリージョナル(Northeast Regional)」やバンクーバー、シアトル、ポートランドなどを結ぶパシフィックノースウェストの都市間列車「アムトラック・カスケーズ(Amtrak Cascades)」に投入される予定です。
列車名 | 運行区間 |
---|---|
ノースイーストリージョナル (Northeast Regional) | ボストン〜ニューヨーク〜ワシントンD.C. (一部列車はリッチモンドやノーフォークなどまで運行) |
アディロンダック (Adirondack) | モントリオール〜オールバニー〜ニューヨーク |
カロリニアン (Carolinian) | ニューヨーク〜リッチモンド〜ローリー〜シャーロット |
アムトラック・カスケーズ (Amtrak Cascades) | バンクーバー〜シアトル〜タコマ〜ポートランド |
ダウンイースター (Downeaster) | ブランズウィック〜ポートランド〜ボストン |
エンパイアサービス (Empire Service) | ニューヨーク〜アルバニー〜バッファロー〜ナイアガラフォールズ |
イーサンアレンエクスプレス (Ethan Allen Express) | ラトランド〜オールバニー〜ニューヨーク |
キーストーンサービス (Keystone Service) | ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ハリスバーグ |
メープルリーフ (Maple Leaf) | トロント〜ナイアガラフォールズ〜オールバニー〜ニューヨーク |
ハートフォードライン (Amtrak Hartford Line) | ニューヘイブン〜スプリングフィールド |
パルメット (Palmetto) | ニューヨーク〜ワシントンD.C.〜チャールストン〜サバンナ |
ペンシルバニアン (Pennsylvanian) | ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ハリスバーグ〜ピッツバーグ |
バーモンター (Vermonter) | セントオールバンズ〜エセックスジャンクション〜ニューヨーク〜ワシントンD.C. |
エクステリア
スタンダード編成
スタンダード編成のエクステリアのイメージです。カラーリングは、2022年から長距離列車用として導入されているシーメンス製の新型機関車「チャージャー(Charger: ALC-42形)」から採用が始まったアムトラック第7世代の新塗装を纏っています。
側面のイメージです。これまでのアムトラック車両のスタンダードでもあった無塗装ステンレス車両のイメージを一新し、まさに新世代のアムトラックを感じさせるデザインとなっています。
カスケーズ編成
カスケーズに導入される車両は、現在のカスケーズ専用塗装を踏襲したものとなるため、イメージが大きく異なります。
パシフィックノースウェストのシンボルでもあるエバーグリーンツリー(常緑樹)をイメージしたデザインとなります。
インテリア(ビジネスクラス)
スタンダード編成
ビジネスクラスは2列+1列の座席配置となっており、全席に充電用USBポートおよびコンセントが装備され、天井に車内情報案内ディスプレイが設置されます。なお、既存車両のアムフリートは窓が小さく開放感がありませんでしが、新型車両では大型窓が採用されたことで開放感が感じられるようになっています。
一部はボックス席となります。また、車内無料WiFiは従来通り全クラスで利用可能となります。
カスケーズ編成
カスケーズ用編成のシートは、スタンダード編成とモケットの色やパターンが異なりますが基本アメニティーは同様のものとなります。
インテリア(コーチクラス)
スタンダード編成
コーチクラス(普通車)は2列+2列の座席配置となりますが、ビジネスクラス同様、全席に充電用USBポートおよびコンセントが装備され、天井に車内情報案内ディスプレイが設置されます。
デッキ部も白を基調とした明るいカラーリングが採用されており、これまでのアムトラック車両の薄暗い雰囲気とは異なりモダンなデザインとなっています。
カスケーズ編成
カスケーズのコーチクラスもスタンダード編成と同様に2列+2列の座席配置となります。
インテリア(カフェ)
カスケーズ編成
軽食などが購入できるカフェ設備については、カスケーズ編成のイメージのみ公開されています。これまでのカフェ設備よりもかなり簡素化されているイメージです。また、新たなカフェ設備の投入にあわせてメニューも一新される予定です。
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