2021年に設立されたアラスカ州アンカレッジ(Anchorage)拠点のスタートアップエアライン「ノーザンパシフィック航空(Northern Pacific Airways)」は、2022年にアンカレッジをハブとして北米の主要都市と東アジアを結ぶ太平洋路線を計画中です。具体的な就航都市はまだ正式に発表されていませんが、北米側ではロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、ヒューストン、ラスベガス、オーランドなど、東アジア側では東京、大阪、名古屋、ソウルが候補地としてあがっているようです。また、LCCという位置付けのため、チケットの価格設定についてはフルサービスキャリアよりも安くなる見込みです。
今回はノーザンパシフィック航空が就航すると日本からアラスカやアメリカ各都市への観光がどう変わるのか、一足先に見ていきたいと思います。
アラスカとはどんなところ?
アラスカ州はアメリカ合衆国最大の面積(日本の国土の約4倍、アメリカ本土最大のテキサス州の2倍)を誇る州で、州都はジュノー(Juneau)、最大の都市はアンカレッジとなっています。その広大な面積とは反対に人口密度は全米で最も低く、州の総人口は約73万人(2019年)でそのうち約30万人はアンカレッジに住んでいます。なお、アメリカ本土とはカナダを挟んで飛地となっています。
観光資源が豊富なアラスカ
大自然を満喫できるアラスカには、北米最高峰として有名なデナリ(マッキンリー山)、オーロラがよく見える街として有名なフェアバンクス(Fairbanks)、アラスカの大自然や絶景の車窓が楽しめるアラスカ鉄道、グレンハイウェイやリチャードソンハイウェイをはじめとするシーニックドライブ、氷河を間近に見ることができる氷河クルーズなど観光資源が豊富にあります。
ちなみに、アメリカの国立公園の総面積の約半分はアラスカにあるそうです。しかし、車で比較的簡単にアクセスできる国立公園は、デナリ(Denali)、キナイ・フィヨルド(Kenai Fjords)、ランゲル・セントイライアス(Wrangell-St. Elias)に限られています。裏を返せば、それだけ手つかずの大自然に溢れているということですね。
日本から近いようで遠いアラスカ
地理的には日本から最も近いアメリカの州であるアラスカですが、現在日本からアラスカ最大の都市アンカレッジへの定期直行便は運行されていません。そのため、アンカレッジへ行くには、日本からの直行便があるアメリカ西海岸のいずれかの都市を経由するのが一般的なルートとなっています。なお、Googleで検索して最短で行けるルートはシアトルを経由するルートとなっており、それでも乗り継ぎを含めて14〜15時間程度かかります。以下は、一般的な東京および大阪からのアンカレッジへのルートです。
出発地 | 航空会社 | 経由地 |
---|---|---|
東京 | 日本航空+アラスカ航空 ANA+アラスカ航空 ANA+ユナイテッド航空 デルタ航空 エアカナダ | シアトル シアトル* サンフランシスコ シアトル バンクーバー |
大阪 | 日本航空+アラスカ航空 ユナイテッド航空 デルタ航空 エアカナダ | ロサンゼルス* サンフランシスコ* シアトル** バンクーバー** |
**夏季のみ運行の季節便(現在はパンデミックの影響で運休中)
ノーザンパシフィック航空が日本に就航するとどうなる?
ハワイに行くような感覚でアラスカに行けるようになる
アメリカ本土に行くついでにアラスカ観光を楽しめるようになる
憧れのオーロラがより身近なものになる?
ロサンゼルス以外にも割安で行けるようになる
大阪や名古屋からもアメリカ各都市へ割安で行けるようになる
入国審査で長蛇の列に並ぶ必要がなくなる
使用機材およびサービス
使用する機材はナローボディ機でアンカレッジと東アジアを結ぶことができ、かつ2022年の就航までに必要な機材数を確保可能なボーイング757-200型機となります。日本ではあまり見かけることができない機種なので、航空ファンからは注目を集めそうです。
新塗装をまとった一号機(機体番号: N627NP)は、1995年にUSエアウェイズに導入された機体で、その後同社がアメリカン航空に買収されたあとはアメリカン航空のカラーをまとい、2020年1月まで運行されていました。
エクステリアは、アラスカの夜空、オーロラ、氷、雪からインスピレーション受けたデザインで、機齢25年以上の機体であることを全く感じさせないクールでスタイリッシュなものとなります。
機内サービスはエコノミーを基本にプレミアムクラスも設定されるようですが、フルフラットのような豪華なシートの設定は想定していないようです。
なお、同社は2022年の就航後4〜5年で保有機材を50機体制にまで拡大する方針も掲げており、その際には、最新のボーイング737MAXやエアバスA321XLRなどといった機種を検討するとのことです。さらに、その後はワイドボディー機の就航も検討するようで、今後の成長が楽しみなエアラインとなりそうです。
Source: Northern Pacific Airways, Simple Flying
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