サンフランシスコ・ベイエリアのBARTが大量に導入を進める次世代地下鉄車両「D、Eシリーズ」とは

サンフランシスコ・ベイエリアの都市鉄道「ベイエリア高速鉄道(Bay Area Rapid Transit: BART)」では、車齢50年以上の車両も多く老朽化が著しい既存車両(A、B、Cシリーズ)の置き換えを目的として、2018年から次世代地下鉄車両「D、Eシリーズ」の導入を進めています。同車両は、ボンバルディア(現アルストム)の地下鉄車両ブランド「モビア(Movia)」を採用した新型車両となっており、これまでに合計775両が発注され、そのうち395両(2022年9月1日現在)がすでに製造されています。また、D、Eシリーズは、最終的に合計1,200両まで増備する計画もあり、実現するとピーク時のサンフランシスコ方面へ向かう全列車を10両編成で運行することが可能となるだけでなく、2031年の開通を目指して整備が進められているサンノゼおよびサンタクララ方面への延伸(シリコンバレー・フェーズ2)に伴う輸送力増強用としての役割も果たすことになります。

Source: BART

BARTの次世代地下鉄車両「D、Eシリーズ」の運行エリア
Image: BART

BARTは、1972年の開業から段階的に路線網を拡大していき、現在はサンフランシスコ国際空港、ノースサンノゼ、リッチモンド、ダブリン、アンティオックなどを結ぶ5路線(約200km)を運行しています。このうち、次世代車両のD、EシリーズはBART全線(ベージュラインとイエローラインのeBART区間を除く)で運行されています。

D、Eシリーズのデザイン
エクステリア

前面は既存車両と同じく白色となっており、真ん中にBARTのロゴが設置されています。また、ヘッドライトにはLEDが採用されています。

無骨なステンレス製の地下鉄車両が多いアメリカにおいては、かなり異色な存在と言えます。

乗降ドアは、既存車両の片側2箇所よりも増え、片側3箇所になっています。また、日本ではあまり見かけない外吊り式のドアが採用されています。

側面には、小型のLED行先表示器が設置されています。

アメリカの地下鉄車両としては非常に珍しく、車両間の通り抜けができるように車体間貫通路が設置されており、車両間には転落防止用のバーが設置されています。

インテリア

スリムなシートが採用され広々とした印象を与える車内となっています。通常の座席はブルー、優先席は黄緑色となっています。また、ドア付近などにスタンションポールも設置されています。

シートは、汚れ対策としてビニール製のカバーが採用されていますが、プラスチック製と異なりクッションがあるため、比較的座り心地は良くなっています。また、片持ち式で足元がすっきりしており、シートピッチもそこそこゆとりがあります。

車内照明にはLEDが採用されています。

最新車両らしく、ドア横には車内案内表示ディスプレイが設置されており、行き先、路線図、次駅案内などが表示されます。

車端部にはLED式の車内案内表示器も設置されており、次駅案内などが表示されます。

車椅子用スペースは、1車両につき2箇所に設置されています。

1車両につき2箇所に自転車用のスペースも設置されています。

D、Eシリーズの概要
Image: BART
運行者ベイエリア高速鉄道(Bay Area Rapid Transit: BART)
製造者ボンバルディア(現アルストム)
モデルモビア(Movia)
導入予定数775両(Dシリーズ: 310両、Eシリーズ: 465両)
※2022年9月時点で395両が導入済み
※最大1,200両までの増備計画あり
車両番号Dシリーズ: 3001〜3310
Eシリーズ: 4001〜4465
定員(1両あたり)Dシリーズ: 51席
Eシリーズ: 56席
営業開始2018年〜
運行路線全線(ベージュラインを除く)
運行区間全区間(イエローラインのeBART区間を除く)
設計最高速度130 km/h(80 mph)
制御方式IGBT-VVVFインバータ制御

Source: BART

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