ラガーディア空港(LaGuardia Airport: LGA)は、ニューヨークの主要空港としてマンハッタンから最も近い位置にあるにもかかわらず、唯一鉄道アクセスがない上、周辺道路の渋滞も慢性化していることから、近くて遠い空港という存在で知られています。一方で2020年7月には、最新設備を備えた新ターミナルBがオープンするなど、旅客サービスを一新する巨大プロジェクトが進められており、せっかく整備した最新インフラをより多くの人に利用してもらうためにも、利便性の高い空港アクセスの整備は必要不可欠となっています。
同空港のアクセスについては、「エアトレイン(AirTrain LGA)」と呼ばれる空港アクセス路線を2024年までに整備する予定でしたが、その時間短縮効果やルート選定プロセスを疑問視する声が多くあがり、事実上計画がストップした状態となっていました。
この状態を打破するため、ラガーディア空港を管理運営するニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey: PANYNJ)は、ニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事の指示により、MTAなどの関係者と地下鉄延伸案などを含む14の空港アクセス案の評価を実施しました。評価された14案については、今月2日からPANYNJのホームページ上で公表されており、今後一般の人の意見も取り入れながら、再度、最終的な整備方法が決定されることになります。
今後どの案が採用されるかによって、エアトレインの整備方法が大きく変わることとなりそうです。
Source: PANYNJ
評価が行われている空港アクセス案の内訳
- 地下鉄アストリア線の延伸(2案)
- 新設ライトレール(5案)
- BRT(バス・ラピッド・トランジット)(5案)
- フェリー(1案)
- 自動運転などを活用した次世代交通システム(1案)
地下鉄アストリア線(N・W)の延伸案
地下鉄アストリア線(N・W)の延伸案は、30th・アベニュー(30th Ave)駅から分岐し、グランドセントラルパークウェイ(Grand Central Parkway)上空に建設される高架線を通って空港へ向かうルートと、アストリア・ディトマス(Astoria-Ditmard)駅から31st・ストリート(31st Street)をさらに北上し、19th・アベニュー(19th Avenue)を通って空港へ向かうルートの2案が示されています。実現すれば、ニューヨークの空港として初めて地下鉄が直通する空港となります。
ライトレール案
Image: PANYNJ
ライトレールを建設する案は、上の5案が示されています。興味深い案として、今年1月にホウクル知事が環境アセスメントの開始することを発表した「インターボロー・エクスプレス(Interborough Express)」に接続する案、また、他にJFKのエアトレインと接続する案が含まれています。
BRT案
Image: PANYNJ
BRTについては、バス専用レーンを整備する案や、既存のセレクト・バス・サービス(Select Bus Service)などを拡張する案が検討されています。BRT案は現状とあまり変化がないものとなっています。
フェリー・シャトルバス
フェリー案は、空港付近にフェリーターミナルを新設し、ロウアー・マンハッタン(Lower Manhattan)やミッドタウンなどを結ぶ計画です。空港のフェリーターミナルから各ターミナルビルまではシャトルバスを利用することになります。この案は、初期投資を抑えることはできますが、どこへ行くにも乗り換え回数が増えるだけで利便性はイマイチといったところでしょうか。
自動運転などを活用した次世代交通システム
この案は電気自動車専用トンネルの建設や、自動運転シャトルの運行など、革新的なアイデアを積極的に活用する案という位置付けになっていますが、具体的なビジョンは示されていません。
Source: PANYNJ
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