人口約100万人を抱えるカナダの首都、オタワの都市鉄道O-トレイン(O-Train)を運行するオタワ・カールトン地域交通公社(Ottawa-Carleton Regional Transit Commission: OC Transpo)は、2001年からベイビュー(Bayview)駅とグリーンボロ(Greenboro)駅 を結ぶ全長約8kmのトリリウム(Trillium)線を運行しています。同線では現在、ライムバンク(Limebank)およびオタワ国際空港方面への延伸工事が進められており、2023年5月以降(2022年8月から延期)に予定されている延伸開業に合わせて、シュタッドラー(Stadler Rail)のFLIRT車両が7編成導入される予定です。O-トレインに導入される車両はFLIRT 3タイプで、中間にパワーパックと呼ばれる独立した発電用エンジンユニットを組み込んだ、4両連接式の電気式ディーゼル車両として導入されます。
なお、北米におけるFLIRT車両の採用事例は、テキサス州フォートワースとDFW空港を結ぶTEXレール(TEXRail)が第一号となっており、今後、同じくテキサス州ダラスのダート(DART)シルバーラインやカリフォルニア州のアロー(Arrow)でも導入されることが決まっています。
FLIRT車両の運行路線
現在O-トレインには、コンフェデレーション線(Line 1)とトリリウム線(Line 2)という2路線のライトレール路線があります。コンフェデレーション線は全線電化路線となっていますが、既存の貨物線を改良する形で整備されたトリリウム線は全線非電化の単線路線となっています。トリリウム線では現在、グリーンボロ駅からライムバンク駅までの約12km、およびサウスキーズ駅からオタワ国際空港までの約4kmの空港支線(Airport Link: Line 4)の建設工事が行われており、今回導入されるFLIRT車両は、このトリリウム線の延伸による輸送力増強を目的として導入される車両となります。
なお、2015年から同線で使用されているアルストム製のディーゼル車両「コラディア・リント(Coradia LINT)」6編成(2両編成6本)については、2編成を連結した4両編成として本線(Trillium Line: Line 2)運用に就く予定のほか、2両編成のみに対応する予定の空港支線(Airport Link: Line 4)の専用車両としても活躍する予定です。
O-トレインのFLIRT車両
エクステリア
前面はカナダ国旗のメープルリーフをモチーフにしたレッド塗装となっており、カナダらしさを感じさせるエクステリアが目をひきます。
サイドのカラーリングはホワイトを基調に、乗降ドアや窓周りにブラック塗装が入ることで全体が引き締まった印象となっています。また、運転台横にはO-トレインのロゴが入っています。
乗降ドアは片側8箇所に設置されており、従来車両と比較してスムーズな乗り降りが可能となります。
OC Transpoに導入されるFLIRTは、編成中央の発電用ディーゼルエンジンを搭載したパワーパックから得られる電力でモーターを駆動するハイブリッド方式の車両となっています。なお、このパワーパックを取り替えることで、蓄電池電車、燃料電池電車、またパンタグラフを取り付けることで電車として運行することも可能となっています。
インテリア
車内には車内情報案内ディスプレイや監視カメラなどが装備され、最新の車内設備が搭載される予定です。また、車内8箇所に車椅子スペースも設置されます。
O-トレインFLIRT車両の概要
運行者 | オタワ・カールトン地域交通公社(Ottawa-Carleton Regional Transit Commission: OC Transpo) |
製造者 | シュタッドラー(Stadler Rail) |
導入編成 | 7編成(4両7本) |
車両番号 | – |
定員 | 420人(192席) |
営業開始(予定) | 2023年5月以降 |
運行路線 | ライン2/トリリウム線(Line 2 / Trillium Line) |
運行予定区間 | ベイビュー〜ライムバンク(Bayview – Limebank) |
設計最高速度 | 120km/h |
制御方式 | 電気式ディーゼル車両(IGBT-VVVFインバータ制御: ABB製) ※将来の電車、蓄電池電車、燃料電池電車化も可能 |
Source: Stadler、City of Ottawa
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