アムトラック、北東回廊発着の中距離路線を中心に新型車両を投入

アムトラック(National Railroad Passenger Corporation: Amtrak)は、北東回廊(Northeast Corridor)の駅を発着する列車を中心に新型車両を導入すると発表しました。北東回廊は、ボストン〜ニューヨーク〜ワシントンD.C間の路線の名称で、アメリカの鉄道路線として最も運行頻度および旅客数が多い路線となっています。新型車両はシーメンス(Siemens Mobility Inc.)に発注され、1970年代から1980年代にかけて製造されたアムフリート(Amfleet)と呼ばれる客車車両を置き換える予定です。なお、新型車両は電気・ディーゼル両用車両(一部はハイブリッド方式)となる予定です。これにより、北東回廊以外の非電化区間を走行する際における電気機関車からディーゼル機関車への交換が必要なくなることから、所要時間の短縮も期待されています。

Image: Siemens

新型車両はフロリダのブライトラインなどに投入されているベンチャー(Venture)と呼ばれる車両がベースになる予定で、2024年から2030年にかけて合計213編成(130編成のオプション契約を含む)が導入されます。まず、ニューヨークからのジョージア州サバンナ(Savanna)を結ぶパルメット(Palmetto)に投入し、その後、北東回廊発着の中距離路線を中心に投入路線を拡大していく予定です。さらに、2025年からはアメリカ初となるバッテリーハイブリッド車両の試験も実施される予定です。

アムトラックは今回の北東回廊向けの新型車両の導入に対し、車両新造、車両メンテナンス設備のリニューアル、交換部品の長期調達契約などを含めて73億ドル(約7,300億円)を投資するとしており、これにより年間で150万人以上の利用客を見込むとしています。なお、一部の車両はシアトルやポートランドなどを走るカスケーズ(Cascades)にも投入される予定です。

北東回廊では高速列車アセラにも新型車両が誕生する予定で、今後アムトラックの旅客設備の近代化が加速することになりそうです。

新型車両の導入が予定されている列車
列車名運行区間
ノースイーストリージョナル
(Northeast Regional)
ボストン〜ニューヨーク〜ワシントンD.C.
(一部列車はリッチモンドやノーフォークなどまで運行)
アディロンダック
(Adirondack)
モントリオール〜オールバニー〜ニューヨーク
カロリニアン 
(Carolinian)
ニューヨーク〜リッチモンド〜ローリー〜シャーロット
カスケーズ
(Cascades)
バンクーバー〜シアトル〜タコマ〜ポートランド
ダウンイースター
(Downeaster)
ブランズウィック〜ポートランド〜ボストン
エンパイアサービス
(Empire Service)
ニューヨーク〜アルバニー〜バッファロー〜ナイアガラフォールズ
イーサンアレンエクスプレス
(Ethan Allen Express)
ラトランド〜オールバニー〜ニューヨーク
キーストーンサービス
(Keystone Service)
ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ハリスバーグ
メープルリーフ
(Maple Leaf)
トロント〜ナイアガラフォールズ〜オールバニー〜ニューヨーク
ハートフォードライン
(Amtrak Hartford Line)
ニューヘイブン〜スプリングフィールド
パルメット
(Palmetto)
ニューヨーク〜ワシントンD.C.〜チャールストン〜サバンナ
ペンシルバニアン
(Pennsylvanian)
ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ハリスバーグ〜ピッツバーグ
バーモンター
(Vermonter)
セントオールバンズ〜エセックスジャンクション〜ニューヨーク〜ワシントンD.C.

Source: AmtrakSiemens

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